カテゴリーデザインは地域ブランドでも通用するのか?
- 桜井 貴斗
- 2 日前
- 読了時間: 6分

競合と価格や立地、打ち手なが似通ってしまった結果、ブランドの独自性が見出せなくなってしまった、という経験をしたことはないでしょうか?
「土俵そのものを作り直す(戦う場所を変えていく)」のがカテゴリーデザイン、という考え方です。
自分たちのブランドは何者なのか(“呼び名”)を決め、ブランド体験と発信(コミュニケーション)を統一し、指名で選ばれる状態を作ることがカテゴリーデザインの本懐だと桜井は考えています。
もし上記が定義だとすると、カテゴリーデザインは大手やメーカーだけでなく、地域のブランド・地域観光でも通用するのか?意味があるのか?について、HONEの実例、その他地方の事例から見解を残していきたいと思います。
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目次
丸七製茶「ななや」(静岡)
うなぎの寝床(福岡・八女)
ブロッコる?(生鮮食品)
RAKURAKU OIMO(干し芋おやつ)
石畳茶屋(カフェ・サウナ・図書館)
カテゴリーデザインとは何か?
まず、カテゴリーデザインとはどういう意味なのでしょうか?
定義は諸説ありますが、以下の通り定義されていると言われています。
カテゴリーデザインとは、プロダクトやサービスのために新しい市場カテゴリを創り育て、そのカテゴリにおける業界リーダーとして自社を位置づけるビジネス戦略です 既存市場で競うのではなく、カテゴリーデザインは次を狙います: ・新たな市場カテゴリを定義し、主導する ・潜在的な顧客ニーズを再定義する ・顧客の価値認識をシフトさせる ・従来の競合が存在しない市場を創る
上記の通り、自分たちのアウトプットを「既存の比較軸」から切り離し、「新しい市場カテゴリ」を定義して育て、その領域の代表例(リーダー)として位置づける戦略です。
ポイントは“機能を足す”ことではなく、顧客の認識と行動の物差しを「新しい枠」へシフトさせることだと思っています。結果としてブランドの「似たもの同士の比較」から解放され、ブランドの指名で選ばれる土俵が出来上がっていきます。
実装する3つのフェーズ「Vision → Advocacy → Alignment」
またカテゴリーデザインの実装はVision → Advocacy → Alignmentのフローの通り進めることができます。
Step 1: Vision — 独自の視座を定義する
Step 2: Advocacy — カテゴリの認知をつくる
Step 3: Alignment — 約束を体験で証明する
まずVisionで業界の前提を問い直し、問題定義・成功指標・言語(名前)をアップデート。次にAdvocacyではカテゴリを規定して「カテゴリの認知をとっていく」。新しい概念を作ります。最後にAlignmentで、商品・接客・空間などを設計、KPIを設定しブランド体験をデザインしていくような流れです。
カテゴリーデザインは「地方」でも通用するのか?
では、このカテゴリーデザインという考え方は地方でも通用するのでしょうか?大手やメーカーだけの特権なのでしょうか?
様々な前提条件が必要だとは思いますが、結論、私は通用すると思っています。ここでは具体的にカテゴリーデザインでうまく行った事例をもとにその根拠を示していきたいと思います。
丸七製茶「ななや」(静岡)
丸七製茶「ななや」(静岡)は、“世界一濃い抹茶ジェラート”と7段階の濃さという体験の物差しで、選び方そのものを「濃さで選ぶ」に切り替えました。来店前から「お茶を飲む・買う」から「世界一濃い抹茶ジェラートを食べる」というカテゴリがインストールされ、単なるお茶屋・抹茶スイーツ屋から逸脱ができています。

うなぎの寝床(福岡・八女)
うなぎの寝床(福岡・八女)は、“現代風MONPE”という言葉で、モンペを「作業着」というカテゴリから「日常服」として活用できるようにカテゴリを変えています。
久留米絣など産地の布と結びつけて、地域の文化×毎日の装いという新しい価値を提供しています。


カテゴリーデザインの視点から見るHONEの実例
ここからは、HONEの実際の事例も少しだけ紹介したいと思います。
ブロッコる?(生鮮食品)
「ブロッコる?」(JAハイナン)では、ブロッコリーを“生鮮食品の1つ”としてではなく、「レンチン3分で食卓の主役」という新しく言語化し、コンセプト・商品形状・パッケージ・売場・接客までを一体で設計しました。
買い手の物差しを“手間→簡便・即食”へと切り替えました。
RAKURAKU OIMO(干し芋おやつ)
「RAKURAKU OIMO」では、“干し芋”を「自宅で食べるおやつ」から「持ち歩けるギルティフリーおやつ」に再定義。持ち歩きや保存性の高い商品形状に整え、クラファンやスーパー・ドラッグストアでの取り扱いを増やすことで、体験→口コミ化する設計を行いました。

石畳茶屋(カフェ・サウナ・図書館)
「石畳茶屋」では、単なるカフェ・サウナ・図書館の複合施設ではなく、「それぞれ隣り合わせの“好き”が重なる場所」をコンセプトに「みんなの居場所」と定義しました。
地元に住んでいる子ども・ 学生からビジネスマン・主婦・お年寄りにとって 毎日立ち寄りたくなるような場所になるようにつくりました。カフェのお客さんが図書館に立ち寄れるように、サウナ利用の方が帰りにカフェに立ち寄ってもらえるように、図書館を利用する方がサウナに興味を持ってもらうように、など、本来は重ならない人たちをゆるやかにつなげています。
まとめ
以上がカテゴリーデザインは地域ブランドでも通用するのか?の解説でした。
カテゴリーデザインは機能ではなく“物差し”を設計し直すアプローチで、「まずカテゴリを認知・浸透してもらう→体験してもらい実感してもらう(Alignment)」の順番が肝になります。
競合との差別化だけにこだわらず、新しい土俵をつくること、カテゴリーを作り出す工夫についての参考になれば嬉しいです。
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当社では、地方企業さまを中心に、マーケティング・ブランド戦略の伴走支援を行なっています。事業成長(ブランドづくり)と組織課題(ブランド成長をドライブするための土台づくり)の双方からお手伝いをしています。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
【記事を書いた人】

株式会社HONE
代表取締役 桜井貴斗
札幌生まれ、静岡育ち。 大学卒業後、大手求人メディア会社で営業ののち、同社の新規事業の立ち上げに携わる。 2021年独立。 クライアントのマーケティングやブランディングの支援、マーケターのためのコミュニティ運営に従事。
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