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【レポート】「無関心」の向こうに希望がある。地域ビジネスの未顧客戦略。

  • 1 日前
  • 読了時間: 7分
【レポート】「無関心」の向こうに希望がある。地域ビジネスの未顧客戦略。


2026年3月26日、静岡市人宿町のヒトヤドホールにて、「新規顧客開拓を本気で考える実践会 。地域ビジネスの未顧客戦略。」が開催されました。


講師は、株式会社HONE代表の桜井貴斗。会場には静岡の未来を担う経営者やマーケターが集まり、覚悟と熱気に包まれました。インターン生の視点から、学びの深い1日をレポートします。



株式会社HONEでは過去のセミナー資料、お役立ち資料、会社紹介資料がダウンロードできます。


セミナー資料

目次


「今すぐ客」はたったの5%?


95:5ルールとは
投影資料より|95:5ルールとは(未顧客戦略より引用)

まず会場をザワつかせたのが、市場における「95:5ルール」というお話でした。


私たちが普段広告やSNSで必死にアプローチしている「今すぐ買いたい人(インマーケット)」は、実は市場全体のわずか5%。残りの95%は、その瞬間には自社の商品に全く興味がない「未顧客」なのだそう。


多くの企業がこの5%という狭いパイを奪い合っていますが、桜井は「市場に入ってから(買おうと思って)から選んでもらうのは、もう遅い」と断言しました。未顧客戦略の書籍の中には「スーパーの棚の前での行動調査では、7割の人が迷わず特定の商品を手に取っている」というエビデンスもあります。


確かに、自分の家の冷蔵庫を開けてみると、いつもと同じお茶にドレッシングが並んでいました。つまり、「買おう」と決めた瞬間には、頭の中ですでに勝負の大部分が決まっているのです。



「そういえば、あのお店!」を作る


CEPとは
投影資料より|ブランドを思い出すきっかけを作る

選ばれる確率を上げるための鍵となるのが、CEP(Category Entry Points:カテゴリー・エントリー・ポイント)です。これは、お客さんが特定のカテゴリーを欲したときに、ブランドを思い出す「きっかけ・文脈」のこと。


たとえば、桜井が紹介したゲストハウスの事例なら、単なる「宿泊施設」という枠で戦うのではなく、


  • リモートワークで仕事に集中したいとき

  • サウナでリフレッシュしたいとき

  • 地域の面白い人に会いたいとき 


といった、日常の具体的なシーン(文脈)をいくつも設計することが重要だと学びました。


ターゲットを一人に絞り込むのではなく、入り口を増やすことで、未顧客の頭の中にある「想起のサイコロ」に自社の名前やサービスを増やしていく。これが、人口減少が進む地方ビジネスを伸ばすための正攻法になりそうです。


▼参考:カテゴリーエントリーポイント(CEP)とはなにか?




モチベーションに頼らない


桜井貴斗
セミナーの様子|弊社代表 桜井貴斗

今回の講義で印象的だったのが、「どうやって繰り返し行動(リピート)を続けさせるか」という習慣化の話です。


「習慣を身につけたいのならば、繰り返し同じ行動をしましょう!」という結論ですが、人間は基本怠惰です。私自身「走る習慣をつけよう」と思っても、大体3週間坊主で終わってしまいます。


そこで桜井は、未顧客戦略にも登場する、スタンフォード大学の教授が提唱した「フォッグ行動モデル(B=MAP)」を用いて、リピートの構造を解説しました。



フォッグ行動モデルとは
投影資料より|行動を起こすための必要な要素(未顧客戦略より引用)

人が動くには「モチベーション」「能力(実行のしやすさ)」「きっかけ」の3要素が必要ですが、実は「やる気(モチベーション)」は最も不安定で、期待してはいけないものになります。


リピートを習慣化させるコツは、モチベーションに頼るのではなく、「能力(心理的・物理的ハードル)」を下げ、適切な「きっかけ」を配置することにあります。


洗面所に歯ブラシがあるから無意識に歯を磨くように、「予約が3クリックで終わる」「通いやすい場所にある」「特定の時間になると通知が来る」といった環境をデザインすること。この「能力」と「きっかけ」の掛け合わせこそが、根性論ではない「科学的なリピート戦略」なのだと学びました。



現場の葛藤に切り込むリアルな対話


広告の効果とは
投影資料より|広告の効果って?(未顧客戦略より引用)

質疑応答では、具体的で現場の葛藤が垣間見える、熱いやり取りが行われました。


Q:広告運用において、どうしても目先の「獲得数(CV)」に追われてしまうのですが、どうすれば良いですか?


これに対して桜井は、刈り取り(今すぐ客へのアプローチ)だけに注力すると、いずれ獲得単価(CPA)が高騰して行き詰まると話します。大切なのは「販促費率」を全体で管理すること。


売上の5〜10%を販促費として設定し、その中で短期的なCV獲得だけでなく、未来の顧客を作る「認知・早期想起」にどれだけ投資できているか。目に見える数字の裏にある「構造」を読み解く視点が不可欠だと言います。



どうやって納得してもらう?


HONEセミナー
当日の様子

とはいえ、クライアントや上司には、今すぐの結果を求められてしまうのが世の常です。会場からは、「この重要性をどう納得してもらえばいいですか? 」とさらに質問が投げかけられます。


そこで桜井は、「戦術に進む前に、リサーチから始めてみてください」と自身の戦略を説明しました。自社のデータだけを見ていると、どうしても自分たちに都合の良い解釈をしてしまいがちです。


アンケートやインタビューを活用し、「なぜ選ばれていないのか」という客観的な事実を突きつけることができれば、経営層も戦略の修正に耳を傾けてくれます。事実に基づき、共通の言語で戦略を話し合うことが、プロジェクトを成功させる唯一の道だと教えてくれました。



ワーク:ビジネスを構造から作り直す


自社の存在意義とブランド構造を定義する
投影資料より|自社の存在意義とブランド構造を定義する

後半のワークでは、参加者が自社の「ブランドピラミッド」を作成しました。「自分たちは何者か」「どんなトーンで接するか」を言語化し、それを具体的な「オケージョン(利用シーン)」に紐付けていきます。


桜井が行った「静岡茶」の意識調査を例にした話では、世界進出を掲げる前に、まず足元の静岡県民が「急須でお茶を飲むシーン」を失っているという実態が示されました。


データから「まずどこを攻めるべきか」という北極星を見定めるプロセスに、会場の皆さんも真剣な表情で自社のシートを埋めていました。


▼「お茶離れ」の真実とは?




私の学び:過疎地域でのイベントの反省


西川町での地酒イベント
西川町での地酒イベント

実は2週間ほど前、私は人口4300人・高齢化率45%の山形県西川町で地酒イベントを開催しました。宣伝時の街の反応は良く、手応えを感じていたのですが、当日の集客は予測を大きく下回る結果となりました。


場所や日時、営業不足など理由は複合的ですが、今回のセミナーを受け、最大の要因は「CEP(文脈)の狭さ」にあったと痛感しました。あの時のイベントは、結果として「送迎付きでお酒をガッツリ楽しめる人」という、非常に限られた文脈でしか想起されていなかったのです。


特産品やお菓子を持ち寄る仕組みをもっと広げ、「家族で祝日の午後を楽しむ」というCEPを設計できていれば、少ない人口の中でも「誰でも楽しめる場所」として想起されたはずです。


未顧客を動かすには、こちらが用意した狭い入り口に呼ぶのではなく、彼らの日常の文脈にこちらが合わせていく。その視点が欠けていたことが、次への大きな布石になりました。



まとめ


集合写真
集合写真

マーケティングは、地域の「らしさ」を価値に変え、未来へつなぐための骨格。

桜井の言葉通り、小手先のテクニックではなく、構造から見直すことの重要性を学んだ1日でした。


「未顧客」という、まだ自社を知らない、あるいは興味を持っていない広大な市場。その無関心から逃げずに、データと熱意を持って挑む覚悟がある場所にこそ、ビジネスの新しい可能性が眠っているのでしょう。



HONEのサービスについて


HONEでは、地方企業さまを中心に、マーケティング・ブランド戦略の伴走支援を行なっています。事業成長(ブランドづくり)と組織課題(ブランド成長をドライブするための土台づくり)の双方からお手伝いをしています。


HONEの流儀

大切にしている価値観は「現場に足を運ぶこと」です。土地の空気にふれ、人の声に耳を傾けることから始めるのが、私たちのやり方です。


学びや知恵は、ためらわずに分かち合います。自分の中だけで完結させず、誰かの力になるなら、惜しまず届けたいと思っています。


誰か一人の勝ちではなく、関わるすべての人にとって少しでも良い方向に向くべく、尽力します。地域の未来にとって、本当に意味のある選択をともに考え、かたちにしていきます。



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最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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【記事を書いた人】


森勇人

株式会社HONE

インターン / マーケター見習い 森勇人


静岡生まれ、静岡育ち。 大学3年次、1年の休学をして全国36都府県を巡る。山形県西川町では3ヶ月の地域おこし協力隊インターンを経験。 復学後、ご縁があり株式会社HONEにてインターン/マーケター見習いとして奮闘中。


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