【東静岡アリーナ計画】寄付金不足から考える、市民の「ペイン解消」を起点としたハコモノの活かし方とは?
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現在、全国の自治体でスタジアムやアリーナの建設計画が乱立しています。
その波は、私の地元である静岡市にもやってきました。2030年春の開業を目標に進められている「JR東静岡駅北口のアリーナ建設計画」です。
約1万人規模を誇る夢のあるプロジェクトですが、一方で資材高騰などの影響により事業費は膨張。総額約363億円のうち、静岡市の負担額は約300億円に上る見込みとなっています。
今回は、このアリーナ計画と現在課題になっている「寄付金不足」という現状を整理しつつ、単なる「賛成・反対」の議論を超えて、私たち地域プレイヤーが持つべき「ローカルマーケティングの視点」について考えてみたいと思います。
全国で相次ぐ「アリーナ建設ラッシュ」の背景
いま、全国各地で100億円を超えるようなスタジアムやアリーナの建設計画が次々と立ち上がっています。東洋経済の集計によれば、その数は全国で65カ所以上にも上ると言われています。
この背景にある大きな要因の一つが、2026年からスタートするプロバスケットボール「Bリーグ」の最上位カテゴリー『B.LEAGUE PREMIER(Bプレミア)』の存在です。
このBプレミアに参入するためには「5,000人以上を収容できるアリーナ」などの厳しい基準を満たす必要があり、結果として全国の自治体にハコモノ建設のプレッシャーがかかっているという構造があります。
東静岡アリーナ計画の「現在地」と寄付金不足のリアル
静岡市が計画している東静岡アリーナも、まさにこの流れの中にある巨大プロジェクトです。現在はNTTドコモを代表とするグループが落札し事業が進められていますが、ここで直視しなければならないのが以下の数字です。
総事業費: 約363億円
静岡市の負担額: 約300億円
寄付金の目標額: 25億円
静岡市は巨額の財政負担を少しでも軽減するため、企業や個人から「25億円」を目標に寄付金を募っています。
しかし報道によると、今年4月末時点での集まりは約1億2400万円。目標の5%にも満たない状況です。市議会では「周知不足」と危機感が示されていますが、果たして課題は「周知」だけなのでしょうか。
なぜ、アリーナにお金が集まらないのか?
厳しい言い方になりますが、アリーナにお金が集まらない根本的な理由は、「アリーナを活用することで、市民にどんなメリットがあるのか」が全く伝わっていないからだと考えています。
例えば、寄付の特典として「施設に名前が刻まれること」をアピールしたとします。しかし、それで財布の紐を緩めるのは、最初からアリーナ建設を熱望している「賛成派」や「スポーツファン」だけです。
それでは決して広く資金を集めることはできず、現状のやり方のままではせいぜい3億円程度で頭打ちになってしまうのではないでしょうか。
「市民のペイン解消」から逆算するCEP設計
これだけ巨額の公金が投入される以上、ただ行政の進め方を批判して終わるのではなく、「どうすれば地域に還元できるのか」をビジネス視点で考える必要があります。
ヒントになるのは、北海道の「エスコンフィールドHOKKAIDO」や、長崎県の「長崎スタジアムシティ」の事例です。


これらの施設が優れているのは、「スポーツやライブに全く興味がない人でも楽しめる施設」が併設され、日常的に人が集まる空間になっている点です。
美味しいご飯が食べられる、子どもを安全に遊ばせられる、サウナや温泉でリフレッシュできるなど、日常の延長線上に施設が存在しています。
東静岡アリーナに必要なのも、まさにこの視点です。
「市民のどのようなペイン(悩み・課題)を解消する空間になるのか?」という根本的な問いから逆算し、寄付活動や施設のあり方をデザインする。つまり、顧客が利用する入り口=CEPs:Category Entry Points)を丁寧に設計し直さない限り、市民からの共感も資金も得られないと思っています。
▼参考:カテゴリーエントリーポイント(CEP)とはなにか?事例、参考になる本/書籍を紹介
アリーナにも「骨のあるマーケティング」を
当たり前ですが、アリーナは「建てて終わり」のハコモノではありません。開業してからが本番です。
私たちHONEが提唱する「地域に骨のあるマーケティングを実装する」という観点から言えば、今このプロジェクトに最も必要なのは、建物のスペックやスポーツの熱狂、物語を語ることではなく、「アリーナを核として、市民の暮らしをどう豊かにするのか」というグランドデザインを描き、提示することです。
東静岡アリーナが、未来の静岡に重くのしかかる「負の遺産」になるのか。それとも、市民の課題を解決し、地域経済を回す「新たな拠点」になるのか。地域のプレイヤーとして、引き続きこの動向を注視し、必要なアクションを考えていきたいと思います。
HONEは地域に根ざし、現場に足を運ぶ地方マーケティング会社です。
日本の地方には、魅力的な商品・サービスがたくさんあります。
地方に根ざしたブランドの志や文化、人々の誇りや営み。HONEはそうした人たちの想いを価値に変えるべく、現地に出向いてきました。 私たちは、文化と経済の「骨」を設計し、地域の「らしさ」を未来へつなげる仕組みを育てます。 論語と算盤。想いと仕組み。美学と実行力。 その両立を、マーケティングの力で実装していきます。

▼HONEにできること
語られていない価値の「骨」を探す
商品や地域の中にある「想い」や「背景」は、まだ言語化されていないだけかもしれない。 それらを丁寧にすくい上げ、ブランドの芯として翻訳します。 見落とされがちな隠れた価値に役割を与えることが、事業の骨格をつくるはじまりです。
現場に入り、五感を使って「骨」を磨く
戦略も仕組みも、現場を歩き、対話することから始まります。 地形、歴史、空気、人の言葉やまなざし。デスクリサーチでは捉えきれない情報を五感で受け取り、定量と定性、論理と情緒、ロマンとそろばんを掛け合わせて、設計に落とし込みます。
手を動かしながら、「骨」を強くする
支援とは、プランを出して終わりではありません。 現場に入り、泥臭く、時に失敗しながら共につくりあげていきます。 頭で考えて、手足を動かす中で生まれる「実感」こそが、骨を太くし、しなやかに持続する構造を育てていきます。
文化となる「骨格」を、未来へ残す
目指すのは、ただ売ることではありません。 地域に根ざした文化や営みに芯を通し、事業として持続可能なかたちに育てていくこと。短期的な成果ではなく、関わる人たちの誇りとなり、語り継がれていく仕組みをデザインします。 HONEは、経済と文化をつなぐ骨を共につくり、未来へと残していきます。

▼HONEの強み
01/一貫サポート
戦略設計から実行〜検証まで。経営課題の整理から、現場を動かす具体的な仕組みづくりまでを、一貫して支援します。リサーチ・企画・実装・振り返りのすべてに伴走し、商品・サービスの価値を再定義しながら、現場に根づく事業を共につくります。目指すのは、短期的な成果だけでなく、文化が息づき、長く続く事業と地域のかたちです。
02/現場主義
デスク上、リモートワークでは見えない、地域の空気や人の温度に触れる。HONEは現地に足を運び、実際に現場の風景・人の営みに向き合いながら、これまでの現場で得た経験則を元に戦略・戦術に反映していきます。現在起こっている事実に基づく分析はもちろんのこと、解釈に現場の五感で得た気づきを重ね合わせ、実装へとつなげていきます。
03/全国実績
北は北海道、南は沖縄まで、一次産業から観光、教育、行政、ベンチャー、スタートアップ、アトツギなど、多種多様なプロジェクトに携わってきました。たくさんの地域を見てきたからこそ、それぞれの良さに気づくことができます。そして土地に根付くその事業の「らしさ」を、より鮮明に見つけることができます。全国各地で積み重ねた知見を、次の挑戦に活かします。
04/産学官連携
企業・教育機関・行政と手を取り合い、対話を重ねながらプロジェクトを推進しています。 単なる連携にとどまらず、それぞれの立場が持つ知見や資源を持ち寄り、地域に根ざして実装していくこと。 現場での実践と、学びの場での理論、そして制度や仕組みをつなぐ橋渡しとして、多様なセクターの信頼を得ながら取り組みを展開しています。

なぜ今、“地方”でマーケティングが必要なのか
マーケティングという言葉には、しばしば「スケールする」「売上を伸ばす」といったイメージが付きまといます。しかし、地方において本当に必要なのは、そうした直線的な成長だけではありません。人口減少、担い手不足、そしてインフラや情報環境の未整備。多くの地域が、さまざまな制約の中で日々の営みを続けています。
制約が多いからこそ、その土地に根ざした価値を継続し、文化や人々の想いを循環させていくための工夫が欠かせません。マーケティングの論理をそのまま持ち込むのではなく、人肌を大切に、想いを大切に、未来へとつなげていく。実装力と創造力を備えた「地方のマーケティング」が必要です。

地方に必要なのは、「地域理解」
こうした現場においてまず必要なのは、「何をどう売るか」よりも先に「この地域には何があるのか」「何を残していきたいのか」を知っていく姿勢。つまり「地域理解」です。ブランド構築の土台を固めるには各レイヤーごとに把握すべきポイントを理解することが重要です。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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【記事を書いた人】

株式会社HONE
代表取締役 桜井貴斗
札幌生まれ、静岡育ち。 大学卒業後、大手求人メディア会社で営業ののち、同社の新規事業の立ち上げに携わる。 2021年独立。クライアントのマーケティングやブランディングの支援、マーケターのためのコミュニティ運営に従事。











