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【2025年版】地方マーケティングの新常識──地域・事業・組織をまるごと捉えるアプローチとは?

  • 執筆者の写真: 桜井 貴斗
    桜井 貴斗
  • 1月28日
  • 読了時間: 15分

更新日:3月30日

【2025年版】地方マーケティングの新常識──地域・事業・組織をまるごと捉えるアプローチとは?

「地方マーケティング」とは何なのか?


長年地方に根ざして働いているとわからなくなることがあります。


なぜそうなるか考えたところ、オンラインとオフラインが交錯し、BtoBもBtoCも横断的に考えなければならない現場では、経営戦略も事業戦略もスタッフの悩みも、すべてが結びついているからだと感じました。


本記事では、「市場環境分析」「事業構造理解」「地域理解」「顧客理解」の4つのレイヤーを軸に、地方マーケティングの複雑さと、そのなかで成果を上げるためのポイントをまとめました。多面的な観点を身につけたい経営者・事業者の方向けに記事を書いています。



目次



地方マーケティングの特徴とは


地方マーケティングは、都市圏とは異なる市場環境や文化が交錯し、多面的なアプローチが求められます。ここでは、なぜ複雑化するのか、その理由と背景を探っていきます。



地方マーケティングが複雑怪奇になる理由


地方マーケティングが複雑に感じられる背景には、BtoBとBtoCの両面に加え、オンラインとオフラインの手法が同時並行で求められる点が挙げられます。


さらに、地域ごとの文化や産業構造、生活習慣などが絡み合い、一筋縄ではいかない現状が存在します。たとえば、観光地を抱える地域ではシーズナリティによる売上変動が大きく、一次産業が主要産業となっている地域では天候や市場価格に左右されるケースもあります。


このように、横断的な視点をもって地域全体を捉えなければならないため、部分最適だけでは十分な成果が得られないのが、地方マーケティングの「複雑怪奇」な本質といえるでしょう。




専門領域の分断を超えて全方位を見渡す必要性


地方では、一つの専門領域だけに特化しても、クライアントが抱える課題を十分に解決しきれない場合が多々あります。単価が大都市に比べて低いこともあり、広報・広告・販促だけでなく、事業戦略や組織開発にまで踏み込んだ総合的な支援が求められるのです。


実際に、SNS運用を依頼されたとしても、「スタッフが業務を回すリソースが足りない」「経営者のビジョンが明確でない」など、根本的な問題が別のところにあるケースもあります。専門分野の深い知識を持ちながら、同時に全方位的な視点を備えていくことが、地方マーケティングの現場では欠かせません。



まずは市場環境分析から


市場規模や競合状況を正確に把握することは必須です。地元だからこその強みや弱みを客観的に見極めることで、打ち手の優先順位が明確になります。


ここでは市場のボリュームと競合優位性の把握、業界トレンドや季節要因のチェックについて深掘りして解説をしていきます。


市場環境分析


市場のボリュームと競合優位性の把握


地方における市場環境分析の第一歩は、対象地域の人口構成や産業構造を踏まえた市場のボリューム把握です。たとえば、人口は少なくとも購買力が高い高齢者層が多い地域、逆に人口は多いが可処分所得が低い地域では、同じ戦略が通用しない場合があります。


また、地域には独自の老舗企業や名物が存在することが多く、新規参入が難しい分野や参入障壁が低い分野の見極めも欠かせません。自社の強みを生かし、どう差別化を図るかを検討するためにも、まずは定量的・定性的なデータを収集することが重要です。


例えば、私たち事業である「民泊」ですが国内インバウンドを狙うのか、静岡県のインバウンド市場を狙うのか、静岡県で民泊利用を前提としている人たちを狙うのかによって変わってきます。


民泊の市場規模
静岡県における民泊市場規模の算出ロジック

このように、「カテゴリー」→「エリア」→「カテゴリー×エリア」のように市場を絞り込みながら試算するのも一つのパターンだと思います。



業界トレンドや季節要因のチェック


地方ビジネスの多くは、観光・農業・製造業など、季節要因や時期的イベントの影響を強く受けます。収穫期や観光シーズンに合わせたキャンペーンの設計が必要だったり、地方の特産品を取り巻く全国的なブームやトレンドが売上を左右したりします。


これらを踏まえたうえで、競合企業がどのような打ち手を実践しているのか、地域の消費者が今どんなニーズを持っているのかを継続的に観察することで、最適なタイミングやチャネルを見極められます。


トレンドと季節要因の両輪で分析を行うことで、より実践的なマーケティング戦略が組み立てられるのです。


例えば、静岡県では「いちご狩り」ができるのですが、Googleトレンドで調べてみると、2月〜3月のアクセスがとても多いことが見て取れます。


いちご狩りの検索数
「いちご狩り」の2月〜3月の検索数が上昇している(Googleトレンド)

どのタイミングで市場が活性化するのか、動きが出るのか?を把握することはとても大切となります。



事業構造を理解する


市場環境を捉えたら、自社やクライアントの事業構造を把握する段階へ進んでいきます。利益がどんなところで生まれ、どんな組織体制やビジネスモデルが長続きするのかを見極めることがポイントです。


ここでは事業モデルと組織の話を盛り込んでまとめてみました。


事業構造を理解する


利益が残る仕組みづくりと長続きする事業モデル


人口減少・産業衰退が身近にある地方では、最終的に利益が安定的に確保できるかどうかが最大の焦点となります。特に人口減少や高齢化が進む地域では、現状の市場規模を維持・拡大するだけでも難易度が高い場合があります。そのため、中長期を見据えた持続可能なビジネスモデルの構築が不可欠です。


具体的には、地域の強みを活かしたブランド化や、既存チャネルにはないオン・オフ融合の販売ルート開拓などが挙げられます。また、収益だけでなく、地域社会への貢献度や雇用の維持も重視されるため、多角的な視点での“利益”が求められます。



経営者のビジョンからスタッフの現場感まで


地方企業においては、経営者の想いとスタッフの現場感が乖離してしまうと、組織全体のモチベーションを下げる大きな要因となってしまいます。


例えば、経営者は全国区への進出を狙っているものの、スタッフは地元密着で十分と考えているケースは結構あります。どちらも大切にする、というのが理想ではありますが経営リソースをどこに配分するのかは最終的には経営者のジャッジとなります。


このギャップを埋めるためには、経営者のビジョンを共有しつつ、現場のスタッフが感じている課題や悩みを丁寧にヒアリングしていくアプローチが欠かせません。


ビジネスモデルやマネタイズ手法だけでなく、組織開発の視点を含めた包括的な事業構造理解が、事業を長く続けるための基礎となります。


組織と実行力
いくら実行力があったとしても組織の合意形成がされていなければ実行力は発揮されない。(©️HONE)


地域理解の重要性


マーケティング活動を成功させるには、その土地ならではの文化や風土、産業構造を捉えることが不可欠となります。地域の特性を無視した施策は、かえって逆効果になることさえあります。


ここでは地域理解とは何か?具体的にどんな手法があるのか?について解説します。


地域理解の重要性


地域固有の文化・産業・人々の特色を掴む


地域独自の祭りや行事、歴史的背景、さらに気候や産業構造は、消費者行動やビジネス連携に大きな影響を及ぼします。


例えば、ある地方では農閑期にイベントを集中させることで集客を狙えたり、別の地方では冬季は交通が遮断されるためデリバリーに工夫が必要だったりします。


また、商習慣や価格設定などにも独自の慣例があり、都市部の常識をそのまま持ち込んでも通用しない場合があります。こうした地域特性を理解するには、地元の方々との対話や実地調査を継続的に行うことが重要です。


定性的な話ですが、東北の方々は我慢強い人が多く、あまり相談事を公にしない傾向があると思います。一方で九州の方々は陽気な人が多く、オープンなコミュニケーションをとることが多いです。このように土地柄によってのコミュニケーションのクセを把握することも地域理解だと思っています。


そのため、現地に訪問して空気感を感じることがとても大切となります。私たちが手がける用宗地区での民泊も、地域の人との交流も兼ねて定期的にボランティアに参加しています。


用宗海岸にて海岸清掃ボランティア中の様子。


越境や広域連携を視野に入れる


地方が単独で内向きに完結するのではなく、周辺地域や都市圏との連携を考えることで、新たな顧客層や販売チャネルを得られる可能性が広がります。


最近増えているのは、複数の自治体が連携した観光ルートの開発や、地域資源を活かした共同ブランドの立ち上げなどは、単独よりも注目度を高める有効な手段です。


さらに、オンラインを活用すれば、地理的制約を超えて商品やサービスを届けることが可能になります。地域ブランドとして認知が進んでいけば越境ECや共同出資のプロジェクトなど、地域をまたいだパートナーシップは今後ますます重要性を増していくと思います。



顧客理解をより深める


続いて、顧客理解のフェーズです。ターゲットが個人(BtoC)なのか企業(BtoB)なのかで戦略は大きく変わります。データと実際のコミュニケーションを組み合わせ、多角的に顧客を捉える視点が求められます。


顧客理解

まずは顧客の商品・サービスを利用する


顧客理解の第一歩は商品・サービスを体験することです。それは顧客側から無償で提供されるような状態ではなく、一消費者として実際にお金を払って体験することがとても大切です。


お客さんの気分になって体験することで感動すること、満足度が高いと感じたことがわかります。一方で、改善点も見つかることが多いため、あくまでの消費者の立場で商品・サービスを体験してみることが大切です。その経験が今後の提案に必ず生きてきます。



toBからtoC向けのアプローチ拡大


地方特性によっては製造・生産に特化し自分たちで販売せずに卸問屋や組合に納品しているケースもよく見受けられます。しかし最近はDtoC(Direct to Customer)も増えてきたため「今後は自分たちで直接販売をしていきたい」という声も増えてきました。


一方でお客様(一般消費者)へのコミュニケーションに不慣れだったり、商品発送のスピードが注文時期によってまちまちだったりと、提供サービスがまだ万全ではないケースも散見されます。そのため、いたずらにtoCを勧めるのではなく、まずは事前準備を行ってからのアプローチをお勧めしています。



地方マーケターの“あるある”に学ぶ


地方でマーケティング支援を行うと、さまざまな依頼や課題が同時進行で持ち込まれることがあります。依頼や課題は常に1つではなく、同時進行で進むケースが多いからです。ここでは、現場でありがちなケースと、その解決のヒントをご紹介したいと思います。


クライアントワークに加えて学校教育の場に行く際も
クライアントワークに加えて学校教育の場に行く際も


多岐にわたる相談と課題が同時多発する現場


専門領域のあるコンサルティングとは異なり、地方マーケターには「売上を上げる方法」や「SNS運用」だけでなく、「スタッフ採用」「商品パッケージ開発」「補助金申請」など多種多様な相談が寄せられます。いわゆる、何でも屋状態です。


この背景としては、リソースの限られた地方企業では、悩みを総合的に見てもらえるパートナーを探していることが多いからです。こうした状況では、一つの専門分野にとどまらず、全方位的なサポートが求められるため、課題を横断的に整理しながら優先度を付けて対応していく力が試されます。



成功事例と失敗事例から得られるリアルな知見


地方マーケターの強みは、多様な事業や業界に関わる中で蓄積された成功事例と失敗事例があることに加え、横のつながりが強いため様々な事象をシェアしています。


成功事例では、「どういう組み合わせが効果的だったのか」「どのように地元の人々を巻き込んだのか」といった具体的なアプローチが役立ちます。一方、失敗事例からは「(結果的に)地域文化を軽視してしまった事象」や「リソース不足で計画倒れになった」など、事前に回避できる課題をシェアしています。こうしたリアルな知見こそが地方ならではの実践的なノウハウといえます。


定期的に会社の壁を越えて全体研修をしたり、ナレッジシェアの場をつくったりしています。


熊野古道でのマーケティング合宿の様子
熊野古道でのマーケティング合宿の様子


地方において、伴走支援・コンサルティングが果たす役割


地方の企業や組織は、単発の施策のみならず継続的なサポートを必要とするケースが多く存在します。ここでは、伴走支援の意義とメリットを解説していきます。



経営者・スタッフのパートナーとしての視点


伴走支援とは、単にノウハウを提供するだけでなく、経営者の想いやスタッフが抱える現場の悩みに真摯に向き合うことから始まります。


施策の効果がすぐに数字に現れにくい地方マーケティングの現場では、戦略の見直しやスタッフ教育に至るまで、一緒に走りながら軌道修正を重ねる姿勢が大切です。経営者が描く将来ビジョンを共有し、そのビジョンに共感できるスタッフのモチベーションをいかに高めていくか。外部のコンサルだからこそ俯瞰的に見えるポイントを活かし、内なる課題を一緒に乗り越えていくのが伴走支援の醍醐味でもあります。


そのため、弊社ではまず現場に出向いて課題をヒアリングし、膝を突き合わせながら課題解消に向けて向き合う時間を作っています。


【研修】一般社団法人長崎県地域おこし協力隊ネットワークさま「道徳と経済を両立させるマーケティング思考」
【研修】一般社団法人長崎県地域おこし協力隊ネットワークさま「道徳と経済を両立させるマーケティング思考」

弊社の伴走支援実績はこちらからご覧いただけます。



地域×マーケティングのプロがもつ網羅的な知識


地域マーケティングの現場では、広告や販売促進だけでなく、商品開発、PR、資金調達、組織づくりなど、さまざまな要素が複雑に絡み合っています。


ここで外部のプロが果たすべき役割は、断片的なスキルではなく、複数の領域を結びつける“架け橋”となることです。SNS運用の改善を提案する際でも、組織内の担当者配置や、制作物のクオリティコントロールなど、多面的にサポートしてはじめて成果が出る場合があります。


網羅的な知識を活かし、点ではなく面で解決策を提示できるのが、大きな付加価値と言えるでしょう。



まとめ──地方で成果を上げるために必要な視野


地方でマーケティング施策を成功させるには、複数の視点を同時に捉えられる総合力が欠かせません。ここまでのポイントを改めて整理しましょう。


市場分析・事業構造理解・地域理解・顧客理解
地方マーケティングには、「市場環境分析・事業構造理解・地域理解・顧客理解」の4つのフェーズがある。


4つのレイヤーを横断して課題解決するアプローチ


「市場環境分析」「事業構造理解」「地域理解」「顧客理解」の4つのレイヤーいずれが欠けても十分な成果は得られないと思っています。


例えば、地域の特色を掴んだとしても事業構造が伴わなければ利益には結びつきにくいですし、顧客理解が不足すればせっかくのマーケティング施策も的外れになりかねません。これらのレイヤーを意識しながら、情報を繋ぎ合わせていくことで、複雑に見える地方マーケティングの全体像を正しく捉えられるようになります。



地方マーケティングの今後と可能性


オンライン販売やリモートワークの普及も追い風となり、地域を越えた連携やビジネス機会が増えていることに加え、人口減少や高齢化が進む一方で、地方にはまだ見ぬ資源や独自の強みが数多く眠っています。


今後、行政や大企業との協働、インバウンド需要の回復など、さまざまなチャンスが考えられます。課題も多い一方で、地域と共に成長していく喜びは地方マーケティングならでは。これからも新たな可能性を開拓しながら、地方と都市の垣根を超えたビジネスチャンスを創造していくことが求められます。



HONEが提供する伴走支援・コンサルティングのご案内


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HONEの強みと実績


現場主義:

弊社では現場主義を貫いています。1年間で20都道府県の現場を見てきたため、地域や課題に対する解像度が高いのが特徴です。


一貫性:

戦略「だけ」ではなく、戦術「だけ」でもない、一気通貫したサポートを行っています。また場合によっては外部の専門的なパートナーを入れながらチームを組むことも行なっています。


全国での実績:

北は北海道から南は鹿児島まで、全国の地方に足を運んでサポートしています。多種多様な業種・業績の経験があるため、様々なケースに対応できます。


HONEの強みと実績


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最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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【記事を書いた人】


株式会社HONE  代表取締役 桜井貴斗

株式会社HONE

代表取締役 桜井貴斗


札幌生まれ、静岡育ち。 大学卒業後、大手求人メディア会社で営業ののち、同社の新規事業の立ち上げに携わる。 2021年独立。 クライアントのマーケティングやブランディングの支援、マーケターのためのコミュニティ運営に従事。


※本記事は一部AIを活用して執筆しています。

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