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メンタルアベイラビリティ・フィジカルアベイラビリティを最大化するオケージョン仮説のプロセスとは?

  • 執筆者の写真: 桜井 貴斗
    桜井 貴斗
  • 5 日前
  • 読了時間: 13分
「売れない」を「売れる」に変える!アンケート調査で重視するべきポイントとは?

“欲しい”と“買える”のギャップを埋める――。


ブランド成長の鍵を握るメンタルアベイラビリティ(想起しやすさ)とフィジカルアベイラビリティ(手に取りやすさ)をに拡張するには、生活者の「その瞬間=オケージョン」を見極めることが不可欠です。


本稿では、オケージョンの仮説を立てる 5つのプロセスを紹介しながら、両アベイラビリティを最大化する実践フレームを解説します。


メーカー担当者・経営層・自治体・地方事業者の皆さまが、“買われる構造”を設計するヒントとしてご活用ください




株式会社HONEでは過去のセミナー資料、お役立ち資料、会社紹介資料がダウンロードできます。


資料


目次




なぜ今、メンタルアベイラビリティ・フィジカルアベイラビリティなのか?


「メンタルアベイラビリティ」と「フィジカルアベイラビリティ」は、ブランド成長を左右する二つの車輪です。


メンタル・フィジカルアベイラビリティ
確率思考の戦略論より一部流用

▼メンタルアベイラビリティ

「あるブランドがカテゴリー想起の第一候補としてどれだけ簡単に思い出されるか」の指標。第一想起されると消費者の頭の中で“買う理由”に変換される。


▼フィジカルアベイラビリティ

「買いたいと思った瞬間に、実際に商品へアクセスできる」指標。流通・立地・パッケージサイズ・UI など“買える理由”を高める設計のこと。


デジタル接点が爆発的に増えた現在、消費者は膨大な選択肢を瞬時に比較できるため、「思い出せるか」「すぐ手に入るか」が購買決定に直接的な要因となります。


加えて、少子高齢化で国内市場のパイが縮小する日本では、一人ひとりの購買機会を取りこぼさない競争が激化しています。


SNS広告やD2Cの台頭で“記憶の棚”には常に新しい商品が並び、ECや即配サービスが“物理的障壁”を解体した結果、メンタルとフィジカルの差が売上の差として顕在化しました。さらにサブスクモデルの普及は購入頻度を細分化し、ブランド間の切り替えコストを低下させています。


今こそ「記憶への投資」と「接点の整備」をワンセットで設計し、顧客体験全体を滑らかにする戦略的思考が求められています。



オケージョン仮説とは――CEP を手掛かりに「買われる場面」を切り取る


「オケージョン仮説」とは、消費者が商品やサービスを購入・利用する「場面」を具体的に定義し、その場面にブランドをはめ込むための思考フレームです。


場面=オケージョン(利用シーン)を具体的に仮説立てしておくことで、ターゲットが具現化できる・どんなことにプレファレンス(好意度)を感じるかが絞り込むことができます。


オケージョン仮説とは

従来のペルソナ設計が“誰が”に重きを置くのに対し、オケージョンは“いつ、どこで、どんな気分で”を起点にします。


背景には、働き方の多様化やライフスタイルの断片化により、同じ人でもその時の体調、誰と一緒にいるか、などによって購入決定要素が異なることがあります。


ブランドは、このモード=文脈(オケージョン)を先読みして適切なメッセージとチャネルを配置することで、想起と購買の摩擦を低減できます。


ここではオケージョンの定義とオケージョンを施策へと落とし込むカテゴリーエントリーポイント(CEP)について解説していきます。



オケージョンの定義


オケージョンとは、消費者がある商品カテゴリーを想起し、最終的に購買行動へ移る具体的な「状況」や「場面」を指します。


属性や価値観の違いよりも、時間帯、場所、同行者、感情、身体状態などの“特定の場面の文脈”に焦点を当てる点が特徴です。


たとえば「午後3時、会議前に頭を切り替えたい」「雨の日の在宅ワークで暖を取りたい」といったシーンが具体的なオケージョンに該当します。


重要なのは、オケージョンが静的な条件ではなく、日々変動する生活リズムや社会環境と連動していることです。そのため、オケージョンの把握には定量ログだけでなく、定性インサイトの深掘りが欠かせません。


企業はオケージョンを軸にブランドのタッチポイントを再設計することで、同一人物の多様な購買モードを取りこぼさずに取り込むことが可能になります。これにより、複数ブランドが混在する差別化しにくい成熟市場でも、ターゲットの“今この場面”に合わせた独自の価値を提供し、選択される確率を高められるのです。



カテゴリーエントリーポイント(CEP)との関係


オケージョン仮説を立てる際の羅針盤となるのが、カテゴリーエントリーポイント(CEP)の抽出です。CEPとは、新しい市場に参入する際や新商品・サービスを展開する際に、消費者の心に強く印象を残すための戦略的なアプローチを指します。


例えば「喉が渇いた」「頑張った自分へのご褒美」「急な来客で手土産が必要」など、購入を強く動機づける心理的・機能的トリガーが CEP に当たります。


カテゴリーエントリーポイント(CEP)

ブランドはCEP で想起される確率を高めることで、競合より一歩先に「選ばれる理由」をつくることができます。


オケージョンが“シーン全体の文脈”だとすれば、CEP はそのシーンで想起されるキーワード(単語)のようなものです。


CEP を特定することで、メッセージの焦点がぼやけることなく、広告コピーから配荷先、パッケージデザインまで一貫性を持たせることができます。


また、CEP はデータ分析の単位にもなるため、各 CEP ごとに想起率や購買率を計測すれば、投資の打ち手と成果を KPI ベースで紐づけられます。結果として、メンタルとフィジカル両面のボトルネックを可視化し、資源配分の最適化を実現できるのです。


特にメディア接触が断片化する現代では、限られた広告予算を“勝てる CEP”へ集中投下することが、ブランド成長の最短ルートとなります。



オケージョン仮説を構築する5つのプロセス


ここでは具体的にオケージョン仮説を構築する5つのプロセスについて解説していきます。


主には以下の①〜⑤の順序で考えていきます。


①調査によってオケージョンを洗い出す

②オケージョンごとのプレファレンスを決める

③3つの競合ごとに対象を洗い出す

④策定したオケージョンとプレファレンスごとの優先度を決める

⑤ターゲットを設定し数字を試算する


オケージョン仮説を構築する5つのプロセス

①調査によってオケージョンを洗い出す


定量調査(アンケート)、定性調査(デプスインタビュー・座談会)、現地調査(フィールドマーケティング・現地視察)などで消費者の具体的な行動を把握します。


調査の具体的な方法については以下の記事を参照ください。


「売れない」を「売れる」に変える!アンケート調査で重視するべきポイントとは? https://www.hone.jp/post/questionnairesurvey_point
「売れない」を「売れる」に変える!アンケート調査で重視するべきポイントとは?


②オケージョンごとのプレファレンスを決める


その後、ファクトに基づいて頻度の高いオケージョンを選別し、そのオケージョンごとにどんなプレファレンスによって購買決定がなされているか?を仮説立てします。


単にプレファレンスが高いのではなく、「そのオケージョンだからこそプレファレンスが高くなる」というポイントを探っていきます。



③3つの競合ごとに対象を洗い出す


その後、そのオケージョン・プレファレンスは競合と比較して優位性が高いのか?について検討していきます。


競合との優位性を検討する際に単に同じカテゴリー競合だけでなく、ジョブ(同じ仕事をこなす競合)、タイム(同じ時間を奪い合う競合)も一緒に調査する必要があります。


③3つの競合ごとに対象を洗い出す
コンセプトの教科書より流用

上記のKindleの競合は紙の書籍やリアル書店は「ジョブ(同じ仕事をこなす競合)」であり、Netflixは「タイム(同じ時間を奪い合う競合)」となります。


自分たちと同じ業界のブランドだけが競合ではない、という視点が必要になります。



④策定したオケージョンとプレファレンスごとの優先度を決める


その後、プレファレンスの競合を検討の上、ペイン(顧客の悩み)の大きさ、バリア(買わない理由)の大きさを鑑みて最終的に優先度の高い文脈(オケージョン)を決めていきます。


ポイントは消費者の行動を変えるのではなく、今の消費者の行動の中にいかに自分たちの商品・サービスを入り込ませられるか?ということです。消費者の行動はすぐには変わらないため、行動の中に入り込んでいくことが求められます。



⑤ターゲットを設定し数字を試算する


最後に優先度の高いターゲットを選びます。


選定の際、該当ターゲットがカテゴリーシェアのx%いるか、実施した際に増分リーチがどの程度を見込めるかを把握しておくことが重要です。


以上がオケージョン仮説を構築する大まかなプロセスとなります。


オケージョン仮説をもっと知りたい!という方は弊社の過去ウェビナーをご覧ください。詳しく解説をしています。


オケージョンの仮説を立てるプロセスを公開します -地方マーケティング実戦学編-

ダウンロードはこちらから


HONE桜井が愛してやまない「戦略ごっこ(芹澤蓮さん著)」を読み解き、地方のビジネスに落とし込む応用セミナーです。「ターゲット・オケージョン・プレファレンス」の解説から、実際の事例をもとにして現場で活用できる実戦的な内容をお話します!希望者には後日無料壁打ち・個別相談会も開催しますので、気になる方はぜひご参加いただけると嬉しいです。


HONE が提供する5つのマーケティング研修プラン


以上が解説でした。


とはいえ「オケージョンやCEPは大切だと思うけど、何から始めていいかわからない…」。そんな方に向けて複数の研修プランをご用意しました。オケージョン以外にも多数の研修を用意しておりますのでご一緒に紹介させていただきます。


研修の目的は、「地方でマーケティングを扱う、私自身が考える"マーケティングとはなにか?"」を一緒に学び理解いただくことにあります。「誰に、どんな価値を伝えたいのか?」を策定をし、自社のポジショニングや競合優位性、ユーザーインサイトなどの変数を見極めて、勝ち筋を決めていきます。


マーケティングを体系的に広く学びたい方には、「MVV(ミッション/ビジョン/バリュー)の言語化、事業モデル検討、ターゲット/提供価値の策定、商品/サービスのコンセプト設計/調査/検証」などを全5回で一式学べるカリキュラムをご用意しています。


また、マーケティングにおいてピンポイントで学びたい領域がある方は、「CEPアイデア創出ワークショップ」「コンセプト開発ワークショップ」など領域特化型の研修を受講することが可能です。



HONEのマーケティング研修プランの特徴


HONEのマーケティング研修プランの特徴は「何からはじめていいかわからない」人に向けたテーマを複数設定しているところにあります。


ひとくちに「マーケティング」といってもその領域は非常に多岐に渡ります。お悩みや深めたい領域にあわせ、体系的に学びアウトプットまでできるワークショップ型のプランをご用意しています。


具体的には、


  • 基本を体系的に学びたい

    • 「何から始めていいかわからない」という方を対象に体系的かつ構造的学べるようにしています

  • 従業員に学びの場を作りたい

    • 基本を体系的に学ぶことができます。

      インプットだけでなくアウトプットの場も用意しています

  • 抽象度の高い領域を理解したい

    • マーケティング戦略、コンセプトなど、

      抽象度の高い領域の解像度を高めたい方にもおすすめです


といったニーズに応えています。


HONEのマーケティング研修プランの特徴

続いて、5つのマーケティング研修プランを説明していきたいと思います。



①ブランド戦略講座(全5回)


代表・桜井がこれまで学んできた経営学、マーケティング/ブランド戦略に加え、この数年間、地方での現場で対峙してきた経験を詰め込みました。


数字と言葉の両面から強いブランド作りのお手伝いをしていきたいと思います。すべてを学ぶには5回だけでは完結しませんが、ブランドのことを考える第1歩にはなるはずだと思います。


①ブランド戦略講座(全5回)
ブランド戦略

私が地方で感じている「本当に困っている人はお金を払うこともできなければ、知識・情報も足りないため誰に依頼していいかもわからない」という不条理・不合理な出来事に引き続き向き合いたいと思います。


【概要】

  • 何かしらのブランドを持ち、 実践と並行しながら進めていくことを想定しています

  • とはいえ、個人の方のレクチャーもお受け付けしておりますのでご安心ください

  • カリキュラムは全5回を実施します

  • 1回あたり60分程度を想定しています

  • 隔週1回程度、終了まで3〜4ヶ月程度を想定しています

  • 形式はオンライン開催(Zoom/Google Meet)となります

  • カリキュラムは進捗や学びたいパートに合わせて多少前後することがあります

  • カリキュラム各回には課題が出ることがあります



②〜⑤領域特化型研修


②CEP(カテゴリーエントリーポイント)アイデア創出ワークショップ


②CEP(カテゴリーエントリーポイント)アイデア創出ワークショップ

カテゴリーエントリーポイント(CEP)=新しい市場に参入する際や新商品・サービスを展開する際に、消費者の心に強く印象を残すための戦略的な入り口のこと。自社にとってのCEPとは何か?を深掘りするワークショップを行います。


  • CEPとは何か?を理解する

  • CEPの他社具体を理解する

  • 自社のCEPを考える




③キャリアデザイン(Will/Can/Must)ワークショップ


③キャリアデザイン(Will/Can/Must)ワークショップ

Will(やりたいこと)、Can(できること)、Must(やらなければならないこと)それぞれ言語化を行い、自分にとって、未来に向けて取り組んでいくことを明確にしていくワークショップです。これからのキャリア設計に悩んでいる方におすすめです。


  • Will(やりたいこと):詳細どんなことに取り組んでいきたいか

  • Can(できること):現在、どんなことができるか

  • Must(やらなければならないこと)



④コンセプト開発ワークショップ


④コンセプト開発ワークショップ

コンセプトとはすなわち、「ブランドが生活者と何を約束するか」。約束したことは必ず遂行しなければならないため、実現可能性を考えながら、体現できるコンセプトをワークショップ形式で考えていきます。


  • 独自のフレームワークを使い、ブランドのコンセプトを言語化

  • コンセプトは生活者の欲求を満たすものか?自社の強みを表現できているか?競合優位性があるか?を確認

  • 定量・定性調査を行い、コンセプトが市場に浸透しやすいかどうかをテスト(希望に応じて)

  • 最終的に「消費者に向けた言葉」で言語化

  • コンセプトに合わせた具体的なアクション(戦術)をアイデア出しする



⑤MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)策定ワークショップ


⑤MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)策定ワークショップ

ミッション(創業/立ち上げ時の想い)、ビジョン(5年・10年先に成し遂げたいこと)、バリュー(ビジョン実現のための日々の行動規範)をそれぞれ言語化し、時間軸に沿って一貫したアウトプットをつくっていきます。


  • ミッション(創業/立ち上げ時の想い)を整理する、決める

  • ビジョン(5年・10年先に成し遂げたいこと)を整理する、決める

  • バリュー(ビジョン実現のための日々の行動規範)を整理する、決める

  • それぞれの文言に一貫性があるか?を確認する


【あわせて読みたい記事】 ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)を事例をもとに「より深く」理解する。


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最後までお読みいただき、ありがとうございました。研修について少しでも興味がある方はお問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。



また今回の研修サービス資料を含めた「HONEのことがわかる3点セット」も以下よりダウンロードができます。


HONEのことがわかる3点セット


【記事を書いた人】


株式会社HONE  代表取締役 桜井貴斗

株式会社HONE

代表取締役 桜井貴斗


札幌生まれ、静岡育ち。 大学卒業後、大手求人メディア会社で営業ののち、同社の新規事業の立ち上げに携わる。 2021年独立。 クライアントのマーケティングやブランディングの支援、マーケターのためのコミュニティ運営に従事。


※本記事は一部AIを活用して執筆しています。

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