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【マーケティングの誤解】いきなりSTP分析を使ってはいけない理由について。

  • 執筆者の写真: 桜井 貴斗
    桜井 貴斗
  • 2024年8月16日
  • 読了時間: 14分

更新日:3月30日


【マーケティングの誤解】いきなりSTP分析を使ってはいけない理由について。

マーケティング戦略を立てる際に、一般的に推奨されるSTP分析。しかし、そのフレームワークが必ずしもすべてのケースに適しているとは限りません。


本記事では、STP分析が抱えるリスクやデメリットを解説し、その代替となる効果的な戦略アプローチである「ターゲット×オケージョン×プレファレンス」を活用したターゲティング方法について解説します。限られたリソースを最大限に活かすためのより適切な方法を見つけていきましょう。



 


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目次



まずSTP分析とは何か?


STP分析は、マーケティング戦略を立案する際の重要なフレームワークの一つです。STPは「Segmentation(セグメンテーション)」「Targeting(ターゲティング)」「Positioning(ポジショニング)」の頭文字を取ったもので、頭文字ごとの順に応じてターゲットを設定していく手法です。


この章ではまずSTPの理解を深め、どのようなケースでSTP分析が有効なのかを解説していきます。



STPの定義について


上記の通り、STP分析とは「Segmentation(セグメンテーション)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)」の3つのステップから成り立っているターゲティングを行う際の代表的なフレームワークです。


このプロセスを通じて、ブランドは市場を細分化し、特定の顧客層に焦点を当て、競合他社との差別化を図ることができます。


STP分析とは?

まず、セグメンテーションでは、異なる特性を持つものをグループに分けます。これにより、消費者のニーズや行動に基づいた欲求を区別することが可能になります。


次に、ターゲティングでは、選定したセグメントの中から最も魅力的なグループを選び出します。


最後に、ポジショニングでは、選定したターゲットグループに対して自社のプロダクトやサービスがどのように差別化できるかを決めます。


以上のように「分ける→選ぶ→差別化する」といった流れがSTP分析のざっくりとした説明となります。


STP分析は、既存の大きな市場や競争が激しい市場にその効果を発揮しますが、新しい市場や市場規模がわからないケースにおいては必ずしも適切なアプローチとは言えないこともあります。


次のセクションでは、STP分析が有効なケースとそうでないケースについて詳しく見ていきます。



STP分析が有効なケースとは?


ではSTP分析が有効なケースとはどんなケースかを具体的には見ていきましょう。HONEでは以下のようなケースではSTP分析が有効だと定義づけしています。


まず1つ目は、明確な市場セグメントが存在する場合です。


例えば、「男性向け」「20代」「都内限定」などわかりやすいセグメントで区別できる商品・サービスの場合、STPはより有効だと感じます。


次に、競争が激しい市場において、他社との差別化を図るためにSTP分析が役立ちます。ポジショニングを明確にすることで、顧客に対して自社の強みをアピールし、選ばれる理由を提供することができます。逆にいうと、差別化しなければ商品・サービスの認知・認識が進まない場合とも言えるかもしれません。


さらに、すでに自社データが豊富にある企業にとってもSTP分析は有効です。


顧客データや市場調査データを活用することで、より精緻なセグメンテーションが可能となり、ターゲットを絞ったマーケティング施策を展開できます。


このように、STP分析は特定の条件下で非常に効果的な手法であるため、適切な状況での活用が求められます。


STP分析が有効なケースとは?



STP分析を使っていけないケースとは


STP分析は、マーケティング戦略を立てる上で非常に有用なフレームワークですが、すべての企業に適しているわけではありません。いくつかのケースでSTP分析を使用することが難しい場合があります。


以下に、STP分析を使ってはいけない具体的なケースをいくつか挙げてみます。



①いきなりターゲットを絞れないケース


前述の通り、STP分析は「セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング」の3つのステップから成り立っていますが、初期の時点でいきなり特定のターゲットを絞り込むことは、必ずしも効果的とは言えません。


特に弊社のクライアントである地方の中小・零細企業においては、リソースが限られているため、たくさんの打ち手が講じられず、ターゲットを絞り込むことで逆にビジネスチャンスを逃す原因となることがあります。


例えば、新規市場に参入する際、まだ顧客のニーズや嗜好が明確でない場合は特定のセグメントに焦点を当てることはリスクを伴います。市場調査や顧客のフィードバックを十分に得る前にターゲットを絞り込んでしまうと、実際の顧客の期待や要求に合わない商品やサービスを提供してしまう可能性があります。


また新興企業やスタートアップの場合、ブランドの認知度が低いため、特定のターゲットに絞り込むことが難しいこともあります。このような場合、まずは広い範囲でのテストマーケティングを含めて活動を行い、顧客の反応を見ながら、徐々にターゲットを明確にしていくアプローチも考えられます。


いきなりターゲットを絞ることは避け、柔軟な戦略を採用することが重要です。



②年齢・性別でセグメントできないケース


ターゲットを年齢や性別でセグメントすることは一般的ですが(年齢や性別で区別することが懐疑的であるという声も強くなってきています)、すべてのビジネスにおいてこのアプローチが有効とは限りません。


仮にそのブランドの顧客層が多様である場合、単純に年齢や性別で区分けすることが難しい場合があります。


例えば、特定の製品やサービスが特定の年齢層や性別に偏らない場合、年齢・性別基準でターゲットを絞ることは逆効果になることがあります。具体的にはハンドソープや洗剤などの消費財については年齢・性別ではなかなか区切ることはできないのではないかと思いますし、その他にもインフラ周り(電気・ガス・水道)などは万人が使うものであるため、同様に区別ができないと思います。


また顧客のニーズや嗜好は、年齢や性別だけでなく、ライフスタイルや価値観、地域性など多くの要因によって影響を受けるため、単純なセグメンテーションではその多様性を捉えきれません。これらのセグメントを「サイコグラフィックセグメント(嗜好性による区別)」と捉えるケースもあります。


年齢や性別に基づくセグメンテーションが機能しない場合、ブランドは市場の変化に柔軟に対応していく必要があります。顧客のニーズが変化する中で、固定的なセグメントに依存すせずより包括的なアプローチが求められます。



③既存顧客が少ないケース


STP分析は、ターゲット市場を明確にし、効果的なマーケティング戦略を立てるための強力なツールですが、既存顧客が少ない場合にはその適用が難しくなります。


特に中小企業や新興企業においては、顧客基盤が大企業と比較して未成熟であるため、十分なデータが得られないことが多いパターンが見受けられます。このような状況では、顧客のニーズや嗜好を正確に把握することができず、ターゲティングが不適切になるリスクが高まります。


既存顧客がいる&データがある場合は現状の傾向を見ることができますが、既存顧客が少ない場合、どのセグメントに焦点を当てるべきかの判断が難しくなります。顧客の声を反映したデータが不足しているため、ゼロベースの仮説に基づいたターゲティングが行われることになり、結果として効果的なマーケティング施策を打つことができない可能性があります。


このようなケースでは、STP分析に固執するのではなく、ほか手段も含めた柔軟なアプローチが求められます。顧客のフィードバックを積極的に収集し、少数の顧客との関係を深めることで、徐々にデータを蓄積し、次第にターゲティングを精緻化していくことが重要です。


STP分析を使ってはいけないケースとは?



STPの代替「ターゲット×オケージョン×プレファレンス」とは


マーケティング戦略において、STP分析が適さない場合には、HONEでは代替手法として「ターゲット×オケージョン×プレファレンス」を用いた新たなターゲティング方法を推奨しています。


このアプローチは「ターゲット絞れない、年齢や性別などで絞れない、既存顧客が少なく仮説が立てられない」などのケースに非常に有用な手段となります。


本フレームワークは書籍、戦略ごっこに記載されておりますので、詳しくは本書籍をご覧いただけたらと思います。


著書:戦略ごっこ
著書:戦略ごっこ
著書:戦略ごっこ
著書:戦略ごっこ

「ターゲット×オケージョン×プレファレンス」とは、ターゲットを特定する際に、消費者の行動や状況に基づいてセグメントを行う方法です。


具体的には、消費者がどのような場面で商品やサービスを必要とするのか、またその際にどのような好みやニーズを持っているのかを分析します。このアプローチにより、より具体的で実践的なターゲティングが可能となり、マーケティング活動の精度を高めることができます。


この手法の利点は、消費者の行動に焦点を当てることで、ブランドの責任者やマーケターたちの願望や思い込みに引っ張られずに仮説を立てるという点です。


次のセクションでは、この「ターゲット×オケージョン×プレファレンス」を具体的にどのように活用するか、またその際に注意すべきポイントについて詳しく解説していきます。




ターゲット×オケージョン×プレファレンスの基本的な考え方


ターゲット×オケージョン×プレファレンスは、マーケティング戦略において、顧客のニーズや行動をより深く理解するためのアプローチです。


このフレームワークは、単に顧客をセグメント化するのではなく、特定の状況や機会における顧客の嗜好性を重視します。つまり、顧客がどのような場面で商品やサービスを必要とするのか、またその際にどのような選択をするのかを分析することが重要です。


その際に考えるべきは「オケージョン」と「プレファレンス」です。オケージョンとはどんなとき(シチュエーション)に必要になるのか?を指し、プレファレンスは何に対して価値を感じるのか?を指します。


ターゲット×オケージョン×プレファレンス

ターゲットを選定する際に、ターゲットそのものから考えずブランドの商品・サービスを「どんなときに求められ」「そのシチュエーションで求められる価値とは何か」から考えていくようなイメージです。


限られたリソースの中で、より具体的なターゲットを設定し、効果的なマーケティング活動を行うことができるため、先ほどSTPと相性があまり良くないとされる、「ターゲット絞れない、年齢や性別などで絞れない、既存顧客が少なく仮説が立てられない」などのケースに有効です。


次のパートでは本フレームの具体的な活用例を解説していきます。



具体的な活用例


このパートでは「ターゲット×オケージョン×プレファレンス」を活用する具体的な例をいくつかご紹介します。


まずはコンビニのビニール傘を例に説明をします。


コンビニのビニール傘の販売価格はおおよそ700円ほど。一般的に考えたら少し高いなぁと感じます。それではビニール傘が求められるオケージョンはどんなときか?というと、突発的な雨のシーンが代表的ではないでしょうか。


さらに1人では濡れたり別のもので代用をしますが、カップルやパートナーと一緒だったら購入率は高まるかもしれません。そう考えると、プレファレンスは「2人入れる」という価値が高くなってきます。


ターゲット×オケージョン×プレファレンス活用事例

このように考えると、ターゲットは「突然の雨で、2人で出かけている人」になるため、20代でも60代でも男性でも女性でもどんな属性でも当てはまることになります。


その結果、価格弾力性が小さい・価格感応度が低い(=少々高くてもお金を払ってくれる)状態をつくることができます。



このような流れで別の事例もご紹介しましょう。


記念日(もしくは誕生日)にレストランに行ったとします。その際にコース料理に合うワインを楽しみたいと考えた際にいつもの週末ではいつも通りのお酒をオーダーするけれど、「せっかくの記念日だし、せっかくいいレストランに来たんだし」という理由でちょっといいワインを飲むことがあるかもしれません。


これもオケージョンとプレファレンスがあえばターゲットはいろんな属性の方が思い浮かんでくるはずです。


具体的な活用例

このようにターゲットを考える前に、オケージョン・プレファレンス起点で具体的な言葉を連想してみる、というワークは非常に有効になります。


顧客が共感しやすい内容を提供し、より強い関係を築くことができました。このようなアプローチは、限られたリソースを持つ中小企業にとって、STP分析に代わる効果的な戦略となるはずです。



活用する際に注意するポイント


ここまで事例について解説をしてきました。最後に「ターゲット×オケージョン×プレファレンス」を活用する際の注意点をまとめてみます。


以下は「町のケーキ屋さん」をテーマにしたターゲット×オケージョン×プレファレンスです。先ほどのコンビニの傘、レストランのワイン同様のまとめができるのですが、ここで注意したい点としては、オケージョンとプレファレンスは1つではないということです。


町のケーキ屋さん

例えば、ケーキ屋さんにいくオケージョンとしては以下が挙げられます。


・誕生日

・結婚記念日

・バレンタインデー

・ホワイトデー

・クリスマス

・母の日

・父の日

・敬老の日

・子供の日

・卒業祝い

・入学祝い

・昇進祝い

・退職祝い

・出産祝い

・結婚祝い

・就職祝い

・成人祝い

・送別会

・歓迎会

・お見舞い

・お中元

・お歳暮

・ハロウィン

・春分の日

・お花見

・イベントやパーティーの差し入れ


パッと挙げただけでもこれだけのオケージョンがあり、当然ながらオケージョンごとにプレファレンスがあります。そうなると、どのオケージョン・プレファレンスに絞ればいいのか?といった懸念点が出てくると思います。


限られた経営資源の中ですべてのオケージョン・プレファレンスに従って打ち手を考えていくことは現実的に不可能なので、どのオケージョン・プレファレンスが自分たちのブランドに適正なのか?を見極める必要があります。


ではどのように見極めるのか?というと、策定したMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)やブランドコンセプトが意思決定の軸となるため、ブランドとしての優先度を別途決めていく必要があります。


以下の記事はMVVについて解説していますので、あわせてお読みいただけると理解が深まると思います。


ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)を事例をもとに「より深く」理解する。

最後に、顧客とのコミュニケーションを大切にすることも忘れてはいけません。


顧客の声を直接聞くことで、より深い理解を得ることができ、マーケティング戦略の精度を高めることができます。アンケートやインタビューを通じて、顧客のニーズや期待を把握し、それに基づいたアプローチを行うことで、より効果的な結果を得ることができるでしょう。




まとめ


本記事では、STP分析が必ずしも適切な戦略ではない理由について詳しく解説しました。


特に、リソースが限られている地方・中小企業においては、いきなりターゲットを絞り込むことが逆効果になる場合もあります。


また、年齢や性別といった単純なセグメント化が難しいケースや、既存顧客が少ない状況では、STP分析の有効性が低下します。


これらの点を踏まえると、代替手法として「ターゲット×オケージョン×プレファレンス」を活用することが、より効果的なアプローチとなるでしょう。この方法は、顧客のニーズや行動に基づいてターゲティングを行うため、限られたリソースを最大限に活かすことが可能です。


マーケティング戦略を立てる際には、STP分析だけに頼らず、柔軟な視点でアプローチを考えることが重要です。中小企業が成功するためには、顧客の実態に即した戦略を採用し、持続可能な成長を目指すことが求められるでしょう。




最後に(HONEのサービスについて)


当社では、地方企業さまを中心に、マーケティング・ブランド戦略の伴走支援を行なっています。事業成長(ブランドづくり)と組織課題(ブランド成長をドライブするための土台づくり)の双方からお手伝いをしています。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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【記事を書いた人】


株式会社HONE  代表取締役 桜井貴斗

株式会社HONE

代表取締役 桜井貴斗


札幌生まれ、静岡育ち。 大学卒業後、大手求人メディア会社で営業ののち、同社の新規事業の立ち上げに携わる。 2021年独立。 クライアントのマーケティングやブランディングの支援、マーケターのためのコミュニティ運営に従事。


※本記事は一部AIを活用して執筆しています。

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