未来を創る商品ブランド戦略:成功事例と実践ヒント
- 桜井 貴斗
- 5月4日
- 読了時間: 9分

新しい商品を世に送り出すとき、その魅力を「伝える」だけでは不十分です。顧客の心に届き、信頼を築くには、“ブランド”という土台が不可欠。けれど、「そもそもブランディングって何をするの?」「効果ってどうやって見える化するの?」と疑問を抱く担当者も多いのではないでしょうか。
この記事では実際の企業事例をもとに、ブランディングの基本的な役割と効果をわかりやすくご紹介します。
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目次
サービスブランディングとの違い
よくある誤解と、正しい考え方
自社商品でブランディングを始める前に考えるべきこと
ブランディング事例紹介「RAKU RAKU OIMO」
トレンドを超える「価値」のつくり方
未来の顧客と、どうつながるか
商品のブランディングとは?
商品のブランディングとは、単に市場に商品を出すだけでなく、顧客の心に残る価値を創造し、他商品との差別化を図るプロセスです。デザインや広告などの要素を一貫させると、ブランドへの信頼や忠誠心が育ちます。また、企業の理念や価値観を反映させると、顧客との深い共感や長期的な関係構築にもつながります。
サービスブランディングとの違い
商品ブランディングとサービスブランディングは、いずれもブランドの価値を高めるための重要な戦略ですが、そのアプローチや焦点には明確な違いがあります。
項目 | 商品ブランディング | サービスブランディング |
対象 | 具体的な物理的商品 | 形のないサービス |
例 | 食品、ファッション、家電など | ホテルの接客、コンサルティング、ITサポートなど |
主な要素 | 品質、特徴、デザイン | 体験、信頼、サポート、プロセス |
アプローチ | 商品の見た目や性能で印象を与えうる | 顧客とのやり取りを通じて価値を伝える |
重視される点 | 視覚的な魅力、機能性 | 顧客との関係性、満足度 |
商品ブランディングとサービスブランディングは、対象とするものやアプローチが異なるため、それぞれに適した戦略や手法が求められます。企業は自社の提供するものが商品なのかサービスなのかを明確にし、それに基づいたブランディング戦略の構築が成功への鍵となります。
よくある誤解と、正しい考え方

ブランディングに関する誤解は多岐にわたりますが、特に以下のポイントがよく挙げられます。
1.ロゴやデザインだけがブランディング?
誤解:ブランディングとは、見た目(ロゴ・カラー・デザイン)を整えることだと考えられがちです。
実際:ロゴやデザインは、ブランドの“顔”にすぎません。本質は、企業のビジョン・価値観・姿勢を通じて、顧客との信頼関係を築く姿勢にありません。どのような想いで商品・サービスを提供しているか、そのストーリーこそがブランドの核になります。
2.すぐに効果が出る?
誤解:ブランディングすればすぐに売上が上がる、認知が広がると期待されがちです。
実際:ブランディングは、信頼を積み重ねる長期的な取り組みです。繰り返し接する中で、顧客が「このブランドは信頼できる」と感じ、初めて効果が表れます。時間はかかりますが、結果として顧客のロイヤルティ(忠誠心)や継続的な売上に結びつきます。
3.お金がかかるだけ?
誤解:ブランディングは広告やキャンペーンなど、費用のかかる施策が中心と思われがちです。
実際:確かに一部には高額な施策もありますが、日常的な顧客対応やSNSの活用など、コストをかけずにできる方法も多くあります。これらの誤解を解消し、正しいブランディングの考え方を身につけると、企業はより効果的なブランド戦略を展開できるようになります。
自社商品でブランド戦略を始める前に考えるべきこと
ブランディングを始める前に、自社商品が市場でどのように位置づけられているかを明確にするのが重要です。市場調査を通じて、競合他社の分析やターゲット顧客のニーズを把握すると、自社商品の強みや独自性を浮き彫りにできます。これにより、ブランドのメッセージや価値提案を効果的に設定するための基盤が整います。
自社のビジョンやミッションを再確認し、理念を明確にすると顧客との信頼関係が築け、ブランドの一貫性が保たれます。ブランディングは時間とリソースを必要とし、長期的な視点で計画を立てるのが成功の鍵です。
ブランディング事例紹介「RAKU RAKU OIMO」
自社で実際に行った「ほしいもの商品開発」でのブランディング戦略を解説します。

1. 地域資源の再発見とストーリーテリング
地域の歴史や文化を商品に組み込むことで、消費者に共感を呼び起こすストーリーが形成されました。
2. 消費者調査によるニーズの明確化
現在の「ほしいも」のファクトはどうか確認するための定量調査を実施。消費者の購買行動や認知度を把握しました。その結果、ほしいもは認知度が低い一方、間食系おやつの上位は「あめ・チョコ・グミ」であること、持ち歩きに適した商品かつ、身体に良いおやつが求められていると明らかになり、商品開発の方向性が定まりました。
3.ほしいものターゲット・オケージョン・プレファレンス
4つのターゲット・オケージョン・プレファレンス
・「子どものいる主婦」×「お出かけの際の子ども向けのおやつ」×一口大で食べられる(バッグに入れられる)
・「ダイエット中の人」×「小腹が空いたとき、グミやチョコだと罪悪感がある」×「無添加・グルテンフリーで罪悪感がなく小腹が満たせる」
・「仕事中のOL」×「仕事中、小腹を満たしたいが、添加物・糖分が多いお菓子だと抵抗感がある」×「無添加・グルテンフリーで罪悪感がなく小腹が満たせる」
・「グルテンフリーユーザー」×「グルテンフリーのおいしいおやつに巡り会えない」×「無添加・グルテンフリーで罪悪感がなく小腹が満たせる」
これらの強みを組み合わせることで、他の製品との差別化が図られました。
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未来につながるブランディング戦略とは?
未来につながるブランディング戦略は、単なる商品やサービスの認知度を高めるだけでなく、顧客との深い関係を目的としています。これには、企業の価値観やビジョンを明確にし、それを顧客に伝えなければなりません。顧客は、単に商品を購入するだけでなく、その背後にあるストーリーや価値観にも共感を求めています。
トレンドを超える「価値」のつくり方
ブランディングにおいて、単にトレンドを追いかけるだけではなく、持続可能な「価値」の創造が重要です。トレンドは一時的なものであり、時が経つにつれてその人気は変動します。しかし、真の価値は、顧客のニーズや期待に深く根ざしたものであり、時間が経っても色あせないです。
・ ファクトにもとづくペルソナの明確化とニーズ
顧客のライフスタイルや価値観を理解することで、求められる価値を的確に把握できます。
例)環境意識の高い層には、エコな商品・サービスを提供。
・オケージョンにもとづくブランドストーリーによる共感の創出
顧客の属性(性別、年齢、居住地)だけではなく、オケージョン、プレファレンスを踏まえたブランドの利用シーン、理念、製品エピソードを伝え、顧客との感情的なつながりを築きます。
→ ストーリーテリングは、ブランドの価値を高め、差別化にも効果的。
・フィードバックの活用と継続的改善
顧客の声を積極的に取り入れ、製品やサービスを改善し続ける姿勢が、信頼と長期的な関係を生み出します。
→ ブランドの成長と持続可能な価値の創造に直結。
未来の顧客と、どうつながるか
未来の顧客とのつながりを構築するためには、単に商品を提供するだけでは不十分です。顧客のニーズや価値観を深く理解し、それに応じたコミュニケーションが求められます。特に、デジタル化が進む現代においては、SNSやオンラインプラットフォームを活用した双方向の対話が重要です。顧客とのエンゲージメントを高めるためには、彼らの声に耳を傾け、リアルタイムで反応する姿勢が不可欠です。
未来の顧客は、持続可能性や社会的責任を重視する傾向が強まっています。企業は、エコフレンドリーな商品や地域社会への貢献活動を通じて、こうした価値観を反映したブランディングを行うと、信頼を獲得できるのです。
また、パーソナライズされた体験の提供も重要です。顧客データを活用し、一人ひとりに合わせた提案を行うことで、顧客は特別感を得られ、ブランドへのロイヤルティが高まります。
私がしばしば引用する『戦略ごっこ』のエビデンスでは、ブランドの成長に欠かせない視点として「現在のシェア」 が指摘されています。特に地方の小規模ブランドが最初に取り組むべきは「ロイヤルティづくり」よりも 浸透率(=シェア)を上げること です。以下に、シェア帯ごとに重視すべき成長源泉と具体策をまとめます。
現在のシェア | 成長の主エンジン | 行動ヒント |
0〜5% “まだ無名” | 浸透率による成長= 92% (新規顧客獲得がほぼすべて) | 「まず触れてもらう」機会を多く設計する |
5〜30% “成長期” | 浸透率 > 購入頻度 (依然として新規が主力だがリピート比重が増加) | 浸透率KPIを追いながら、リピート率も月次で可視化 |
30%以上 “地域のリーダー” | 購入頻度 46% +LTV向上 | ファン育成施策のROIを測り、LTVを伸ばす |
シェアがまだ高くない新興ブランドがリソースを割くべきは「浸透率(新規顧客の増加)」です。この根拠については、以下の記事でまとめています。
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まとめ
ブランディングは単なるマーケティング手法にとどまらず、企業の成長と顧客との長期的な関係を築くための重要な戦略です。この記事で紹介したように、ブランディングは商品の魅力を伝えるだけでなく、顧客の心に響く価値を提供し、信頼関係の構築が求められます。
RAKU RAKU OIMOの事例からもわかるように、ブランディングには一貫したメッセージと顧客体験が不可欠です。顧客のニーズを理解し、それに応える形でブランドを構築することで、他社との差別化を図り、競争優位を確立することが可能になります。
未来につながるブランディング戦略を実践すると、持続可能な成長を実現し、ブランドの価値を高められるでしょう。
HONEのサービスについて
当社では、地方企業さまを中心に、マーケティング・ブランド戦略の伴走支援を行なっています。事業成長(ブランドづくり)と組織課題(ブランド成長をドライブするための土台づくり)の双方からお手伝いをしています。
私がこれまで会得してきた知識・経験を詰め込んだ「3つのサービスプラン」をご用意しており、お悩みや解決したい課題に合わせてサービスを組んでいます。ご興味のある方は、ご検討いただければと思います。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
【記事を書いた人】

株式会社HONE
代表取締役 桜井貴斗
札幌生まれ、静岡育ち。 大学卒業後、大手求人メディア会社で営業ののち、同社の新規事業の立ち上げに携わる。 2021年独立。 クライアントのマーケティングやブランディングの支援、マーケターのためのコミュニティ運営に従事。
※本記事は一部AIを活用して執筆しています。
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