【開催レポート】家業と向き合う、経営と向き合う—静岡で語られた「後継ぎたち」のリアル
- PR・広報担当
- 7月11日
- 読了時間: 8分
更新日:7月20日

2025年6月27日、静岡市のコ・クリエーションスペースにて開催された「木村石鹸社長に聞く!アトツギのリアル」では、伝統産業や製造業の第一線で活躍する後継ぎ経営者・創業者たちが集まり、熱いトークが繰り広げられました。
登壇者は、木村石鹸工業株式会社の木村祥一郎さん、株式会社漆琳堂の内田徹さん、鍋島虎仙窯の川副隆彦さん、堀田カーペット株式会社の堀田将矢さん、THE株式会社の米津雄介さん、株式会社カネス製茶の小松元気さん。モデレーターは弊社代表の桜井貴斗が担当しました。
伝統の重みと新しい風が交差する現場で、何を思い、何に悩み、何を選んできたのでしょうか。そのリアルな声を、レポートとしてお届けします。ぜひ最後までご覧ください。
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目次
パネリスト紹介
▼木村祥一郎さん(木村石鹸工業株式会社・大阪府八尾市)
1924年創業の老舗石鹸メーカーの四代目。自社ブランドの立ち上げを経て、現在はブランドとOEMの両軸で事業を展開されています。
▼内田徹さん(株式会社漆琳堂・福井県鯖江市)
大学卒業後に家業である創業227年の塗師屋、漆琳堂に入社。 10年余り修行し、職人として活動した後、 2019年漆琳堂の代表となり現在に至ります。
▼川副隆彦さん(鍋島虎仙窯・佐賀県今石)
鍋島焼の産地にて、地域文化と産業を次世代に繋ぐべく、鍋島焼きを中心とした焼き物づくりと経営に取り組まれています。
▼堀田将矢さん(堀田カーペット株式会社・大阪府)
1962年創業の大阪のカーペット会社三代目。ウィルトンカーペット製造の現場からスタートし、ブランディングと組織再構築に注力されています。
▼米津雄介さん(THE株式会社・東京都)
創業者として日用品ブランドTHEを展開。直営店2店舗の運営と共に、ゼロから事業と組織をつくり上げてきました。
▼小松元気さん(株式会社カネス製茶・静岡県島田市)
教員志望から一転、お茶業界の課題に向き合うべく家業にUターンした若き後継者。既存業務の改善や新ブランドの立ち上げに取り組まれています 。
「継ぐ」決断、その時の葛藤と覚悟

多くのパネリストが「最初から継ぐつもりはなかった」と語る中で、それぞれが家業との向き合い方を模索し、自分なりの道を見つけたそうです。
木村さんは、1995年、大学生時代に起業して以降、18年間その会社の取締役として事業に専念。「元々は自分の会社で骨を埋めるつもりだった」と語ります。
しかし、父親が経営してきた家業が外部承継に失敗し、立て直しを求められたことを機に家業を引き継ぎます。はじめは後ろ向きだった家業でしたが、次第におもしろさを感じて代表になったそうです。
小松さんも教員志望からスタート。業界の厳しさを知った上で、「自分がやらなければ」という使命感が背中を押したそうです。
リソース配分:経営と現場のバランス感覚

承継後の大きなテーマが、「自分の時間をどこに投資するか」。
パネリストのみなさまは共通して、「現場理解」と「経営の見直し」の両立を模索してきたと語ります。
木村さんは80社への集金を振込に変えるなど、仕組みの見直しから着手。内田さんはブランド売上40–45%の拡大を目指し、経営に注力する体制へ。
川副さんはものづくり7割:経営3割から、経営7割:ものづくり3割へと比重を移し、現在も学び続けているそうです。
社内の摩擦と新ブランドの立ち上げ
新しいブランドや仕組みを立ち上げるとき、避けて通れないのが社内のハレーション(ひとつのミスやトラブルが影響して、周囲の人や仕事に悪影響を与える状態)。これまでのやり方や価値観に揺さぶりがかかることで、摩擦が生まれるのは当然のことです。
今回のトークイベントでは、登壇者たちがどのようにその壁と向き合ったかが語られました。
木村さんは人気社員を巻き込むことでチャットツールを浸透させました。ブランド立ち上げ初月の売上は2万円で、そのほとんどが親戚によるものでした。しかし、展示会での評価をきっかけに社内の空気が変わったと言います。
堀田さんは「ハレーションに対応する時間がありませんでした」と正直に語り、現在は外部人事部長を招き、組織づくりを任せているそうです。
内田さん、川副さんもまた家族・地域との葛藤を乗り越え、数年単位でブランドを育てることに成功しました。
内田さん、川副さんもまた家族や地域との葛藤を乗り越え、数年単位でブランドを育てることに成功しました。
それぞれの体験から見えてきたのは、新しい挑戦には摩擦がつきものだという現実と、それを乗り越えるには「共感を育てる」視点が欠かせないということ。社内外との信頼を少しずつ積み重ねながら、新たなブランドが形づくられていく様子が浮かび上がりました。
「やりたいこと」と「会社の方向性」のすり合わせ

事業を引き継いだあと、経営者たちは自分のやりたいことと、会社としてのあるべき姿の間で葛藤します。本イベントでは、三者三様の実践から、やりたいことは最初から見えているものではなく、見つけていくもの、育てていくものであることが明らかになりました。経験を通じて生まれる気づき、仲間との信頼関係、そして日々の試行錯誤のなかに、未来を切り拓くヒントが散りばめられていたのです。
堀田さんは、「やりたいことは何か?」という問いに苦しんだといいます。しかし、やりたいことが最初から明確な人ばかりではありません。むしろ、さまざまなことに挑戦し「やれること」を増やしていく中で、自分が本当に情熱を注げるものが見えてくる。そんな実感を語ってくれました。
米津さんは、自身が興味を持っていたブランドづくりと、組織運営といった会社経営に必要な業務とのバランスをどう取るかに向き合ってきました。信頼できる社員と役割を分担しながら、自らは全体の舵取りに注力するなど、組織全体を俯瞰する視点が印象的です。外部の知見も積極的に取り入れながら、「やりたい」と「やるべき」を両立させています。
川副さんは、当初は「地域の文化を守る」といった想いがあっても、それはぼんやりとしたものでした。しかし、実際に事業に取り組むうちに、その想いが使命感に変わり、自分の役割が輪郭を持ちはじめたと語ります。最初は明確なビジョンがなくとも、行動の積み重ねが「やりたいこと」を育てていくことを体現されていました。
三者の言葉から浮かび上がるのは、事業承継とは単なる「引き継ぎ」ではなく、「自分は何を大切にして生きていきたいのか」と会社との関係性を通じて問い直すプロセスであるということです。やりたいことは、あらかじめ明確に持っているものとは限りません。むしろ、日々の実践や仲間との対話を通じて、少しずつ育ち、形になっていくものでもあります。
これは、進路やキャリアに迷う私たち若者にとっても大きな示唆を与えてくれました。将来の「やりたいこと」がまだ定まっていなくても、まずは目の前の経験を重ねること。その積み重ねが、やがて自分だけの道へとつながっていく。そんな希望を感じさせるセッションとなりました。
経営は「続けること」に意味がある

木村さんは、事業を継いだ当初、父親から「100周年を目指して続けてほしい」と言われ、「何かのために続けること」に意味があると考えていたそうです。しかし現在は、「続けることそのもの」に価値を感じるようになったと話しています。
企業には、ビジョンを掲げてゴールに向かい、達成したら解散するという“プロジェクト的な存在”としての側面もありますが、木村さんは会社を「仲間が集まる場」と捉えているそうです。
それはつまり、社員同士が生活の豊かさや楽しさを共有できるような関係性としての会社ということです。現在、木村石鹸では「社員が一番自慢できる会社」を目指しており、何かを成し遂げることよりも、「こうありたい」という状態を持続することこそが経営の目的だと考えるようになったといいます。
インターン生より 後継ぎ・伝統産業のリアルな現場に触れて
イベントに参加し、記事を作成させていただいたHONEインターンの森です。
今回の登壇者は、歴史ある企業の後継者や創業者の方々。最初から順風満帆なのかと思いきや、「まずは掃除から」「50期分の決算書をExcelに入力」など、想像以上に地道なスタートを切っていたと知り、驚きと尊敬の連続でした。
スマートレジ導入ひとつで社内に摩擦が起こるなど、歴史ある企業ならではの難しさもリアルに語られ、組織を動かす難しさと面白さを実感しました。私はこれから社会に出ていきますが、失敗を恐れず新しい風を吹かせられるような存在になりたいと、改めて思いました。
おわりに:伝統の継承は「革新」の連続である
今回のトークイベントでは、後継者・創業者たちが経験してきた「葛藤」と「挑戦」、そして「前進」が生々しく語られました。
伝統を守るとは、単に昔のやり方を続けることではない。社会や技術の変化を読み取りながら、会社の「らしさ」を問い直し、アップデートを重ねていくこと。
偉大な先輩方の姿勢に、その答えがありました。
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