【フレームワーク公開】サイエンス・クラフト・アートの往復から、独自のマーケティングコンセプトをつくる検討シート
- 2 分前
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マーケティングの戦略やコンセプトを考える際、「データに基づいた最適解」を求めた結果、競合と同じような訴求になり、コモディティ化や価格競争に巻き込まれてしまう…。
そんな課題を感じたことはないでしょうか。
今回は、「サイエンス・クラフト・アート」の3つの視点を往復しながら、記憶に残り、ブランドらしさを持った独自のコンセプトを導き出すための「マーケティングコンセプト検討シート」を作成しました。
本記事では、このシートの背景にある考え方と、各項目の使い方について解説します。

コンセプトを支える「サイエンス・クラフト・アート」とは?
本フレームワークの核となる3つの視点は、それぞれ以下のような役割を担っています。
サイエンス(定量・データ)= 網羅性
市場・顧客・競合データや定量的な分析など、事実に基づいて市場の全体像や機会を網羅的に捉える視点です。
クラフト(事業経験)= 確実性
現場での実務経験、実際に売れている理由、社内の強みや制約など、データには表れない「現場の確実な事実」を捉える視点です。
アート(想い・美意識)= 代替不可能な引力
顧客の言葉にならない違和感、ブランドが大切にしたい美意識など、数値では証明できない直感や世界観をつくる視点です。
これら3つの視点を掛け合わせることで、独自のコンセプトを形作っていきます。では、なぜこの3つを往復することが不可欠なのでしょうか。
なぜ「サイエンス」だけでは同質化するのか
マーケティングにおける「サイエンス」とは、定量データや市場分析、顧客理解、競合比較など、事実に基づいて考える視点です。
どのような顧客がいるのか
どのようなニーズやCEP(カテゴリーエントリーポイント)が存在しているのか
市場にはどのような機会があるのか
こうした情報を網羅的に捉えることで、コンセプト検討の土台をつくります。
しかし、サイエンスの視点だけで導き出した答えは、誰が見ても同じ結論にたどり着きやすくなります。データから導かれる最適解は、競合にとっても最適解であることが多いためです。
結果として同じ顧客、同じ場面、同じ訴求に多くの企業が集まり、機能比較や表現のコモディティ化が起きてしまいます。
そこで必要になるのが、「クラフト」と「アート」の視点です。
現場の「確実性」を捉えるクラフトの視点
クラフトとは、現場で積み重ねてきた経験や実務感覚のことです。
実際に売れている理由
顧客との接点で起きていること
社内の強みや制約
再現可能な勝ち筋
これらは、机上のデータだけでは見えない現場の確かな事実です。
サイエンスが「網羅性」を担うとすれば、クラフトは「確実性」を担っていると言えます。現場主義に基づく手触り感のある情報が、コンセプトに現実的な推進力を持たせます。
代替不可能な引力を生み出す「アート」の視点
そして、マーケティングにおいて最も見落とされやすいのが「アート」です。 ここでいうアートとは、単なる感性やデザインの話ではありません。
言葉になる前の違和感
顧客の中にあるモヤモヤ
ブランドとして大切にしたい美意識
まだ数値では証明できないが、確かに惹かれる感覚
アートは、他社が簡単には真似できない意味や世界観を生み出します。サイエンスが網羅性をつくり、クラフトが確実性をつくるなら、アートは「代替不可能な引力」をつくるものです。
ただし、アートはすぐには証明できません。数値で裏づけられず、過去の成功パターンにも当てはまらないため、最初は曖昧に見えます。だからこそ、多くの組織では、アートの芽が出てもすぐに「わかりやすい正解」や「説明しやすいロジック」に回収されてしまいます。
矛盾と違和感に向き合い、CEPへ翻訳する
本当に強いコンセプトは、最初からきれいな言葉として現れるわけではありません。 むしろ、サイエンスとクラフト、クラフトとアート、アートとサイエンスのあいだにある矛盾や違和感を丁寧に扱うことで、ようやく見えてくるものです。

このシートでは、すぐに分かりやすい答えを出そうとせず、不確実性に耐える「ネガティヴ・ケイパビリティ」の姿勢を重視しています。
サイエンスによって市場や顧客の構造を捉える
クラフトによって現場で起きている事実を確認する
アートによって言葉にならない感情や美意識を掘り起こす
そのうえで、3つの視点のあいだにある矛盾やズレを対話しながら、顧客のモヤモヤを意味に変え、具体的なCEP(カテゴリーエントリーポイント)へと翻訳していきます。
目指すのは、単なる「売れる訴求」ではなく、顧客の記憶に残り、ブランドらしさを持ち、競合とは異なる理由で選ばれるためのコンセプトです。ぜひ、日々のマーケティング実務やプロジェクトの議論にご活用ください。
▼参考記事:カテゴリーエントリーポイント(CEP)とはなにか?事例、参考になる本/書籍を紹介
【テキスト書き起こし】マーケティングコンセプト検討シート
シート内の各項目をテキスト化しています。社内でのドキュメント作成や、ワークショップ用のフォーマットとしてご活用ください。
■全体テーマ
日付:
プロジェクト / テーマ:
メンバー:
■コンセプト案
誰の:
どんなモヤモヤを:
どんな意味に変え:
どんなCEPに翻訳するか:
一言でいうと:
■実装・検証
打ち手案:
想起させたい場面(CEP):
検証指標:
次の実験:
■3つの視点
【サイエンス(定量・データ)】 事実 / 分析 / エビデンス / 網羅性
市場・顧客・競合データは?
どのCEPが見えているか?
何が定量で裏づけられるか?
【クラフト(事業経験)】 経験 / 現場感 / 実務 / 確実性
現場で本当に起きていることは?
勝ち筋と制約は何か?
再現できるやり方は?
【アート(思い・美意識)】 直感 / 違和感 / ビジョン / 代替不可能な引力
言葉にならないモヤモヤは?
何に惹かれるのか?
どんな世界観をつくりたいか?
■対話・矛盾の発見
矛盾・ズレ・違和感を、すぐに消さない
サイエンス × クラフト
クラフト × アート
アート × サイエンス
■ネガティヴ・ケイパビリティ
不確実性に耐える
すぐに単純化しない
モヤモヤの手触りを残す
拙速な正解に逃げない
■結論
サイエンス=網羅性
クラフト=確実性
アート=代替不可能な引力
最後に
コンセプトづくりは、最初からきれいな一直線で進むことはほとんどありません。現場のリアルな事象(クラフト)と、客観的なデータ(サイエンス)、そしてブランドの意志(アート)を行き来する泥臭いプロセスの中にこそ、独自の価値が隠されています。
この「マーケティングコンセプト検討シート」は、単に空欄を素早く埋めて完成させるためのものではなく、チーム内で対話を生み出し、矛盾や違和感を深掘りするためのツールです。
ぜひ、日々の会議やワークショップの場に持ち込んでいただき、自社ならではの「代替不可能な引力」を見つける手がかりとして活用してみてください。
HONEは地域に根ざし、現場に足を運ぶ地方マーケティング会社です。
日本の地方には、魅力的な商品・サービスがたくさんあります。
地方に根ざしたブランドの志や文化、人々の誇りや営み。HONEはそうした人たちの想いを価値に変えるべく、現地に出向いてきました。 私たちは、文化と経済の「骨」を設計し、地域の「らしさ」を未来へつなげる仕組みを育てます。 論語と算盤。想いと仕組み。美学と実行力。 その両立を、マーケティングの力で実装していきます。

▼HONEにできること
語られていない価値の「骨」を探す
商品や地域の中にある「想い」や「背景」は、まだ言語化されていないだけかもしれない。 それらを丁寧にすくい上げ、ブランドの芯として翻訳します。 見落とされがちな隠れた価値に役割を与えることが、事業の骨格をつくるはじまりです。
現場に入り、五感を使って「骨」を磨く
戦略も仕組みも、現場を歩き、対話することから始まります。 地形、歴史、空気、人の言葉やまなざし。デスクリサーチでは捉えきれない情報を五感で受け取り、定量と定性、論理と情緒、ロマンとそろばんを掛け合わせて、設計に落とし込みます。
手を動かしながら、「骨」を強くする
支援とは、プランを出して終わりではありません。 現場に入り、泥臭く、時に失敗しながら共につくりあげていきます。 頭で考えて、手足を動かす中で生まれる「実感」こそが、骨を太くし、しなやかに持続する構造を育てていきます。
文化となる「骨格」を、未来へ残す
目指すのは、ただ売ることではありません。 地域に根ざした文化や営みに芯を通し、事業として持続可能なかたちに育てていくこと。短期的な成果ではなく、関わる人たちの誇りとなり、語り継がれていく仕組みをデザインします。 HONEは、経済と文化をつなぐ骨を共につくり、未来へと残していきます。

▼HONEの強み
01/一貫サポート
戦略設計から実行〜検証まで。経営課題の整理から、現場を動かす具体的な仕組みづくりまでを、一貫して支援します。リサーチ・企画・実装・振り返りのすべてに伴走し、商品・サービスの価値を再定義しながら、現場に根づく事業を共につくります。目指すのは、短期的な成果だけでなく、文化が息づき、長く続く事業と地域のかたちです。
02/現場主義
デスク上、リモートワークでは見えない、地域の空気や人の温度に触れる。HONEは現地に足を運び、実際に現場の風景・人の営みに向き合いながら、これまでの現場で得た経験則を元に戦略・戦術に反映していきます。現在起こっている事実に基づく分析はもちろんのこと、解釈に現場の五感で得た気づきを重ね合わせ、実装へとつなげていきます。
03/全国実績
北は北海道、南は沖縄まで、一次産業から観光、教育、行政、ベンチャー、スタートアップ、アトツギなど、多種多様なプロジェクトに携わってきました。たくさんの地域を見てきたからこそ、それぞれの良さに気づくことができます。そして土地に根付くその事業の「らしさ」を、より鮮明に見つけることができます。全国各地で積み重ねた知見を、次の挑戦に活かします。
04/産学官連携
企業・教育機関・行政と手を取り合い、対話を重ねながらプロジェクトを推進しています。 単なる連携にとどまらず、それぞれの立場が持つ知見や資源を持ち寄り、地域に根ざして実装していくこと。 現場での実践と、学びの場での理論、そして制度や仕組みをつなぐ橋渡しとして、多様なセクターの信頼を得ながら取り組みを展開しています。

なぜ今、“地方”でマーケティングが必要なのか
マーケティングという言葉には、しばしば「スケールする」「売上を伸ばす」といったイメージが付きまといます。しかし、地方において本当に必要なのは、そうした直線的な成長だけではありません。人口減少、担い手不足、そしてインフラや情報環境の未整備。多くの地域が、さまざまな制約の中で日々の営みを続けています。
制約が多いからこそ、その土地に根ざした価値を継続し、文化や人々の想いを循環させていくための工夫が欠かせません。マーケティングの論理をそのまま持ち込むのではなく、人肌を大切に、想いを大切に、未来へとつなげていく。実装力と創造力を備えた「地方のマーケティング」が必要です。

地方に必要なのは、「地域理解」
こうした現場においてまず必要なのは、「何をどう売るか」よりも先に「この地域には何があるのか」「何を残していきたいのか」を知っていく姿勢。つまり「地域理解」です。ブランド構築の土台を固めるには各レイヤーごとに把握すべきポイントを理解することが重要です。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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【記事を書いた人】

株式会社HONE
代表取締役 桜井貴斗
札幌生まれ、静岡育ち。 大学卒業後、大手求人メディア会社で営業ののち、同社の新規事業の立ち上げに携わる。 2021年独立。クライアントのマーケティングやブランディングの支援、マーケターのためのコミュニティ運営に従事。









