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なぜ人が集まる?地域おこし協力隊が営む、週末限定の珈琲店。【静岡県静岡市】

公開日:

2026年5月29日

最終更新日:

2026年5月29日

なぜ人が集まる?地域おこし協力隊が営む、週末限定の珈琲店。【静岡県静岡市】

心地よい風が吹き抜ける街道に現れた1軒のお店。誰かに教えたくなるような、けれど自分だけの秘密にしておきたいような、特別な温もりを持つ空間です。今回は、静岡市葵区鷹匠に誕生した小さなコーヒー屋さんの歩みと、その背景にある独自の魅力について、マーケティングの視点を交えながら紐解いていきます。



TETSU COFFEE


垣本鉄平さん
垣本鉄平さん

静岡市葵区鷹匠の公園近くにある「TETSU COFFEE」は、2025年12月にオープンした週末限定のコーヒー屋さんです。店主の垣本鉄平さんは、2024年夏に兵庫県西宮市から移住してきました。静岡市地域おこし協力隊として行政の移住定住促進に携わる傍ら、金曜日から日曜日に、間借りという形でお店を営業。ハンドドリップや自家焙煎珈琲豆の販売、コーヒー、カフェラテなどを提供をしています。移住者の交流会や相談イベントも定期的に開催されています。




TETSU COFFEEのこだわり


お店の扉を開けると、並べられたコーヒー豆の香りが、優しく鼻腔をくすぐります。TETSU COFFEEの大きな特徴は、実際に豆の香りを嗅ぎながら、自分の五感で注文する銘柄を選べることです。焙煎度ごとに美しくグラデーションを成して並ぶ豆たちには、それぞれの味の個性が丁寧に書き添えられています。


中煎りから深煎りへと美しくグラデーションを成して並ぶ豆
中煎りから深煎りへと美しくグラデーションを成して並ぶ豆

店主の垣本鉄平さんは、焙煎のプロセスを厳密なデータとして管理しているといいます。PC画面上で、焙煎機や豆の温度上昇をグラフで確認しながら操作する様子は、まるで緻密な実験のようです。


大学卒業後に教師、フリーター、そして行政職を11年務めたという異色の経歴を持つ鉄平さん。学生時代はラグビーに打ち込んでいたそうで、お話から内に秘めた情熱と、研究者としての一面が垣間見えます。


自らデザインしたドリップパック
自らデザインしたドリップパック

この独自性こそが、マーケティングでいう「DBAs(独自資産)」に他なりません。

DBAsとは、単なる他店との違い(差別化)ではなく、「そのブランドを象徴するビジュアルや目印」のこと。

五感を使った豆の選定、手描きドリップパック、データに基づいた確かな焙煎技術といった、他にはない要素が組み合わさることで、このお店だけの個性が形作られています。


DBAs(独自資産)についてはこちらの記事をお読みください。



感情に寄り添う


金曜日から日曜日までの限られた週末、お店には実に多様な人々が吸い寄せられるように集まってきます。カウンターで鉄平さんとの会話に花を咲かせる人、ゆったりと作業に没頭する人、お気に入りの一杯を求めてテイクアウトをしていく人。一人ひとりが、異なる過ごし方をしています。


ハンドドリップコーヒー | ウガンダ  ルウェンゾリ ナチュラル
ハンドドリップコーヒー | ウガンダ ルウェンゾリ ナチュラル 風味:トロピカル、メロン

そこにあるのは、「ひとりひとりの物語にコーヒーを」というコンセプトです。鉄平さんは訪れる人々の様子をそっと見守り、あるときは心地よく話しかけ、またあるときは静かに見守ります。その絶妙な空気感が、訪れる人々に深い安心感を与えています。これは、顧客がどのような状況や気分の時にそのブランドを思い浮かべるかという「CEPs(カテゴリーエントリーポイント)」を、空間全体で体現している状態といえます。ほっと一息つきたいとき、誰かと少し話したいとき、あるいは自分だけの時間に浸りたいとき。


TETSUCOFFEEショップカード
TETSUCOFFEEショップカード

ショップカードにも、ひとりでゆったり。だれかとたのしく。部屋やお店で。海の見える場所や森のなかで。日がのぼるとき。月がのぼるとき。

寄り添えるコーヒーでありますように。と、「どんな時に私たちの隣にコーヒーがあるか」が書かれています。


コーヒーを淹れる様子
コーヒーを淹れる様子

日常のあらゆる感情の場面において、このお店が自然と選択肢に上るような、心理的な結びつきが生まれています。常連さんが嬉しそうに店主と語らう姿は、居心地の良さを何よりも証明していました。



開かれた繋がり


お店が位置するのは、駅からほど近く、大学も近隣にあるという、人の流れが自然と交差する素晴らしい立地です。地元の人気洋菓子店であるパティスリーリゴレさんの焼き菓子を数点販売し、珈琲とのペアリングを提案している点にも、地域との調和を大切にする姿勢が現れています。


パティスリーリゴレさんの焼き菓子
パティスリーリゴレさんの焼き菓子

鉄平さんは、2024年の夏に兵庫県西宮市から静岡市へ移住してきました。セカンドキャリアとして、珈琲の焙煎所を営む夢を描く中で、趣味のサーフィンやキャンプで訪れて好きになった静岡で、地域おこし協力隊という手段を選択しました。現在は行政の移住定住促進の手伝いをしながら、TETSU COFFEEを経営しています。


ここでは、単に美味しいコーヒーを提供するだけでなく、静岡市への移住者交流会や相談イベントなども定期的に開催されています。物理的な通いやすさと、移住促進という文脈が結びつくことで、地域のハブとしての認知度が高まっています。


実は、私が今回足を運んだのは、知人から「気になるから偵察してきて」と言われたことがきっかけでした。こういった口コミやSNSを通じて、その存在は着実に地域へと浸透しています。



あとがき


垣本鉄平さん
垣本鉄平さん

金曜日の柔らかな光が差し込む店内で、私は一杯のコーヒーを味わいながら、地方が持つ無限の可能性について考えていました。店主の鉄平さんが作り出す空間は、都会的な効率主義とは一線を画した、人間らしい温もりと心地よい空気が満ちています。


地域おこし協力隊としての活動と、個人の夢であるコーヒー屋の経営。その二つの輪が美しく重なり合うことで、街に新しい活気と、人と人が繋がる交差点が生まれていました。一つの場所が放つ光が、周りの人々を照らし、やがて地域全体の価値が育まれていく様子を、肌で感じることができた、気持ちのいい1日となりました。


HONEインターン/森



ほねろぐとは


AIの急速な台頭により、私たちの世界は、目紛しい変化を遂げています。効率化が進むその影で、古きよき日本の文化や風景、人との繋がりが失われつつあるのも、悲しい現実です。


そんな時代だからこそ、我々株式会社HONEは地方に足を運び、先人たちが紡いできた伝統や、未来に残したい景色を記録します。


いつのまにか、地方の「ほんと」の姿が見えてくる。


町の暮らし。人々の想い。仕事の姿勢。

忙しない日常で忘れ去られた豊かさが、そこには息づいています。


気づけば、地方が近くなる。


現場でしか得られない骨太な体験を、お届けしていきます。



株式会社HONEについて


HONEの流儀
HONEの流儀

HONEでは、地方企業さまを中心に、マーケティング・ブランド戦略の伴走支援を行なっています。事業成長(ブランドづくり)と組織課題(ブランド成長をドライブするための土台づくり)の双方からお手伝いをしています。

大切にしている価値観は「現場に足を運ぶこと」です。土地の空気にふれ、人の声に耳を傾けることから始めるのが、私たちのやり方です。


学びや知恵は、ためらわずに分かち合います。

自分の中だけで完結させず、誰かの力になるなら、惜しまず届けたいと思っています。

誰か一人の勝ちではなく、関わるすべての人にとって少しでも良い方向に向くべく、尽力します。地域の未来にとって、本当に意味のある選択をともに考え、かたちにしていきます。

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