ブランド物が欲しくなる心理から地域ブランドの勝ち筋を見出す
- 桜井 貴斗
- 6月27日
- 読了時間: 11分

地方でビジネスを展開していると、「うちは無名だからブランド戦略なんて…」と思いがちではありませんか?
実は、「ブランドや物を欲しがる心理」をよく理解すれば、地方企業やスタートアップ事業者も限られた資源の中で顧客に選ばれる存在へと変わります。本記事では、消費者がなぜ“ブランド物”を求めるのか、その心理構造と、地方企業が明日から実践できるブランド構築のコツを「HONEの視点」から解説します。
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目次
なぜ人は「ブランド」に惹かれるのか
承認欲求と自己表現の関係
ペルソナ設計で顧客心理を掘り下げる
SNS・デジタル活用で地域から広げる方法
限られた予算でもできるブランディング
熊野筆(広島県)
熊野筆の存在を世界に知らしめた白鳳堂
南部鉄器
購買単価・リピート率の向上
人材獲得・採用面の効果
ブランド物が欲しくなる心理とは

ブランド物に心を惹かれる理由は、単なる高級感や特別さだけにとどまりません。都市部だけの話と思われがちですが、地方でも「ぜひ手に入れたい」と感じる場面が少なくないはずです。
こうした背景には、流行や見栄といった表面的なものではない、消費者の深い欲求が隠れているのです。
ここでは、ブランド品が選ばれる理由やその価値の生まれる仕組みに目を向け、地方でのビジネスにも生かせる本質を探っていきましょう。
なぜ人は「ブランド」に惹かれるのか
多くの人が「ブランド」に心を惹かれる背景には、いくつかの理由が考えられます。
ブランドは品質や信頼の証として機能します。「このブランドなら間違いない」という期待感が購買行動を後押しします。また、所有することで得られる安心感や、まわりから認められたいという社会的な欲求も無視できません。
ブランドは単なる製品やサービスを越えて、独自の世界観やストーリーを発信しています。その世界観に共感し、価値を感じたとき、人は自然と「選びたくなる」のです。
承認欲求と自己表現の関係
ブランド品を選ぶ背景には、「他人から認められたい」「自分らしさを表現したい」、そんな心理が密接に関わっています。
承認欲求は、周囲から評価されたい・尊重されたい願望です。ブランド品の所有は、そのステータスや価値を通じて、他者からの共感や賞賛を得る手段のひとつと言えるでしょう。
同時に、ブランドは自己表現の道具でもあり、自分の好みや価値観を示せるアイテムとして、その人らしさやライフスタイルを映し出します。
このように、承認欲求と自己表現はブランド選びに深く関係し、消費者の購買動機に大きな影響を与えているのです。
ブランド物が欲しくなる心理を活かした施策

ブランド物を求める心理を理解すれば、より効果的なマーケティング戦略が見えてきます。実際に施策へと落とし込むには、顧客の深層心理を読み解きつつ、時代や地域性に合ったアプローチが欠かせません。
ここでは、ペルソナ設計による顧客心理の掘り下げ方や、SNS・デジタルの活用でどのように地域からブランドの魅力を発信できるか、さらに限られた予算でも実践できるブランディングの具体策について、順に解説していきます。
ペルソナ設計で顧客心理を掘り下げる
ブランド戦略を組み立てるうえで、顧客像を多角的に具体化するペルソナ設計は欠かせません。
ただ私は、年代や性別でセグメントするのは懐疑的であり、ペルソナやカスタマージャーニーは、マーケター(ブランド側)の見たいこと・実現したいことに寄ってしまうと言った所感を持っています。
マーケター主導で理想像ばかり追い求めると、現実の顧客心理や実際の行動とズレが生じやすいです。
表面的なデータよりも、顧客の選択理由や価値観といった深層の動機を理解することが大切です。実際の声や行動パターンに注目し、柔軟な視点で仮説と現実のギャップを見極める姿勢が、ブランド価値を鮮明に伝える戦略の出発点となるでしょう。
SNS・デジタル活用で地域から広げる方法
SNSやデジタル施策は、地域の小さなブランドでも多くの人に認知を広げられる有効な手段です。店舗の日常やスタッフの声、顧客のリアルな体験を積極的に発信すれば、共感や話題が自然と広がります。ハッシュタグや地元コミュニティとの連携も活用し、より多くの人へ情報をリーチさせましょう。
実店舗だけでは届かないターゲット層にも、SNS広告やインフルエンサー経由でアプローチできます。実際の顧客の声や体験を起点に地域からブランドの魅力を波及させる発想が、今の時代にふさわしい広げ方といえるでしょう。
限られた予算でもできるブランディング
(1)ストーリーテリングの活用:
ブランドに込めた思いや背景、創業者やスタッフのエピソード、商品誕生のきっかけなど「物語」を発信する方法です。魅力的なストーリーがあれば、顧客はブランドに親しみや信頼を感じやすくなります。SNSやウェブサイト、店頭などで一貫したストーリーを伝えれば、ファン層の拡大も見込めるでしょう。
(2)パートナーシップやコラボレーション:
地域企業やクリエイター、学校、NPOと協力し、新たな商品開発やイベントを実現する手法です。相互の強みを活かした取り組みは、PR効果だけでなく新しい顧客層の開拓にも役立ちます。地域資源とつながれば、独自性や話題性も高まり、ブランド力の向上が期待できます。
(3)継続的なコンテンツ発信:
ブログ、メルマガ、SNS投稿、動画など、定期的で一貫性のある情報発信を続ける方法です。ノウハウや最新情報、日々の取り組みなど様々な内容を積み重ねれば、ブランドの専門性や誠実さが伝わります。その結果、顧客との信頼関係が強化され、情報拡散の機会も自然と増えていくでしょう。
ブランド物を欲しがる心理から勝ち筋を見出す

多くの人がブランド物に惹かれるのは、単なる商品機能だけでなく、所有する満足感や特別な価値への共感があるからです。背景にあるブランド独自のストーリーやこだわりが、「選ばれる理由」へとつながっています。
地域発ブランドでも、この本質は同じです。地域ならではの資源・風土・文化や歴史、地元の人々が培ってきた技術や価値観は、他にない強みとなります。表層的な違いを超え、土地や人に根ざした価値を丁寧に言語化し発信する姿勢が、ブランドの独自性を際立たせるのです。
地域のストーリーを商品やサービスに組み込めば、新鮮さと本物感を兼ね備えたブランドが生まれます。その結果、消費者の共感や誇りを育み、熱心なファンを獲得できるでしょう。
ブランド物が欲しくなる心理戦略の成功事例

全国には、消費者心理を巧みに捉え、ブランド化に成功した地域産品が存在します。それぞれの商品は、単なるモノとしてではなく、特別な価値や背景、物語を持ち合わせている点が特徴です。
ここでは、具体的な成功事例として「熊野筆(広島県)」と「南部鉄器」を取り上げ、ブランド価値を高めた取り組みに注目します。
熊野筆(広島県)

熊野筆は、伝統的な技術を守りながらも化粧筆の開発で新たな市場を開拓した点が成功の鍵です。従来の書筆や絵筆の需要減少に対応し、高品質な素材と職人技術を活かした化粧筆を生み出しました。
プロのメイクアップアーティストも愛用する信頼性と「本物がほしい」「一度は使ってみたい」という憧れや所有欲に訴える戦略を展開。鮮やかな色彩や華やかなデザイン筆、魅力的なコラボ商品、SNSで話題を呼ぶパッケージやプロモーションも購買意欲を高めています。
商品の品質だけでなく、丁寧な手仕事や背景にあるストーリーを積極的に発信し、消費者の愛着や共感を育んでいます。
(出典元:熊野筆事業協同組合)
熊野筆の存在を世界に知らしめた白鳳堂

熊野筆を世界的ブランドへと押し上げた立役者は、広島県熊野町の筆メーカー・白鳳堂(はくほうどう)です。伝統技術を守りながらも化粧筆市場にいち早く進出し、上質な天然毛と職人技を活かした高品質製品を独自ブランドとして国内外に展開しました。
有名コスメブランドや百貨店向けOEMも手がけ、海外のプロアーティストやモデルからも高評価を獲得。「肌触りの良さ」「適度なコシと柔らかさ」「洗練されたデザイン」が特徴の白鳳堂の筆は、ハリウッドや海外高級百貨店での取扱いも急速に広がっています。
国際展示会や積極的なプロモーションを通じ、日本の伝統工芸と現代美意識を融合させた姿勢が、熊野筆を化粧筆市場で「憧れのブランド」へと押し上げました。
(出典元:白鳳堂)
南部鉄器

南部鉄器は、伝統的な製法による品質と歴史を大切にしつつ、現代のライフスタイルに合うデザインやカラーバリエーションの開発で新たなファンを獲得しました。
たとえば、カラフルな鉄瓶を生産している「岩鋳」やEVANGELIONとのコラボ、海外展開などが話題となっています。これにより「自分だけの特別感がほしい」「インテリアとしても使いたい」といった現代消費者の心理に訴求しました。加えて、生産者の顔が見える発信や、健康への配慮(鉄分補給など)、SNSを活用した情報発信などによって、ブランドストーリーや信頼感を高めています。
こうした施策が、“一生モノ”という価値とともに、幅広い世代の支持や贈答需要の拡大につながっているのです。
(参照元:南部鉄器協同組合)
ブランド物が欲しくなる心理戦略から得られる恩恵

ブランド戦略は商品やサービスの価値を高めるだけでなく、企業に様々な恩恵をもたらします。ここでは、ブランド確立によって得られる具体的なメリットを2つの観点から見ていきます。
購買単価・リピート率の向上
ブランドが確立されると、顧客は商品の価格やスペックだけでなく、そのブランドが持つ価値やストーリーにも魅力を感じるようになります。ファンとして愛着や信頼が深まれば、価格に対しても寛容になりやすく、結果的に購買単価が高まる傾向です。
一度満足した顧客は再び同じブランドを選ぶケースが増え、リピート率の向上につながります。ブランド価値がしっかり伝わっていれば、口コミや紹介といった新たな購買行動も生まれやすくなるでしょう。
人材獲得・採用面の効果
強いブランド力は、優秀な人材の確保にも大きく貢献します。求職者は働く環境や理念だけでなく、ブランドの知名度やイメージも重視する傾向にあります。
信頼されるブランドであれば、「ここで働きたい」「自分もブランドの一員になりたい」と感じる人材が自然と集まるでしょう。
ブランドが持つ誇りやビジョンへの共感は社員のエンゲージメントを高め、定着率の向上にもつながります。
結果として、企業全体の活性化が期待できるのです。
今こそ始める地域ブランド構築

地域の魅力や伝統を活かしたブランド戦略は、単なる売上向上策ではありません。それは地域全体の価値を高め、持続可能な発展への道筋となります。南部鉄器や熊野筆の事例からも明らかなように、伝統と革新のバランスを取りながら独自のブランドストーリーを築くことで、国内外から注目される存在へと成長できるのです。
しかし、ブランド構築は一朝一夕で実現するものではありません。地域の本質的な強みを見極め、それを現代のニーズに合わせて表現し、継続的に発信していく戦略的なアプローチが求められます。多くの地域や企業がこの道のりで苦戦しているのも事実でしょう。
HONEは、そんな地域ブランドの可能性を最大限に引き出すパートナーです。地域の歴史や文化を深く理解した上で、現代のマーケティング手法を駆使し、あなたの地域や商品が持つ本当の価値を世界に伝えます。これまでの実績とノウハウを活かした伴走型のサポートで、ブランド価値の向上から具体的な販路開拓まで、一貫したサポートを提供しています。
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当社では、地方企業さまを中心に、マーケティング・ブランド戦略の伴走支援を行なっています。事業成長(ブランドづくり)と組織課題(ブランド成長をドライブするための土台づくり)の双方からお手伝いをしています。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
【記事を書いた人】

株式会社HONE
代表取締役 桜井貴斗
札幌生まれ、静岡育ち。 大学卒業後、大手求人メディア会社で営業ののち、同社の新規事業の立ち上げに携わる。 2021年独立。 クライアントのマーケティングやブランディングの支援、マーケターのためのコミュニティ運営に従事。
※本記事は一部AIを活用して執筆しています。
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