新規事業の企画立案においては、多くの情報を効率的に整理し、効果的な示唆や説得力があるように視覚化することが重要となります。
そのための有効なツールがフレームワークです。
本記事では、12個のフレームワークをピックアップし、活用しやすいテンプレートと具体的な事例を交えて詳しく紹介します。
目次
1.アイデア出しと選択
2.市場調査と顧客ニーズの理解
3.戦略立案と計画の検討
4.評価と改善
1.有限会社市場印刷 広告印刷会社がドローンでの映像事業へ
2.長野県阿智村 星空ツアーの事例
3.パック・ミズタニ株式会社 段ボールの製造業から配送業へ
新規事業の企画立案におけるフレームワーク活用のメリット
新規事業を成功に導くには、企画段階での情報整理や意思決定を効率的かつスムーズに行うことが重要になります。
フレームワークを上手く活用できれば、これらのプロセスを効率よく進めることが期待できます。
ここでは、フレームワーク活用の主なメリットを3つのポイントに整理してご紹介します。
①情報を効率的に整理できる
新規事業の企画立案においては、多くのデータやアイデアをうまく整理しながら取り組みを進められるかどうかが、成功の鍵を握ります。
フレームワークは、複雑な情報を整理するためのツールです。
このツールを上手く活用することで、多くの情報を効率的にまとめ、メンバーでの意思統一や合意形成といった次のステップへと進むための基盤を築くことができます。
②見える化でスムーズな合意形成を助ける
新規事業の企画立案においては、メンバーの見解の齟齬や誤解を減らし、関係者のスムーズな合意形成を実現することが重要です。
フレームワークは、情報を整理するだけでなく、視覚的に理解しやすくするためのツールでもあります。
この点にも注意して上手く活用することで、情報の透明性を高めてコミュニケーションを円滑にしたり、情報に説得力を持たせて戦略的な方向性の統一を助ける効果が期待できます。
③多くの事例から、自社の事業や段階に最適なフレームワークを選択できる
効果的な戦略を立案するためには、自社の事業の特性や段階に合った方法で、情報の整理と見える化をすることが求められます。
現代では多くの過去事例の研究によって、事業の状況に応じて活用できるフレームワークがあります。
本記事では、12個のフレームワークをピックアップしてご紹介します。
また本記事で紹介する3つの中小企業の成功事例から、他社がフレームワークを活用しているのか、自社の取り組みに応用するヒントが発見できるはずです。
新規事業の企画立案に役立つフレームワークのテンプレート
本記事では、新規事業の企画立案を大きく4つの段階に分け、それぞれの段階で活用できる12個のフレームワークをピックアップしてご紹介します。
企画立案したい事業の特性やプロセスの段階に合ったフレームワークを見つけ、複数のフレームワークを組み合わせて使用することで、それぞれのフレームワークが持つ効果を最大限に引き出すことができます。
アイデア出しと選択
魅力的な新規事業のアイデアを立案することは簡単ではありませんが、ただのひらめきではなく、論理的な思考で行うことが重要です。
本記事では、思考の範囲を広げることでアイデアを生み出すマンダラート、既存のアイデアをブラッシュアップすることでより良いアイデアを作り出すSCAMPER法の2つのフレームワークをご紹介します。
マンダラート
マンダラートは、中心にテーマを設定し、その周囲に関連するアイデアを展開していく手法です。
この方法を用いることで、アイデア同士の関連性を明確にしながら発想を広げ、より多角的な視点からの検討を進めることができます。
SCAMPER法
既存のアイデアをブラッシュアップするための手法で、代用する(Substitute)、結合する(Combine)、適応する(Adapt)、修正する(Modify)、他の用途に使う(Put to other use)、排除する(Eliminate)、逆にする/再構成する(Reverse/Rearrange)という7つの視点からアプローチします。
既存の商品の無駄を省いたり、新しい機能を結合させたり、他の業界の成功事例を適応させることで、新たな可能性を検討することができます。
市場調査と顧客ニーズの理解
「彼を知り己を知れば…」の通り、新規事業の企画立案でも、社会環境を把握すると共に、自社の状況についても客観的に評価することが必要となります。
本記事では、マクロな外部環境を把握するPEST分析、競合他社と自社の立ち位置を具体的に比較するポジショニングマップ、自社のリソースを客観的に評価するSWOT分析とVRIO分析の4つのフレームワークをご紹介します。
PEST分析
PEST分析は、政治(Political)、経済(Economic)、社会(Social)、技術(Technological)の4つの視点からマクロな外部環境を分析する手法です。
この分析を通じて、事業に影響を与える重要な環境の変化を把握し、事業戦略やマーケティング戦略を立てる際の基盤を築くことができます。
ポジショニングマップ
ポジショニングマップは、市場での自社の立ち位置を視覚的に示すツールです。競合他社と自社の立ち位置を比較しながら俯瞰的に把握することで、有効な差別化戦略を立て、自社のアプローチを明確にすることができます。
SWOT分析
SWOT分析は、自社の強み(Strengths)と弱み(Weaknesses)、外部環境における機会(Opportunities)と脅威(Threats)を整理する手法です。
この分析を通じて、自社の現状を客観的に把握し、戦略を立てる際の指針を得ることができます。
VRIO分析
VRIO分析は、自社のリソースや能力を客観的に評価するためのフレームワークです。
価値(Value)、希少性(Rarity)、模倣困難性(Imitability)、組織(Organization)の4つの要素を考慮することで、アイデアの競争優位性について検討し、成功の可能性を高めるためのポイントを見極めることができます。
戦略立案と計画の検討
新規事業の事業計画やマーケティング戦略の検討においては、限られたリソースを活用し、最も効果のある施策が何かを判断する必要があります。
本記事では、販売やプロモーションの要素を総合的に検討する4P分析、消費者の購買行動を理解するAISASモデルの2つのフレームワークをご紹介します。
また新規事業の方針を明確にするMVV、具体的なターゲットへのマーケティングアプローチを検討するABCフレームの2つについては、参考記事でご紹介します。
4P分析
4P分析は、製品(Product)、価格(Price)、場所(Place)、プロモーション(Promotion)の4つの要素を考慮することで、マーケティング戦略を構築するためのフレームワークです。
新規事業においては、これらの要素をどのように組み合わせるかを検討することで、ターゲット市場に対して実現可能で効果的なアプローチを行うことを目指します。
AISASモデル
ネット購買を含めた消費者の購買行動を理解するためのフレームワークで、Attention(注意)、Interest(興味)、Search(検索)、Action(行動)、Share(共有)の5つのステップから成り立っています。
このモデルを活用することで、顧客がどのように情報を得て、最終的に購入に至るのかを分析し、最適なマーケティング戦略を検討することができます。
MVV
ABCフレーム
評価と改善
持続的な成長を実現するための評価と改善のプロセスは、行き当たりばったりでなく、継続的かつ体系的に行われることが重要です。本記事では、最も基本的な評価と改善の手法であるPDCAサイクルと、顧客の獲得と収益化のプロセスに特化した評価の手法であるAARRRの2つのフレームワークをご紹介します。
PDCAサイクル
PDCAサイクルは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の4つのステップから成り立っています。
このサイクルを繰り返すことで、事業の運営を継続的に改善していくことが可能です。製造業の工程効率化のツールとして有名ですが、あらゆる事業に適応できる万能なフレームワークです。
AARRR
AARRRは、Acquisition(獲得)、Activation(活性化)、Retention(維持)、Revenue(収益)、Referral(紹介)の5つの要素からなるフレームワークです。
AARRRを活用することで、各ステージでの顧客の獲得と収益化における課題を明確にし、改善策を講じることができます。
特に新規事業においては、顧客の獲得から収益化、さらには顧客の紹介を促すまでの一連の流れを把握し、課題に対して速やかにピンポイントな対策を講じることが重要となるため、AARRRは実用的なフレームワークと言えます。
フレームワークを有効に活用した中小企業の新規事業事例3選
フレームワークを効果的に活用することで成功を収めた事例は数多く存在しますが、本記事では特に3つの事例をご紹介します。
1.有限会社市場印刷 広告印刷会社がドローンを活用した映像事業へ
有限会社市場印刷は、紙媒体の広告印刷業の低迷に際し、ドローンを活用した映像事業を立ち上げて業績を回復させました。
この新規事業の企画立案では、フレームワークを活用して外部環境と自社のリソースを客観的に評価することで、大胆な事業転換の判断を行うことができました。
①PEST分析を用いて、PR用映像の需要増加や安価で高性能なドローンの登場といった有利な外部要因を把握できた
②SWOT分析を用いて、地域の顧客との信頼関係、広告提案のノウハウなどの自社のリソースが、映像制作の競合に対する強みにできることを明確にできた
2.長野県阿智村 星空ツアーの事例
長野県阿智村では、地域の温泉旅館の客数減少に際し、星空ツアーという新たな観光の目玉を作り出して観光客の注目を集めています。
この新規事業の企画立案でも、フレームワークを活用して本当の強みを発見し、継続的な観光客増加を実現することができました。
①VRIO分析を用いて、「日本一の星空」という、魅力的で、模倣困難で、希少な、本当にPRにすべき地域の強みを明確に認識できた
②AISASモデルとAARRRを用いて、実際に星空ツアーを体験した観光客の口コミがさらに観光客を呼び込む、継続的な観光客増加のモデルを実現できた
3.パック・ミズタニ株式会社 段ボールの製造業から倉庫管理請負へ
パック・ミズタニ株式会社では、業務用ダンボール製品の売上減少に際し、顧客物流倉庫内での製品運搬・梱包・包装・組立て、さらには在庫管理といった管理業務を請け負う事業を立ち上げて売上を伸ばしています。
この新規事業の企画立案でも、フレームワークを活用して自社の事業の周辺領域にアイデアを広げ、実効性の高いサービスを実現することができました。
①マンダラートを用いて、自社の既存事業である梱包材の周辺にあった、梱包・包装・組み立てといった作業、入出荷や在庫管理といった管理作業における顧客ニーズに視野を広げることができた
②4P分析を用いて、顧客の期待に応えるサービス内容を具体的かつ網羅的に設計することで、競争力を高める施策を実施できた
HONEによる新規事業の企画立案支援
HONEでは、フレームワークの効果的な運用を含めた、新規事業の企画立案支援を支援するプログラムをご用意しています。
1日を通してマーケティングを知るきっかけをつくる、出張マーケティング研修プラン。
「マーケティングは大切だと思うけど、何から始めていいかわからない…」。そんな方に向けた出張マーケティング研修プランをつくりました。
ブランドづくりはクリエイティブを磨くことだけではなく、MVV(ミッション/ビジョン/バリュー)の言語化、事業モデル検討、ターゲット/提供価値の策定、商品/サービスのコンセプト設計/調査/検証が必要です。「ブランド戦略プラン」では、全5回で学べるようカリキュラム化しました。
まとめ
新規事業の企画立案では、適切なフレームワークの活用することでが大きな助けになります。
自社の状況に合わせて適切なフレームワークを選択し活用することができれば、アイデア創出から市場調査、戦略立案、評価まで一貫したプロセスを効率的に構築できます。
様々な事例を参考に自社の事業に最適なフレームワークを見つけ、情報整理と可視化、さらには合意形成といった困難なプロセスをよりスムーズに乗り越えて、新規の事業の成功を目指しましょう。
HONE社では地方のマーケティング課題に向き合っています
以上が、「新規事業立ち上げを成功させる5つのプロセス」でした。
また当社では地方企業さまを中心にマーケティング・ブランド戦略の伴走支援を行なっています。事業成長(ブランドづくり)と組織課題(ブランド成長をドライブするための土台づくり)の双方からお手伝いをしています。
私がこれまで会得してきた知識・経験を詰め込んだブランド戦略サポートプランでは全5回でマーケティングの太刀筋を学べるものになっているため、ご興味ある方はご検討いただけたらと思います。
その他、マーケティング・ブランディングに関するお問い合わせはこちらまでお気軽にどうぞ!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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【記事を書いた人】
株式会社HONE
代表取締役 桜井貴斗
札幌生まれ、静岡育ち。 大学卒業後、大手求人メディア会社で営業ののち、同社の新規事業の立ち上げに携わる。 2021年独立。 クライアントのマーケティングやブランディングの支援、マーケターのためのコミュニティ運営に従事。
※本記事は一部AIを活用して執筆しています。
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