【ウェビナーレポート】地域ビジネスの未顧客戦略 〜新規顧客開拓を本気で考える〜
- 23 分前
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※本ウェビナーは「“未”顧客戦略 消費者の無関心から逃げない「記憶×習慣」の科学」をベースに地方ビジネスに解釈しています。詳しい内容は書籍をご覧ください。
「新規顧客が増えない」「既存客へのリピート施策を続けているのに売上が伸び悩む」。
実は、その原因の多くは「顧客」にだけ目を向けすぎて、まだ自社を知らない圧倒的多数の「未顧客」を見落としていることにあるかもしれません。
本記事では、2026年4月28日に開催されたウェビナー「地域ビジネスの未顧客戦略〜新規顧客開拓を本気で考える実践会〜」の内容を未顧客へアプローチするブランドの理論を中心に抜粋してご紹介します。
地方・中小ビジネスが今すぐ動き出すための考え方を、紐解いていきます。
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「95:5ルール」市場の大半は未顧客
マーケティングで成果を出そうとするとき、多くの事業者がまず考えるのは「どうすれば既存顧客にもっと買ってもらえるか」です。しかし、そこには大きな盲点があります。
それが「95:5ルール」という考え方です。「任意の時点でカテゴリーを購入する可能性がある潜在顧客は全体のわずか数%に過ぎず、残りの大部分はそもそも、まだ市場に存在していない」というものです。
たとえば、自社ブランドが属するカテゴリーで、平均5年に1回の買い換えが起こるとしましょう。すると、特定の四半期に需要が発生して市場に入ってくる顧客は、全体のわずか5%程度です。残りの95%は、まだ市場に現れていない「未顧客」です。
この視点が抜け落ちると、「今すぐ客」である5%だけにリソースを集中させ、将来の顧客となる95%への投資や施策が減ってしまいます。
購入の意思決定の大部分は、実は購入時点よりずっと前に決まっています。
「どれにしようか」と迷っているように見えても、消費者の80%以上はすでに頭の中で「アレでいいか」と答えが出ており、CEPのタイミングでその選択を実行しているに過ぎません。棚の前で機能や品質、価格をゼロから比較検討して選ぶのは、全体の20%にも満たないのです。
つまり「いざ買おう!」となった時にブランドを思い出してもらわないといけないのです。 まだ購入意欲のない95%の時期に、いかにブランドや商品を認知してもらえるかが重要で、記憶に残っておくか重要と解説されています。
そもそもブランディングとは何か?

そもそもブランディングとは何でしょうか。
3つの役割として整理されます。
① オーナーシップ(所有権)
ブランド名やロゴなどを商標として登録・保護することで、独自の資産として守り、活用できるようにすることを指します。
② アンカー(錨)
購買者の記憶ネットワークの中に、望ましいブランド連想を定着させること。価値やイメージを一貫して伝え続けることで、消費者の心に「このブランドといえば○○」という強い連想の錨を下ろすようなイメージです。
③ ブリッジ(橋)
個々の異なるマーケティング活動をつなぐこと。SNS・展示会・店頭POP・チラシとバラバラに施策を打っても、共通のブランド資産(色・ロゴ・形状など)がなければ消費者の頭の中で「あのブランドだ」と繋がることはありません。一貫した資産があってはじめて、バラバラの活動が相乗効果を生み出します。
強みを絞るポジショニングの罠

従来のマーケティングでは「ターゲットを絞り、1つの独自の強み(ポジショニング)を研ぎ澄ませ」と教えられてきました。
1つの属性に絞り込みすぎることで、他の思い出すきっかけ(CEP)を自ら捨ててしまっているケースがあります。
CEP(カテゴリーエントリーポイント)が少ないブランド:思い出すきっかけが限定され、選ばれる機会も狭まる。
CEP(カテゴリーエントリーポイント)が多いブランド:脳内のネットワークが広がり、あらゆるシーンで選ばれる。
どれほど品質が優れていても、消費者がそのカテゴリー(例えば「旅の準備」や「手土産選び」)を考えた瞬間に思い出してもらえなければ、選ばれる土俵にすら上がれません。
「ビジネス出張ならこれ」「家族旅行でもこれ」「一人旅の自分用にもこれ」というように、消費者の脳内にある「入り口」をいかに増やし、ネットワーク化していけるかが、シェアを拡大するためには必要です。
▼参考記事:カテゴリーエントリーポイント(CEP)とはなにか?
シェア拡大のメカニズム:浸透率と好意度
市場シェアを拡大するには、「浸透率を高め、好意度を育てる。その結果としてシェアが上がる」という正しい順序を理解することが重要です。
1. 浸透率(ペネトレーション)を高める
まずは新規顧客を増やし、購買者の絶対数を広げることです。ここでは2つの「買いやすさ(アベイラビリティ)」について解説をしてみようと思います。
メンタル・アベイラビリティ: 「いざという時に思い出せる」という頭の中の買いやすさ。
フィジカル・アベイラビリティ: 「欲しい時にすぐそこにある」という物理的な買いやすさ。
2. 好意度(プレファレンス)を育てる
浸透率を広げながら、「このカテゴリーならこのブランド」と選ばれる確率(想起率)を高めていきます。
製品パフォーマンス: 機能や品質への満足度。
価格納得性: 価値に見合った価格であるか。
ブランド・エクイティ: 消費者の頭の中にあるイメージや物語、背景。
3. 結果としてのシェア(市場占有率)
シェアとは、浸透率と好意度を掛け合わせた「結果」の指標です。
まずは「浸透率を広げ、好意度を育てる」。このプロセスを徹底することが、施策の優先順位を正しく判断するための土台となります。
メンタルアベイラビリティを高めるには

メンタルアベイラビリティとは、消費者が購買を検討する瞬間に「そのブランドが真っ先に頭に浮かぶ確率」を指します。
例えば、ある方が「家の外壁が少し汚れてきたな」と気になり始めたとします。この時点ではまだ「今すぐ依頼しよう」とは考えていない、市場の95%に当たる「未顧客」の状態です。その後、散歩中に塗装店の看板を見かけ、ポストにチラシが入り、新聞折込を目にし、友人から「あそこ良かったよ」と評判を聞く。こうした多様な接点が積み重なることで、「外壁塗装といえば〇〇工務店」という記憶のネットワークが作られていきます。
これは、サイコロの6つの目のうち、自社の名前が書かれた「当たり」の面を少しずつ増やしていくようなイメージです。いざ「見積もりを頼もう」となった瞬間に「あそこなら安心だ」と自然に選ばれる状態にしていくのです。
地域のゲストハウスの例
「宿泊先」という一つの入り口(CEP)に絞らず、複数の文脈を展開することができます。
文脈1:リモートワークの場所がない → ワーケーションや日帰り利用
文脈2:週末に美味しいものが食べたい → 地元食材のランチや限定カフェ
文脈3:面白い人と繋がりたい → トークイベントやワークショップ
文脈4:サウナでリフレッシュしたい → テントサウナの設置
「旅行」という枠を超え、日常生活の様々なシーンで思い出されるようになれば、異なる市場からも顧客を呼び込むことができるようになります。
▼参考記事:メンタルアベイラビリティ・フィジカルアベイラビリティとは?
【Q&A】回答した質疑応答
Q1. 自社のCEPを探す際、まず何から手をつければよいでしょうか?
A. まずは「定量調査」からスタートすることをおすすめします。
「どんなきっかけで使われているか」「ギフトか自分用か」「日常か非日常か」など、まずは現状のCEP(ファクト)を把握することが先決です。他社の成功事例を真似るよりも、自社の事実から転用する方が再現性は格段に高まります。CEPは解釈ではなく「事実そのもの」です。まずは徹底したファクト集めに注力しましょう。
Q2. 小さなブランドでも、CEPは複数持つべきですか?
A. 現実的には「3〜4つ」程度持つのが理想的です。
CEPが1つだけでは、想起される機会が限られすぎてしまいます。
社内リソースにもよりますが、最大でも6つ程度が一つの目安という見解もあります。
戦略としては、まずボリュームの大きいメインのCEPを優先します。
もし大手がそこを既に独占している場合は、第2・第3のCEP(独自の入り口)から攻略していくのが定石です。
Q3. 人口の限られた地方の場合、「商圏内の未顧客」と「遠方の新規客」どちらを優先すべきでしょうか?
A. 目指す売上規模の「設計」によって変わります。
現在の2〜3倍程度の成長であれば、既存商圏内の未顧客を掘り起こすだけでも十分に達成可能です。
しかし、10倍・20倍といった飛躍的な成長を目指すなら、そもそも狭い商圏内にそれだけの市場が存在しない可能性があります。
その場合は、ECや越境、インバウンド施策による商圏拡大が不可欠になります。
Q4. サブスクリプション型のサービスでも、CEP戦略は有効ですか?
A. 有効です。
「定期的に消費(利用)するもの」は、本質的にサブスクと構造が同じだからです。
ただし、そもそも「利用する習慣」が定着していないカテゴリーでのサブスク化は難易度が高くなります。 日常の様々なシーンで「あ、これが必要だ」と思い出される回数(CEPの数)が多いほど、サブスクの継続利用や安定性は強化されます。
未顧客戦略まとめ:「未顧客」から始める戦略の立て方
「未顧客」を意識するとは、単に新しいターゲットを設定することではありません。
大切なのは、自社の商品やサービスが「どんな価値を持っているのか」、そしてそれが生活者の「どんな場面で役に立つのか」を理解することです。
その瞬間に自社ブランドがパッと思い出されるよう、消費者の記憶の中に着実に居場所を作り続けること。それこそが、未顧客戦略の本質といえます。習慣や行動を正しく把握するために、定量調査から得られる「ファクト(事実)」は貴重な資産となります。
「既存の顧客」だけを見る思考から一歩引いて、「本当に向き合うべき市場はどこか」を問い直してみてください。
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【記事を書いた人】

株式会社HONE
マーケター 亀元梨沙子













