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地方マーケティングの“アンチパターン”5選。事業プロセスのどこで間違えるのか?

  • 7月21日
  • 読了時間: 10分
青紫の背景に、左へマーケティング検討シートの見本、右に「独自のマーケティングコンセプトをつくる 検討シート」の大見出し。

こんにちは、HONE代表の桜井です。


地方でのマーケティングやリブランディングの支援に入らせていただくと、スポーツ、一次産業、観光といったまったく異なる業界であっても、不思議なほど「共通する失敗パターン」に直面していることに気づきます。


その原因を探っていくと、決して現場の能力が足りないわけではありません。多くの場合、「地域にとって良さそう」「関係者に角が立たない」といった善意や調和を優先するあまり、「意思決定の順番」がズレてしまっていることに起因しています。





事業を5つのフェーズ(上流〜下流)で点検する


今回は、この「意思決定のズレ」がプロジェクトのどの段階で起きているのかを網羅的に捉えるため、事業プロセスを上流から下流へと向かう5つのフェーズ(設計 → 企画 → 提案 → 導線 → 運用)に整理しました。


  • 設計:誰に何を売るか(事業の骨格)

  • 企画:何のためにやるか(プロジェクトの要件)

  • 提案:どう魅せるか(コミュニケーション)

  • 導線:どう動かすか(購買・行動への接続)

  • 運用:どう残し、次に繋ぐか(資産の蓄積)


このようにプロセスを分解することで、自社のプロジェクトが今どこで足踏みしているのか、漏れなくダブりなく(MECEに)点検できるはずです。


成功談よりずっと生々しい、地方マーケティングにおける「5つの罠」と具体的な対策をお届けします。



1. 【設計の罠】「みんな」に向けて「地域らしさ」を足し算する(フェーズ:誰に何を売るか)


最初の罠は、プロジェクトの設計図を描く段階で起きます。


方言、伝統柄、名所、地産地消…。

「地域資源」と呼ばれるものを全部乗せして、ターゲットを「みんな」にしてしまうケースです。


結果どうなるか?


どこにでもある“それっぽいもの”が完成し、誰の心にも刺さらず、最後は価格と広告費の殴り合いになります。差別化しようとして、自ら同質化に向かっている状態です。


対策


足し算をやめ、勇気を持って「捨てる顧客」を決めましょう。

そして、自社ならではの「制約(アクセスの悪さ、収穫期の短さなど)」を1つ選び抜き、それを「特定のシーン(カテゴリーエントリーポイント)」で買われる理由に翻訳します。

「誰にでも刺さる」を捨てた瞬間、ブランドは独自性を持ち始めます。


▼参考記事:カテゴリーエントリーポイント(CEP)とはなにか?事例、参考になる本/書籍を紹介




2. 【企画の罠】顧客価値より「補助金・行政の要件」を主語にする(フェーズ:何のためにやるか)


事業の骨格が決まった後、いざ企画を立てる時に顔を出すのが「調和」という名の罠です。


「この要件を満たせば補助金が通る」「こう書けば関係者に角が立たない」など、行政や周囲の空気を主語にしてしまうことも少なくありません。


確かに「美しい企画書」は一見すると良さそうに見えます。しかし、その企画書の商品やサービスは自腹を切って買いたくなるものでしょうか?補助金というガソリンが切れた瞬間、止まってしまうものかもしれません。


対策


企画書の1ページ目に、「顧客価値はなにか → 買う理由はなにか → 継続できる仕組みになっているか」を入れ込んでみてください。

顧客への価値提供ができない事業は絶対に自走しません。今一度見直してみましょう。


▼参考記事:ブランドイメージはどうやって確立する?ブランドの作り方と成功事例を紹介





3. 【提案の罠】取引価値より「ストーリー」を先行させる(フェーズ:どう魅せるか)


商品ができあがり、いざ世に出す時のコミュニケーションにも落とし穴があります。


生産者の熱い想いや地域の歴史。たしかに素晴らしいですが、それだけを語ってしまうと「応援してます!」という言葉だけが集まり、商品の魅力そのものに関心を持ってもらえないことがあります。これら応援消費はファンビジネスのように見えて、実態は「寄付」に過ぎません。


対策


エモいストーリーも大事ですが、その前にまずは「取引価値(具体的な用途、価格の納得感、不安解消)」をきちんと訴求してみてください。


顧客のリアルなペイン・不安の解消が先です。ストーリーは、購入後の「買ってよかった」という納得感・満足感を作るために取っておきましょう。



4. 【導線の罠】買いやすさを軽視して「映え(動機)」を煽る(フェーズ:どう動かすか)


フォッグの行動モデルを思い出してください。人の行動は「動機 × 実行能力(やりやすさ) × きっかけ」で起こります。


白背景の説明スライド。中央に大きく「B=MAP」、下にBehavior/行動、Motivation/モチベーション、Ability/能力、Prompt/きっかけ。上に「フォッグ行動モデル」

▼参考:【レポート】「無関心」の向こうに希望がある。地域ビジネスの未顧客戦略。



綺麗な写真やバズる動画でどれだけ「動機」を跳ね上げたとしても、予約方法が面倒だったり、ECサイトが使いにくかったりすれば、当然ながら行動(購買)は起こりません。


対策


下げるべきは「価格」ではなく、「買いやすさのハードル」です。


例えば、SNS投稿の末尾に、迷わない導線を1つだけ(お店の紹介投稿なら予約方法など)」置いてみる。顧客が行動変容を起こす際の摩擦を徹底的に減らせるよう、考えてみてください。



5. 【運用の罠】現場の学習を外部に丸投げし、「露出」だけを追う(フェーズ:どう残し、次に繋ぐか)


最後はプロジェクトが走り出した後の話です。


広告代理店や制作会社に丸投げし、KPIを「来場者数」や「メディア露出」に設定してしまったとします。これだと、担当者が変わったり次年度になったりした際、またゼロから集客の苦労を繰り返すことになり、現場が苦労してしまうことになります。


対策


外部パートナーからの成果物には、納品物だけでなく行動や意思決定の裏で「なぜそうしたか」を含めて共有するようにしてください。

一過性の花火を打ち上げるのではなく、ナレッジ・資産を積み上げる運用体制を作らなければ、現場の体力が尽きてしまいます。



最後に:まずは「現在地の把握」から


「設計・企画・提案・導線・運用」。

あなたのプロジェクトは、この5つの階段のどこで足踏みしていたでしょうか?


地方マーケティングの現場は、常にリソース不足との戦いです。人手も予算も限られている中で、あれもこれもと総花的に手を出せば、現場が疲弊して最悪の場合は事業そのものが立ち行かなくなってしまいます。


だからこそ、いかに「選ばれ続ける理由」をシャープに設計し、無駄な摩擦を減らすかが勝負の分かれ目になります。


この5つのフェーズすべてを、明日からいきなり完璧にする必要はありません。

まずは、自社がもっともエラーを起こしているフェーズはどこなのか、その現在地を正確に把握することが第一歩です。


上流の「設計」からボタンを掛け違えているなら、ターゲットと制約の洗い出しに戻る。下流の「導線」で取りこぼしているなら、購買ハードルを極限まで下げる。


今回整理した5つの視点が、皆さんの現場における意思決定のノイズを減らし、次の一手を打つためのクリアなコンパスになれば嬉しいです。


当社では無料壁打ちも行っていますのでお気軽にお声がけください。


▼参考:【HONE】ここまでいいの!? 桜井の「無料壁打ちサービス」でできること





HONEは地域に根ざし、現場に足を運ぶ地方マーケティング会社です。


日本の地方には、魅力的な商品・サービスがたくさんあります。


地方に根ざしたブランドの志や文化、人々の誇りや営み。HONEはそうした人たちの想いを価値に変えるべく、現地に出向いてきました。 私たちは、文化と経済の「骨」を設計し、地域の「らしさ」を未来へつなげる仕組みを育てます。 論語と算盤。想いと仕組み。美学と実行力。 その両立を、マーケティングの力で実装していきます。


HONEは地域に根ざし、現場に足を運ぶマーケティング会社です。


▼HONEにできること


語られていない価値の「骨」を探す

商品や地域の中にある「想い」や「背景」は、まだ言語化されていないだけかもしれない。 それらを丁寧にすくい上げ、ブランドの芯として翻訳します。 見落とされがちな隠れた価値に役割を与えることが、事業の骨格をつくるはじまりです。


現場に入り、五感を使って「骨」を磨く

戦略も仕組みも、現場を歩き、対話することから始まります。 地形、歴史、空気、人の言葉やまなざし。デスクリサーチでは捉えきれない情報を五感で受け取り、定量と定性、論理と情緒、ロマンとそろばんを掛け合わせて、設計に落とし込みます。


手を動かしながら、「骨」を強くする

支援とは、プランを出して終わりではありません。 現場に入り、泥臭く、時に失敗しながら共につくりあげていきます。 頭で考えて、手足を動かす中で生まれる「実感」こそが、骨を太くし、しなやかに持続する構造を育てていきます。


文化となる「骨格」を、未来へ残す

目指すのは、ただ売ることではありません。 地域に根ざした文化や営みに芯を通し、事業として持続可能なかたちに育てていくこと。短期的な成果ではなく、関わる人たちの誇りとなり、語り継がれていく仕組みをデザインします。 HONEは、経済と文化をつなぐ骨を共につくり、未来へと残していきます。


▼HONEにできること


▼HONEの強み


01/一貫サポート

戦略設計から実行〜検証まで。経営課題の整理から、現場を動かす具体的な仕組みづくりまでを、一貫して支援します。リサーチ・企画・実装・振り返りのすべてに伴走し、商品・サービスの価値を再定義しながら、現場に根づく事業を共につくります。目指すのは、短期的な成果だけでなく、文化が息づき、長く続く事業と地域のかたちです。


02/現場主義

デスク上、リモートワークでは見えない、地域の空気や人の温度に触れる。HONEは現地に足を運び、実際に現場の風景・人の営みに向き合いながら、これまでの現場で得た経験則を元に戦略・戦術に反映していきます。現在起こっている事実に基づく分析はもちろんのこと、解釈に現場の五感で得た気づきを重ね合わせ、実装へとつなげていきます。


03/全国実績

北は北海道、南は沖縄まで、一次産業から観光、教育、行政、ベンチャー、スタートアップ、アトツギなど、多種多様なプロジェクトに携わってきました。たくさんの地域を見てきたからこそ、それぞれの良さに気づくことができます。そして土地に根付くその事業の「らしさ」を、より鮮明に見つけることができます。全国各地で積み重ねた知見を、次の挑戦に活かします。


04/産学官連携

企業・教育機関・行政と手を取り合い、対話を重ねながらプロジェクトを推進しています。 単なる連携にとどまらず、それぞれの立場が持つ知見や資源を持ち寄り、地域に根ざして実装していくこと。 現場での実践と、学びの場での理論、そして制度や仕組みをつなぐ橋渡しとして、多様なセクターの信頼を得ながら取り組みを展開しています。


▼HONEの強み


なぜ今、“地方”でマーケティングが必要なのか


マーケティングという言葉には、しばしば「スケールする」「売上を伸ばす」といったイメージが付きまといます。しかし、地方において本当に必要なのは、そうした直線的な成長だけではありません。人口減少、担い手不足、そしてインフラや情報環境の未整備。多くの地域が、さまざまな制約の中で日々の営みを続けています。


制約が多いからこそ、その土地に根ざした価値を継続し、文化や人々の想いを循環させていくための工夫が欠かせません。マーケティングの論理をそのまま持ち込むのではなく、人肌を大切に、想いを大切に、未来へとつなげていく。実装力と創造力を備えた「地方のマーケティング」が必要です。


なぜ今、“地方”でマーケティングが必要なのか


地方に必要なのは、「地域理解」


こうした現場においてまず必要なのは、「何をどう売るか」よりも先に「この地域には何があるのか」「何を残していきたいのか」を知っていく姿勢。つまり「地域理解」です。ブランド構築の土台を固めるには各レイヤーごとに把握すべきポイントを理解することが重要です。


地方に必要なのは、「地域理解」

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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【記事を書いた人】


プロフィール

株式会社HONE

代表取締役 桜井貴斗


札幌生まれ、静岡育ち。 大学卒業後、大手求人メディア会社で営業ののち、同社の新規事業の立ち上げに携わる。 2021年独立。クライアントのマーケティングやブランディングの支援、マーケターのためのコミュニティ運営に従事。

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