まちづくりの迷走を防ぐ！目的を明確にする方法とは？

桜井貴斗
4月12日
読了時間: 11分

まちづくりの活動に取り組んでいるものの、「何のためにやるのか」が明確でないと、方向性が定まらず、活動が迷走してしまうことがあります。

まちづくりに関わる人々の中には、目的が不明確なまま進めてしまい、思うような成果が得られないと感じている方も多いのではないでしょうか。目的をはっきりさせることで、活動の一貫性が生まれ、継続しやすくなります。

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まちづくりの目的が不明確だと何が問題なのか？
- 活動の方向性が定まらず、迷走してしまう
- 住民や関係者の協力が得られにくい
まちづくりの目的を明確にするメリット
- 1. 活動の一貫性が生まれ、継続しやすくなる
- 2. 住民・行政・企業との連携がスムーズになる
- 3. まちの課題解決に向けた具体的な取り組みが進めやすい
どのように目的を定めればいいのか？
- 「どんな地域にしたいのか？」を考える
- まちづくり三法を踏まえたまちづくり
- 関係者と目的を共有し、共通のビジョンを持つ
目的を定めたあとの具体的なアクション
- 1. 目標に沿った計画を立て、小さな成功を積み重ねる
- 2. 住民の意見を取り入れながら柔軟に活動を進める
- 3. 活動の振り返りを行い、目的がぶれないように調整する
まとめ
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まちづくりの目的が不明確だと何が問題なのか？

まちづくりにおいて目的が不明確な場合、活動の進行に支障が生じ、協力も得にくい状況です。あたりまえに思えますが、意外と目的が曖昧なまま進んでしまうプロジェクトが少なくありません。目指す方向や価値観がブレて、関係者の行動がバラバラになってしまった経験は誰しもあるでしょう。ここでは、目的が不明確な場合に起こりがちな問題と、その解決のヒントをご紹介します。

活動の方向性が定まらず、迷走してしまう

目的が不明確なプロジェクトは、活動の方向性が定まらず迷走してしまいます。具体的な目標がないまま進めると、メンバーが何を優先すべきかが分からなくなり、ムダな動きが増えてしまうのです。

例えば、地域活性化のために空き家を利活用したいのに、地元の交流が生まれないクローズドな事業ばかりしてしまっては、関係者の熱量が低下し事業自体が続けられなくなる恐れがあります。

まちづくりの活動を成功させるためには、活動の方向性を定め、関係者全員が同じビジョンを共有する「明確な目的」が不可欠です。これにより、活動はより一貫性を持ち、効果的に進められるようになるでしょう。

住民や関係者の協力が得られにくい

目的が不明確な場合、住民や関係者からの協力を得られにくくなる点も考えられます。活動の方向性が見えなければ、自分とは関係がないとみなされ、参加への意欲が湧きづらくなるのは明白です。

お互いにメリットがあるプロジェクトだと思ってもらえなければ、協力は得られないでしょう。その結果、やるべきことが進まず、活動自体が停滞してしまう恐れがあります。

共通のビジョンがあれば、住民や関係者も安心して協力しやすくなり、活動がスムーズに進むのです。

まちづくりの目的を明確にするメリット

まちづくりの目的を明確にすれば、活動の成功に直結し、その結果として生まれるメリットをご紹介します。

1. 活動の一貫性が生まれ、継続しやすくなる

具体的な目標が設定されると、日々の活動はその目標に沿って進められ、メンバー全員が同じ方向を目指して行動できるようになります。その結果、活動の効果が高まり、住民や関係者からの信頼も得やすくなるでしょう。

明確な目的があれば、長期的なビジョンを描いた活動が可能になります。短期的な成果にとどまらず、将来を見据えた取り組みとなり、メンバーのモチベーションや意欲も持続するでしょう。目的が明確であれば、活動の方向性がぶれにくくなり、関わる人たちとのビジョンの共有もスムーズになるのです。その結果、まちづくりの取り組みはより効果的で、持続可能なものへと発展していきます。

2. 住民・行政・企業との連携がスムーズになる

目指す方向がはっきりしていれば、各関係者が共通の目標に向かって協力し、役割分担も整理されます。たとえば、住民が生活環境の改善を求めている場合、行政はそのニーズに応じた施策を実施し、企業は地域資源を活用したビジネスモデルを展開できるでしょう。

目的が共有されていれば、情報のやり取りもスムーズになり、住民は行政の計画や企業の活動を理解でき、行政や企業も住民の声や要望を的確に把握できるようになります。こうした情報の循環によって、立場の異なる人々が互いに信頼関係を築き、協力できる土壌が整うのです。まちづくりの方向性が明確であれば、連携の深化と地域全体の活性化につながり、関係者が力を合わせて取り組むことで、より大きな成果が期待できるようになります。

3. まちの課題解決に向けた具体的な取り組みが進めやすい

目指す方向が定まると、優先すべき問題が見えやすくなり、限られたリソースも効果的に活用できます。たとえば、交通渋滞や空き家の増加、環境保全など、地域特有の課題に応じて、目的に沿った具体的な対策を立案・実施できる体制が整います。

また、住民、行政、企業など、多様なステークホルダーが共通のビジョンを持つことで、連携が深まり、課題解決のスピードや精度が向上するでしょう。たとえば、住民の声を取り入れたワークショップやアンケートを通じて、実情に即したプロジェクトを立ち上げることが可能になり、地域の実態に合った取り組みを着実に進める土台が整います。活動の方向性がぶれず、持続可能な地域づくりにもつながっていくのです。

どのように目的を定めればいいのか？

まちづくりの目的をどのように定めれば良いのか悩む方も多いため、ここではそのためのステップをご紹介します。

「どんな地域にしたいのか？」を考える

どの取り組みも、はじめは「どんな地域にしたいのか？」という明確なビジョンがあるはずです。この質問に対する答えを誰もがわかりやすい文章にしておくことこそ、活動の目的を定める基盤と表現できるでしょう。例えば、環境に優しい持続可能な地域を目指すのか、住民同士が交流できるコミュニティを重視するのか、それぞれのビジョンによって取るべきアプローチは違うのです。さらにいえば、環境に優しいとはどのような状態を指すのか、年齢、性別、立場が違う住民たちが居心地の良い状態とは何なのかなど、解像度を上げれば後々ブレてしまう状況を防ぎます。

まずは関係者と対話を重ね、共通の理想像として共有し、地域の課題に対する理解を深めることが重要です。

このプロセスを通じて、参加者全員が同じ方向を向くことができるようになり、まちづくりの活動が一貫性を持って進められるようになります。具体的なビジョンを持つことで、活動の方向性が明確になり、迷走を防ぐための第一歩を踏み出すことができるのです。

▼事業の目的と内容をまとめると「コンセプト」です。コンセプトの意味と策定に使えるフレームワークは、こちらでまとめています。

新規事業コンセプトの作り方｜フレームワークと実践方法

まちづくり三法を踏まえたまちづくり

都市計画に関わる場合は、「まちづくり三法」と呼ばれる法制度を把握しておくと良いでしょう。まちづくり三法とは、日本国内の都市計画を統一するルールです。気づかぬうちに違反してしまわないよう把握しておきましょう。

地域の実情に即した計画を立てることで、住民や関係者の理解と協力を得やすくなり、活動の効果を高めることができます。

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まちづくりに関わる法律一覧：まちづくり三法をわかりやすく解説

関係者と目的を共有し、共通のビジョンを持つ

まちづくりには、住民・行政・企業など、さまざまな立場の人が関わります。それぞれの考え方や期待は異なりますが、活動を成功へ導くためには、関係者全員が共通の目的やビジョンを理解し、共有する姿勢が欠かせません。

関係者同士が集まり、まちの将来像や目指す方向について意見を交わす場を設け、対話を通じて相互理解が深まり、目標が明確になるのです。共有されたビジョンは、活動の道しるべとなり、全員が同じ方向へ進むための基盤となります。たとえば「地域の活性化」を目指す場合、具体的な取り組みに合意が得られれば、それぞれの役割が明らかになります。また、定期的なミーティングを開いて進捗を確認すれば、方向性のずれを防ぎつつ、変化にも柔軟に対応できるでしょう。共通のビジョンをもとに進める仕組みを整えると、持続可能なまちづくりへの第一歩となります。

目的を定めたあとの具体的なアクション

目的を明確にした後は、その目的に基づいて具体的なアクションを起こすことが重要です。これから、アクションを通じて目的に基づいた効果的なまちづくりが進められるでしょう。

1. 目標に沿った計画を立て、小さな成功を積み重ねる

まちづくりを進めるには、明確な目標をもとに計画を立てる姿勢が重要です。最初に具体的な目標を示すと、活動の方向が定まり、関係者全員が同じゴールに向かって動けるようになり、それぞれの役割や責任も明らかになると連携しやすくなります。

計画を進める際は、大きな目標をいくつかの小さな段階に分ける工夫が効果的です。短期間で成果を実感できる場面が増えるため、参加者の意欲が高まりやすくなります。こうした成功の積み重ねが、次のステップへの推進力につながるでしょう。

さらに、進捗を定期的に振り返りながら、必要に応じて内容を見直すことで、状況の変化にも柔軟に対応できます。

明確な目標に沿って計画を実行し、小さな前進を積み重ねるプロセスは、まちづくりの継続と発展を支える基盤となり、関係者との信頼を深めると、より大きな成果へとつながっていきます。

2. 住民の意見を取り入れながら柔軟に活動を進める

まちづくりを進めるうえで、住民の意見を反映させる姿勢が非常に重要です。地域の実情を最も深く理解しているのは、日々そこで暮らす人々です。その声を計画に反映させれば、現場の実態に合った取り組みが可能になります。たとえば、地域イベントやインフラ整備に関する要望を聞くことで、住民が本当に望む内容を把握し、具体的な方向性を定めやすくなります。

自分の考えがまちづくりに反映されていると感じれば、主体的に関わる人が増え、全体の協力体制も強まり、進行が円滑になり、より多くの成果にもつながるのです。

柔軟な運営を実現するためには、住民との継続的な対話が欠かせません。アンケートや地域会議などを通じて声を集め、計画や活動に反映させると、地域の変化や新たな課題にも対応できるでしょう。

3. 活動の振り返りを行い、目的がぶれないように調整する

まちづくりの活動を進める中で、定期的な振り返りは欠かせません。振り返りによって、活動が当初の目的に沿って進んでいるかを確認でき、必要に応じて方向を修正できます。具体的には、成果や課題を整理し、何がうまくいったのか、何に改善が必要なのかを明確にすることが大切です。

このプロセスでは関係者全員の参加が求められ、住民、行政、企業など、さまざまな立場の人々が集まり、意見を交換することで、より多角的な視点から活動を評価できます。その結果、目的がぶれず、新たなアイデアや解決策も生まれる可能性が高まるのです。

振り返りを通じて得た結果を基に、次のステップに向けた具体的なアクションプランを立てることが重要です。これにより、活動が一貫性を持ち、持続可能なものとなり、目的を常に意識し、柔軟に進めるとまちづくりの成功につながります。

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解説

まとめ

目的が不明確なまま活動を進めると、方向性を見失い、結果として迷走するおそれがあり、加えて、住民や関係者の協力を得にくく、活動の効果も十分に発揮される可能性が低くなります。しかし、目的をはっきりと定めると、活動の一貫性が生まれ、継続的な取り組みができるでしょう。

さらに、明確な目的は、住民、行政、企業との連携をスムーズにし、まちの課題解決に向けた具体的な取り組みを進めやすくします。地域の未来を描くためには、まず「どんな地域にしたいのか？」を考え、課題を整理し、関係者と共通のビジョンを持つと良いでしょう。目的を定めたあとは、計画を立て、住民の意見を取り入れながら柔軟に活動を進め、定期的に振り返り、目的がぶれないよう調整が求められます。まちづくりの迷走を防ぐために、是非目的を明確にし、全員が同じ方向を向いて進んでいけるようにしましょう。