まちづくりビジョンとは?自治体が進めるビジョン策定の事例を比較してみた
- 桜井 貴斗
- 3月1日
- 読了時間: 8分
更新日:3月30日

国は現在、人口減少や東京圏への一極集中といった課題に対応するため、ビジョン策定を含む官民連携のまちづくり支援「官民連携まちなか再生推進事業」などの政策を推進しています。
地域の未来を描き、持続可能な発展を実現するために欠かせないのが「まちづくりビジョン」です。しかし、「自らの町に合ったビジョンをどのように考えればいいのか」「何から始めればいいのか」「どのように設計すればよいのか」と悩む企業や自治体の担当者も多いのではないでしょうか?
本記事では、注目されるまちづくりビジョンの事例を比較しマーケティング的視点からポイントを解説します。
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目次
まちづくりビジョンの基本的な考え方
なぜビジョンが必要なのか?
ビジョン策定の流れ(現状分析・目標設定・計画立案)
大阪府大阪市「なんばエリアの活性化」
広島市紙屋町・八丁堀エリア「カミハチキテル」
そもそも「まちづくりビジョン」とは?

まちづくりビジョン」とは、地域の将来像を描き、その実現に向けた具体的な計画や方針を示すものです。地域住民、企業、自治体が一体となって持続可能な発展を目指すための重要な指針となります。
ビジョンの策定には、地域の特性や課題を踏まえ、長期的な視点に立った戦略的なアプローチが必要です。
また、国土交通省の「未来ビジョン」では、都市の魅力や国際的な競争力を高めるため、行政や民間のさまざまな人が集まり、地域の将来像を共有することが大切だとされています。
地域の強みを活かしながら、計画的にまちづくりを進めることで、魅力的で暮らしやすい地域が実現できるでしょう。
まちづくりビジョンの基本的な考え方
まちづくりビジョンは、単なる計画書ではなく、住民、企業、行政等が連携して持続可能な発展を目指すための重要なガイドラインです。このビジョンは、地域の特性や課題を考慮しながら策定され、地域の未来を描くための基盤となります。
具体的には、まちづくりビジョンは以下のような要素を含むことが一般的です。

現状分析:地域の現状や課題を正確に把握し、その情報を基にビジョンを策定します。
将来像の設定:地域が目指すべき将来像を明確にし、その実現に向けた方向性を示します。
具体的な施策:目指す姿に向けた具体的な施策や役割分担を定めます。
参加型アプローチ:住民の意見やニーズを取り入れ、共感と協力を促進します。
このように、まちづくりビジョンは地域の持続可能な発展を支える重要な道筋となり、住民が暮らしやすい環境を実現するための第一歩となります。
なぜビジョンが必要なのか?
まちづくりビジョンは、地域の課題を明確にし、それに対する具体的な解決策を計画するために必要です。
また、ビジョンは外部からの支援を得るためにも重要です。国や県からの補助金や支援を受けるためには、明確なビジョンと計画が求められます。
どのような事業でも、5年、10年を見据えた長期的ビジョンがなければ、プロジェクトの途中で目的がブレてしまったり、説明の説得力が薄くなったりするものです。
これらを踏まえ、地域の強みを活かした魅力的なまちづくりビジョンを策定していきましょう。
まちづくりビジョンはどのように策定されるのか?
まちづくりビジョンの策定には、自治体や企業、地域住民など多様なステークホルダーが関与することが求められます。
ビジョンは、企業が将来的に達成したい目標や理想の姿を描くものであり、長期的な方向性を示す重要な要素です。ビジョンを策定する際には、以下のステップを参考にすると効果的でしょう。
「未来の姿を具体的に描く」
「現実的かつ挑戦的な目標を設定する」
「ステークホルダーの期待を反映する」
「インスピレーションを与える表現にする」
「企業のミッションと整合性を保つ」
「定期的に見直す」
▼詳しくは、以下の記事をご覧ください。
ビジョン策定の流れ(現状分析・目標設定・計画立案)

まちづくりビジョンの策定は、地域の未来を描くために非常に重要なプロセスです。このプロセスは、大きく分けて「現状分析」「目標設定」「計画立案」の三つのステップから成り立っています。
①現状分析
地域の現状を把握するために、人口動態、経済状況、インフラの整備状況などを調査。この段階で得られたデータは、地域の強みや弱みを明確にし、今後の方向性を考えるための基盤となります。
②目標設定
現状分析をもとに、地域が目指す具体的な目標を設定。これには、住民の生活向上や経済活性化、環境保護など、さまざまな視点が含まれます。目標は、地域の特性や住民のニーズに合ったものであることが重要です。
③計画立案
設定した目標を達成するための具体的なアクションプランを策定し、実施のためのスケジュールや予算を明確にします。この段階では、自治体や企業、住民などの関係者が協力し合い、実現可能な計画を作成することが大切です。
このように、まちづくりビジョンの策定は段階を経て完成します。一連の流れを意識してビジョンを策定することで、より効果的なまちづくりが実現できるでしょう。
まちづくりビジョンの事例
まちづくりビジョンを策定するには、地域の実情に合った柔軟なアプローチが必要です。しかし、ゼロから新しいアイデアを考え出すのは難しいかもしれません。
その場合、他の地域の成功事例を参考にすると、自分たちのまちづくりのイメージがしやすくなります。
以下では、参考になる成功事例を紹介します。

大阪府大阪市「なんばエリアの活性化」
南海グループは、2050年を見据え、"なんば"を国際的な観光都市へと進化させる「グレーターなんば構想」を推進しています。
この構想で掲げている「エンタメダイバーシティ ENTAME-DIVER-CITY Meet!Eat!Beat! On NAMBA」とは、エンターテイメントとステイを軸に、様々な人々との協働によって、魅力的な街づくりを行う計画です。
多様なエンターテイメントと個性的な街並みを生かし、訪れる人、働く人、暮らす人、そして「担い手」が、共に幸せを感じられるような場所を目指しています。
来街者数、滞在時間、来街頻度を高め、国内人口減少や変化の激しい時代に対応した魅力を創造し、"なんば"エリアの活気を長く保ちます。これにより、その賑わいを周辺地域にも広げていきたいと考えています。
広島市紙屋町・八丁堀エリア「カミハチキテル」

出典元リンク先:https://kiteru.site/ (外部リンクへ)
「カミハチキテル -HEART OF HIROSHIMA-」は、広島市の中心部、紙屋町・八丁堀エリアの活性化を目指す官民連携のまちづくりプラットフォームです。2020年5月に設立され、「ひとのための都心空間」をつくることに取り組んでいます。
2021年10月には、未来を見据えたビジョン「カミハチミライデザイン」を発表しました。このビジョンでは、「Prototype City(プロトタイプシティ)」という理想的な街の姿を描き、2045年の被爆100年までの実現が目標です。
具体的には、プロトタイプの実装と発展、新たな魅力の創出、世界との連携、創造性の向上、そして社会課題の解決を重視し、多様な参加者が協力しながら持続可能なまちづくりを進めています。
ビジョンを策定すると何が変わる?
まちづくりビジョンを策定することは、地域の未来を描くための大切なステップです。明確なビジョンがあれば、自治体や企業は具体的な目標を設定し、長期的な計画を進めやすくなります。
ビジョンについて、以下の記事にまとめています。どちらもビジョンを考える際に、ぜひ読んでほしい記事です。
まとめ
本記事では、まちづくりビジョンの重要性とその策定プロセス、成功事例について詳しく解説しました。地域の未来を描くためには、明確なビジョンが不可欠であり、それが持続可能な発展を実現するための基盤となります。
ビジョンの策定は一朝一夕にはいかないものの、現状分析から目標設定、計画立案までの流れを理解し、地域の課題に対処する具体的な道筋をつくりましょう。
これからまちづくりを始めたいと考えている企業や自治体の担当者にとって、本記事が役立つ情報源となれば幸いです。
地域の未来を描き、持続可能な発展を目指して、まずは一歩を踏み出してみてください。
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