まちづくりは意味がない? 地方マーケターが考えるまちづくりの意義
- 桜井 貴斗
- 3月6日
- 読了時間: 8分
更新日:3月30日

まちづくり関連のプロジェクトに対し、自分とは関係のない場所で行われていると思われる方は少なくないと思います。「まちづくり」の範囲が広いことに加え、本当にまちの課題へ役立つ事業なのかわかりづらい点に課題があるようです。
地域に根ざしたマーケティング視点から見ると、その意義は深いものがあります。今回は、まちづくりのプロジェクトが持続可能な発展を目指すまちづくりの重要性を考えます。
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目次
まちづくりへの偏見:無駄だと思われる理由
見えない成果と長期的な視点
地域資源を活用したマーケティング戦略
ターゲット層とニーズの明確化
地域ブランドの確立とその効果
「成果を求める罠」と市場環境分析の重要性
市場分析なしでは成果は遠い?短期思考の落とし穴
まちづくりの誤解とその背景

地方のまちづくりが「無駄だ」と見なされる背景には、現代社会における価値観の変化や、短期的成果を重視する傾向が大きく影響していると考えられます。
特に、即効性が求められる社会において、目に見える結果を生み出せない活動は評価されにくいのが現状です。この傾向は、人口減少や経済の停滞が進む地方で特に見られます。
そのため、まちづくりが『効果の見えにくい取り組み』と評価されることも少なくありません。しかし、地域の持続可能な発展を考える上で、まちづくりの本質的な価値を理解するには長期的な視点が重要だと私は考えています。
まちづくりへの偏見:無駄だと思われる理由
地方では、経済活動の低迷や人口減少の影響により、まちづくりの成果が見えにくいと感じられることがあります。特に、経済的な即効性が求められる中で、文化の継承や環境保護、コミュニティの強化といった側面は短期間での評価が難しく、一部の人々から「無駄」と見なされることもあります。
しかし、まちづくりには短期的な経済効果を生む事例もあり、一概に「即効性がない」とは言えません。また、地域に根付く文化やコミュニティの活性化は、長期的には地域の魅力や価値を高める要素となる可能性があります。そのため、単なる経済指標だけで評価するのではなく、幅広い視点から捉えることが重要です。
見えない成果と長期的な視点
地域の発展には、短期的な成果だけではなく、長期的な視点が欠かせません。
例えば、インフラ整備や公共施設の充実が、すぐ経済的な利益を生み出すわけではありません。しかし、生活の質が向上し住みやすいまちになれば、結果的に地域の魅力を高めることになります。
また、地域コミュニティの強化も重要です。住民同士のつながりが深まることで、災害時など困難な状況において助け合いの関係性が機能し、地域全体のレジリエンスが向上していくでしょう。
こうした見えにくい成果は、時間をかけて積み重ねられ、地域の発展に貢献していくのです。
マーケティング視点から考える「意味のあるまちづくり」
今、地方に必要なのは「地域理解」のできるマーケターだと思っています。まちづくりは単なるインフラ整備や施設建設にとどまらず、地域特性を活かしたマーケティング戦略として捉えるべきです。ここでは、マーケターの視点でまちづくりを考えるアプローチの一例をご紹介します。
地域資源を活用したマーケティング戦略

地域の文化、歴史、自然環境、特産品といった豊かな資源を活用することで、地域の魅力を高め、観光客や移住者を呼び込むことができるでしょう。地域資源を活用したマーケティング戦略の主なメリットをご紹介します。
地域経済の活性化
地元の伝統工芸や農産物をブランド化し、全国市場に展開
地元の雇用が創出され、地域の経済が活性化
地域アイデンティティの強化
地元の特産品や文化が広まり、地域独自のアイデンティティが強化
観光促進と地域活性化
地域資源を活用したイベントやフェスティバルの開催で観光客を誘致
観光業が活性化し、地域の魅力を広く発信
持続可能な発展
地元資源を活用することで輸送コスト削減、環境負荷軽減。
持続可能な地域づくりが促進され、次世代への資源継承が可能。
社会的メリット
地域全体の活性化により、社会的なつながりやコミュニティの強化が実現
ターゲット層とニーズの明確化

地方ではいわゆる3C分析(顧客:Customer、自社:Company、競合:Competitor)の間に、「地域理解」というレイヤーが必要です。地域の特性、風土、産業、人を理解すれば、効果的な施策を見極めることができます。
各地に出向き、地域特性を肌で感じてみて気づくことはたくさんあります。主観的な意見ですが、東北は我慢強くて相談しない傾向があると感じますし、九州は陽気でオープンなコミュニケーションをとる印象があります。
このように、ターゲット層のニーズを把握するためには、アンケートやインタビュー、現地調査で特徴を捉え、定量・定性の両面でデータ分析することが重要になります。なによりまずは現地に赴き、まちの様子を見て、肌で感じることが大切です。
地域ブランドの確立とその効果
地域ブランドとは、その地域独自の特性や魅力をもとに生まれるブランドです。確立されることにより、地域の認知度を高め、経済的な利益をもたらします。
▼ブランドとはなにか。基本的な考え方をまとめました!
▼まちづくり事業の軸をつくる事例をまとめてみました!
地域マーケターから学ぶ地方のまちづくり
地方のまちづくりにおいて、「早く成果を出したい」と思うのは自然なことです。しかし、短期的な成果ばかりを追い求めると、かえってプロジェクトが停滞してしまうことがあります。こうした停滞を防ぐためには、目の前の結果だけでなく、市場環境を丁寧に分析し、長期的な視点を持つことが不可欠です。
「成果を求める罠」と市場環境分析の重要性

短期的な結果を優先しすぎると、無意識のうちに「成果を求める罠」に陥ってしまいます。たとえば、すぐに人を集めようとして無理なキャンペーンを行ったり、目立つプロジェクトばかりに投資したりすると、持続的な成長につながりにくくなります。
マーケティングにおいて、「施策A=成果」になることはほぼありません。考えうる施策の積み重ねが成果になったり、それぞれの施策が連動し相乗効果を生んで成果になったりするものです。
他社の成功事例をなぞっても成果にはつながりません。まず、自社が置かれている市場環境分析を土台に戦略を考えるべきです。地域特性、競合状況、住民や顧客のニーズなど、周囲の環境をデータに基づいて分析することで、無駄な施策を減らし、本当に効果のあるアクションを選びやすくなります。
市場分析なしでは成果は遠い?短期思考の落とし穴
民間、公共事業問わず、地域に根差した課題を無視してトレンドだけを追った施策を打ってしまい、表面的には盛り上がっても長続きしないという失敗例を耳にします。
この背景には、地方の事業戦略は地域ごとの文化、産業構造、生活習慣などが複雑に絡み合うという特徴によって、横断的な視点がなければ地域全体を捉えられないというハードルがあると思います。
一つの専門領域では勝負できない、まさに総合格闘技のようなスキルセットが求められているのです。
だからこそ市場分析は、単なるデータ収集ではなく、地域や市場の「現在地」を知るための羅針盤として機能しなければ意味がありません。たとえすぐに成果が出なくても、分析に基づいた施策の積み重ねが、最終的には地域の発展や企業の安定成長につながります。
焦らずにじっくり市場を見極め、根拠ある戦略を組み立てていくことこそ、停滞を脱し、真の成功へと近づくカギになるはずです。
▼地方マーケティングが複雑な理由と、市場分析から戦略設計、実行までのステップをまとめた完全版です!
まとめ:「まちづくりを意味のあるものにするには?」
まちづくりを意味のあるものにするためには、地域の特性や住民のニーズを深く理解し、それに基づいた戦略を立てなければなりません。
地域資源を最大限に活用し、ターゲット層に応じた施策を展開すれば地域活性化していき、地域ブランドを確立し、認知度を高めて経済的利益を生み出します。住民が主体的に参加し、意見を反映させることで実効性が増し、持続可能な地域発展が促進されます。地域全体が一丸となって取り組めば、真に意味のあるまちづくりが実現するでしょう。
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