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なぜ良い商品でも売れないのか?地方ブランドこそ知るべき「ポリアの壺」と確率思考の戦い方について。

  • 7月12日
  • 読了時間: 10分
青紫の背景に、左へマーケティング検討シートの見本、右に「独自のマーケティングコンセプトをつくる 検討シート」の大見出し。

新興ブランドや新しい商品を立ち上げる際、「良いものを作れば必ず売れるはずだ」と意気込んで開発や販売を進めたものの、思うような結果が出ず徒労に終わってしまった…そんな経験はありませんか?


その失敗、商品力や努力の不足ではなく、そもそも戦う上での「前提条件」を間違えているからかもしれません。


今回は、地方ブランドやスモールビジネスを展開する皆さんにこそ知ってほしい数学モデル「ポリアの壺」を通じて、マーケティングにおいていかにして「勝てる確率」を作っていくべきかを解説します。






「ポリアの壺」とは?


「ポリアの壺」とは、確率論における有名なモデルです。


壺の中に赤玉と白玉が入っており、「無作為に玉を1つ取り出し、選んだ玉と同じ色の玉を1つ追加して壺に戻す」という操作を繰り返します。これを繰り返すとどうなるでしょうか?


結論から言うと、「すでに玉の数が多い色が、さらに引かれやすくなる」という現象が起きます。



これはマーケティングにおける「ダブルジョパディの法則(大きなシェアを持つブランドは、より多くの顧客に、より高い頻度で買われる)」と全く同じ構造です。


▼参考:「熱狂的なファン」を追わない。地方ブランドの成長を左右する「ダブルジョパディの法則」とは?



一度商品が購入されると、消費者の頭の中の記憶経路(Category Entry Points : CEP)が強化され、購買の習慣化や口コミが発生します。同時に、売れることで小売店での棚割り(フィジカルアベイラビリティ)も有利になっていきます。


つまり、「買われたから、さらに買われやすくなる」という自己増殖のループに突入していきます。この構造が、市場で大きなシェアを持つ大手ブランドが圧倒的な強さを誇る理由となります。



新興ブランドが後から覆すのが難しい


この「ポリアの壺」の考え方を用いると、戦う市場(=壺)の状態を見極めることがいかに重要かがわかります。


例えば、壺の中に玉が10個しかない時(=市場の初期、あるいは新しいカテゴリの創出時)に、自社の玉を1つ追加する影響力は非常に大きくなります。


しかし、すでに王者の玉が1万個も入っている成熟市場に、後発ブランドが自社の玉を1つ追加してもどうなるでしょうか?


その影響力は限りなく小さく、確率への影響は誤差の中に吸収されてしまいます。


消費者の頭の中で「〇〇といえばあのブランド」というメンタルアベイラビリティ(第一想起)がすでに強固に形成されている市場において、後発ブランドが正攻法のプロモーションを打ってもシェアが全く動かないのは、こうした数学的な理由があるのです。



メンタルアベイラビリティ、フィジカルアベイラビリティとは


メンタルアベイラビリティ、フィジカルアベイラビリティとはバイロン・シャープ著「ブランディングの科学」に記載されている用語の一つです。


※ブランディングの科学とは? (本書より引用) P&Gなど成功企業のブランディングに影響を与えたマーケティングの名著『How Brands Grow: What Marketers Don't Know 』の日本語版がついに発売。コトラーなどのマーケティング主流派に異を唱え、従来のマーケティング理論や常識を検証し、新しい視点からマーケティングやブランドの育成方法を提案する。 本書の特徴は、ともすれば理論が先行しがちなマーケティングにおいて、エビデンスに基づいた理論の実践の重要性を説いていることです。 マーケティングはアート(感性)とサイエンス(科学)の両方が必要、あるいはそのバランスが重要だと語られることが多いのですが、アレンバーグ・バス研究所で教授を務めるバイロン・シャープ氏のマーケティング理論は、一貫してエビデンスに基づいて科学的であることを何よりも大切にしている点において、他のマーケティング理論とは一線を画しています(「序文」より)。

▼参考記事:地方ブランドが選ばれるには?“思い出されること”と“買いやすいこと”のつくり方。【メンタルアベイラビリティ・フィジカルアベイラビリティとは?】




初期条件(N1の熱量)の重要性


では、資源の限られたスモールビジネスや地域ブランドはどう戦えば良いのでしょうか?


重要なのは、既存の巨大な壺(レッドオーシャン)の中で玉の数を競い合うことではありません。


「自分たちが圧倒的に有利な初期条件を持つ、新しい小さな壺(独自のカテゴリや、ローカルでの局地戦)」を定義することです。


そして、その小さな壺の中に、初期段階でどれだけ「自社の色の玉」を入れ込めるかが勝負になります。この「自社の色の玉」こそが、熱狂的なN1の支持(特定の顧客の強烈な熱量)です。


スモールビジネスの立ち上げにおいて、初期にこの熱量の高い玉を壺の中に入れ込むことができれば、その後の確率分布を自社に圧倒的に有利な形へと決定づけることができます。


マーケティングにおける「確率思考」とは、決して単なる運任せではありません。

「この壺のルールを理解した上で、意図的に初期の確率を偏らせる戦い方」こそが、後発ブランドや中小企業にとって極めて強力な戦略となるのです。


参考記事:【確率思考の戦略論を紐解く】ブランドの命運を握る「プレファレンス」はどのように高めるのか?




最後に:地方から「自分たちだけの壺」を作ろう


ここまで「ポリアの壺」を通して、マーケティングにおける確率と思考法について解説してきました。


資本力のある大手企業と同じ「すでに玉がいっぱいに入った巨大な壺」に飛び込み、真っ向勝負を挑むのは得策ではありません。

私たちのような地方ブランドやスモールビジネスが目指すべきは、そこではないのです。


大切なのは、自分たちの足で現場に立ち、目の前の一人(N1)と深く向き合うこと。そして、その熱狂的な支持を確固たる初期条件として、「自分たちが確実に勝てる小さな壺」を新しく定義することです。


地域には、まだ誰も気づいていない魅力や、特定の誰かに深く刺さる独自の価値(=新しい壺の種)が眠っています。


戦う場所の前提条件を見極め、意図的に「確率を偏らせる」戦い方を選択すれば、地方からでも必ず強いブランドは作れると信じています。


まずは、あなたのブランドにとっての「最初の強烈な一球(熱狂的なファン)」を見つけるところから始めてみませんか?


当社では無料壁打ちも行っていますのでお気軽にお声がけください。


▼参考:【HONE】ここまでいいの!? 桜井の「無料壁打ちサービス」でできること





HONEは地域に根ざし、現場に足を運ぶ地方マーケティング会社です。


日本の地方には、魅力的な商品・サービスがたくさんあります。


地方に根ざしたブランドの志や文化、人々の誇りや営み。HONEはそうした人たちの想いを価値に変えるべく、現地に出向いてきました。 私たちは、文化と経済の「骨」を設計し、地域の「らしさ」を未来へつなげる仕組みを育てます。 論語と算盤。想いと仕組み。美学と実行力。 その両立を、マーケティングの力で実装していきます。


HONEは地域に根ざし、現場に足を運ぶマーケティング会社です。


▼HONEにできること


語られていない価値の「骨」を探す

商品や地域の中にある「想い」や「背景」は、まだ言語化されていないだけかもしれない。 それらを丁寧にすくい上げ、ブランドの芯として翻訳します。 見落とされがちな隠れた価値に役割を与えることが、事業の骨格をつくるはじまりです。


現場に入り、五感を使って「骨」を磨く

戦略も仕組みも、現場を歩き、対話することから始まります。 地形、歴史、空気、人の言葉やまなざし。デスクリサーチでは捉えきれない情報を五感で受け取り、定量と定性、論理と情緒、ロマンとそろばんを掛け合わせて、設計に落とし込みます。


手を動かしながら、「骨」を強くする

支援とは、プランを出して終わりではありません。 現場に入り、泥臭く、時に失敗しながら共につくりあげていきます。 頭で考えて、手足を動かす中で生まれる「実感」こそが、骨を太くし、しなやかに持続する構造を育てていきます。


文化となる「骨格」を、未来へ残す

目指すのは、ただ売ることではありません。 地域に根ざした文化や営みに芯を通し、事業として持続可能なかたちに育てていくこと。短期的な成果ではなく、関わる人たちの誇りとなり、語り継がれていく仕組みをデザインします。 HONEは、経済と文化をつなぐ骨を共につくり、未来へと残していきます。


▼HONEにできること


▼HONEの強み


01/一貫サポート

戦略設計から実行〜検証まで。経営課題の整理から、現場を動かす具体的な仕組みづくりまでを、一貫して支援します。リサーチ・企画・実装・振り返りのすべてに伴走し、商品・サービスの価値を再定義しながら、現場に根づく事業を共につくります。目指すのは、短期的な成果だけでなく、文化が息づき、長く続く事業と地域のかたちです。


02/現場主義

デスク上、リモートワークでは見えない、地域の空気や人の温度に触れる。HONEは現地に足を運び、実際に現場の風景・人の営みに向き合いながら、これまでの現場で得た経験則を元に戦略・戦術に反映していきます。現在起こっている事実に基づく分析はもちろんのこと、解釈に現場の五感で得た気づきを重ね合わせ、実装へとつなげていきます。


03/全国実績

北は北海道、南は沖縄まで、一次産業から観光、教育、行政、ベンチャー、スタートアップ、アトツギなど、多種多様なプロジェクトに携わってきました。たくさんの地域を見てきたからこそ、それぞれの良さに気づくことができます。そして土地に根付くその事業の「らしさ」を、より鮮明に見つけることができます。全国各地で積み重ねた知見を、次の挑戦に活かします。


04/産学官連携

企業・教育機関・行政と手を取り合い、対話を重ねながらプロジェクトを推進しています。 単なる連携にとどまらず、それぞれの立場が持つ知見や資源を持ち寄り、地域に根ざして実装していくこと。 現場での実践と、学びの場での理論、そして制度や仕組みをつなぐ橋渡しとして、多様なセクターの信頼を得ながら取り組みを展開しています。


▼HONEの強み


なぜ今、“地方”でマーケティングが必要なのか


マーケティングという言葉には、しばしば「スケールする」「売上を伸ばす」といったイメージが付きまといます。しかし、地方において本当に必要なのは、そうした直線的な成長だけではありません。人口減少、担い手不足、そしてインフラや情報環境の未整備。多くの地域が、さまざまな制約の中で日々の営みを続けています。


制約が多いからこそ、その土地に根ざした価値を継続し、文化や人々の想いを循環させていくための工夫が欠かせません。マーケティングの論理をそのまま持ち込むのではなく、人肌を大切に、想いを大切に、未来へとつなげていく。実装力と創造力を備えた「地方のマーケティング」が必要です。


なぜ今、“地方”でマーケティングが必要なのか


地方に必要なのは、「地域理解」


こうした現場においてまず必要なのは、「何をどう売るか」よりも先に「この地域には何があるのか」「何を残していきたいのか」を知っていく姿勢。つまり「地域理解」です。ブランド構築の土台を固めるには各レイヤーごとに把握すべきポイントを理解することが重要です。


地方に必要なのは、「地域理解」

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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【記事を書いた人】


プロフィール

株式会社HONE

代表取締役 桜井貴斗


札幌生まれ、静岡育ち。 大学卒業後、大手求人メディア会社で営業ののち、同社の新規事業の立ち上げに携わる。 2021年独立。クライアントのマーケティングやブランディングの支援、マーケターのためのコミュニティ運営に従事。

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