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地域ブランディングの進め方|HONEの事例をもとに調査から実行までを解説

18 時間前
読了時間: 10分
人物イラストとグラフの図。見出しに「地域ブランディングの進め方」「HONEの事例をもとに 調査から実行までを解説」とあり、淡い紫青の穏やかな雰囲気。

地域ブランディングでは、「その土地にあるものを、誰のどんな場面に届けるか?」を考えることです。HONEがその判断のために行っているのが、「地域のこと」と「生活者」の両方を調べることです。


地域の歴史や生産者の想いを知ると、残したいものが徐々に見えてきます。一方で、商品を買う人や、その場所を使う人には、それぞれの暮らしや都合があります。その接点を見つけて、商品やサービスの中身、価格、届け方を決めていく必要があります。


今回はHONEが支援してきた商品開発や場づくりをもとに、地域ブランディングの進め方を紹介します。何を調べ、どう判断し、何を実行したのか。これから地域の産品や施設のブランドづくりに取り組む方の参考になれば嬉しいです。




地域ブランドとは何か


私たちは、ブランドを、商品やサービスに対して人が持っている印象や期待の積み重ねとして捉えています。地域ブランドであれば、その土地の名前や産品に触れたときに、どんな味や品質、景色、過ごし方を思い浮かべるかが関わってきます。


線路沿いの街路を、笑顔の5人が歩いている。駅前の高架や電線が並ぶ都会の昼景。
まちを歩き、地域を知ることも多いです。

そして、その期待に応える商品や体験をつくり、伝え、届けていく活動がブランディングにつながっていきます。


例えば、地域の食材を使った商品なら、素材の由来を伝えることに加えて、おいしく食べられる量や形、買いやすい場所まで考えることが大切になるし、施設であれば、地域らしい空間をつくるとともに、訪れた人がそこで何をして過ごせるのかを具体化することが肝要です。そうした一つひとつの判断が、そのブランドへの印象をつくっていきます。



1.何を残し、事業としてどう続けたいのか?を確認する


ここからは、具体的にどんな順序で考えていくかを解説していきます。1つ目は「何を残し、事業としてどう続けたいのか?を確認する」です。


まず最初に、事業者や地域の関係者と、目指している状態を確認します。


家業で培ってきた技術を次の世代につないでいきたいのか。地域の農産物を、今まで買っていなかった人にも届けたいのか。地元の人が日常的に使える場所をつくりたいのか。同じ地域ブランディングでも、目指す状態によって、調べることも実行することも変わってきます。


ここでは、想いとあわせて、事業を続けるための条件も整理します。どのくらい生産できるのか、誰が運営するのか、どこに時間や予算を使えるのか。地域の人たちが大切にしている営みを確認しながら、実際に続けられる計画を考えていきます。


HONEの事業伴走支援でも、理念や目標、自社の強みを確認したうえで、市場・顧客調査、戦略立案、施策の実行・検証の流れで進めていきます。担当者が日々の仕事の中でやり切れるかどうかも、戦略を決める際の判断材料にしています。



2.地域を調べ、事業の判断に必要な問いをつくる


地域を調べる際、HONEでは地理・歴史・産業・生活の4つの視点で整理するGHILフレームを活用しています。日本マーケティング学会の研究に基づく枠組みを、現場での実践にあわせて取り入れたものです。


視点

調べることの例

地理

地形、気候、交通、周辺地域との位置関係

歴史

産業や文化が生まれた経緯、受け継がれてきたもの

産業

生産・加工の技術、事業者の強み、仕事のつながり

生活

食べ方や過ごし方、地域の習慣、人との付き合い


参考:地方マーケティングとは




事前にWebや資料で調べたことをもとに、現地を歩き、地域の人に話を聞きます。外から見ると珍しいものが、地元では日々の暮らしの一部になっていることもあります。


曇り空の海辺で4人の男性が背を向けて立つ。黒いTシャツにCOBACCOの文字があり、静かな雰囲気。
見知った場所でも改めて歩くと日々発見があります。

何があるかに加えて、それがどう使われ、誰によって続いてきたのかまで知りたいと思っています。

この考え方は、HONEの地方マーケティングについてのページでも紹介していますのでぜひあわせてご覧ください。



ホホホタケでは、販路を判断するために調査を実施


地域の資源を把握したら、次は事業として決めたいことを整理します。


静岡県島田市の大井川電機製作所さんが手掛ける、はなびらたけ「ホホホタケ」の調査では、卸売と直販のどちらへ展開していくかを検討するために、生活者の喫食経験を調べました。


食べたことがある人はどのくらいいるのか、どんな場所で食べたのか、どう調理しているのか。HONEは、販路の意思決定に必要な情報を定量調査で集めました。


参考:幻のキノコを、選ばれる商品へ。「ホホホタケ」の販路判断を支える需要調査【大井川電機製作所様 はなびらたけ「ホホホタケ」(静岡県島田市)】



調査を始める前に、「この結果が分かったら、何を判断するのか」を言えるようにしておく。ここが曖昧なままだと、回答が集まっても、次に何をすればいいのかが決まることはありません。



3.生活者の行動から、選ばれる場面を考える


商品について聞くときは、実際に買ったときや使ったときの行動を確かめます。いつ、どこで、何のために選んだのか。その前後にどんな手間があるのか。そこで見えたことが、商品を変える手掛かりになります。



ヤマウメのほしいも開発で見えた、持ち歩くためのひと手間


静岡県の茶農家・ヤマウメさんの商品開発では、HONEがほしいもの購買行動を調べました。3,000人への事前調査を行い、その後、直近1年間にほしいもを購入した400人へ詳しいアンケートを実施。さらに、10人ほどにインタビューしました。


参考:糖度58度、無添加ほしいもおやつの商品開発【株式会社ヤマウメ(静岡県牧之原市)】



そこで聞けたのが、ほしいもを自分で切り、ラップに包んで職場へ持っていくという行動でした。すでに手間をかけて持ち歩いている人がいる。それなら、切り分けや持ち運びの手間を減らせば、外出先で食べる機会をつくれるのではないか、と考えました。


調査と商品開発の詳しい経緯も公開しています。


私がこの事例で注目しているのは、好きかどうかという評価に加えて、食べるために何をしているかまで聞けたことです。実際の行動が分かると、仕事中に小腹が空いたときや、出先で少しつまみたいときなど、商品が役立つ場面を考えやすくなります。


アンケートで傾向をつかみ、インタビューで行動の理由や前後の状況を確かめていく。それぞれで分かることを組み合わせながら、商品や届け方の仮説をつくっていきます。



4.コンセプトを、商品やサービスの仕様に落とし込む


届けたい場面が決まると、商品やサービスに必要な条件も具体的になります。


ヤマウメさんのほしいもでは、外出先でも手軽に食べられることを目指し、一口で食べやすいキューブ状の形と、持ち運べるチャック付きのパッケージを採用しました。静岡で育てたさつまいもの特徴を伝えながら、仕事や勉強の合間につまめる商品にしたわけです。


商品化したほしいもの紹介では、その形や使い方を確認できます。


白い背景に、手前の白い袋入り干し芋「RAKU RAKU OIMO」と、左にさつまいも、右に角切りの芋菓子が並ぶ商品写真。
RAKU RAKU OIMO

このプロジェクトでは、HONEが調査やマーケティングを担当し、PREO Designの古庄さんがパッケージやロゴなどのクリエイティブを担当しました。調査をもとに商品の使われ方を整理し、デザインに必要な条件を共有しました。


地域の素材や技術を知ることと、生活者の都合を知ること。その両方がそろうと、なぜその形にするのか、なぜその大きさにするのかを、チームで話せるようになります。



石畳茶屋 縁-en-では、地域で過ごす場所を具体化


場づくりでも、調べたことを事業の中身へつなぐ流れは同じです。


静岡県島田市金谷の「石畳茶屋 縁-en-」では、HONEが地域の利用者、競合、自社の強みなどを整理し、ブランド・マーケティング戦略の構築を支援しました。検討したのは、勉強する場所を求める学生や、仕事をする場所を求める人など、地域で過ごす場所へのニーズです。


参考:カフェ・としょ・サウナでつながる「みんなの居場所」【石畳茶屋 縁-en-(静岡県島田市)】



そこから、幅広い世代が立ち寄れる「みんなの居場所」をコンセプトに、カフェ・民間図書館・サウナを軸とした事業を設計しました。本棚のオーナーになれる一箱オーナー制度など、利用する人が場に関わる仕組みもつくられています。

石畳茶屋 縁-en-の支援事例で詳しく紹介しています。


この事例では、年代を細かく絞り込むよりも、地域のさまざまな人が使えることを優先しました。ただし、誰がどう使うかは具体的に考えています。勉強、仕事、食事など、過ごし方を想定できるからこそ、必要な機能を決められます。


コンセプトを決めた後は、それを実現する商品やサービス、運営の仕組みまで考える。ここまで進めて、ようやく利用者が体験できるものになります。



5.実行後の反応を見て、次の打ち手を決める


商品やサービスができたら、実際の購入や利用を通じて仮説を検証します。


ヤマウメさんのほしいもは、2024年にMakuakeで先行販売を行いました。開始1日で目標金額を達成し、1週間で2,000袋の応援購入につながっています。HONEはその反応をプレスリリースにまとめ、販売パートナーの募集も盛り込みました。

当時のプレスリリースで内容を確認できます。


ただ、先行販売で買ってもらえたことと、普段の買い物で繰り返し選ばれることは、分けて考える必要があります。クラウドファンディングには、つくり手を応援したいという購入理由もあるためです。


次に確かめたいのは、どんな場面で食べられているか、どこで買えると便利か、価格や量に納得してもらえているか、といったことです。施設なら、来訪者数とあわせて、何のために使われているか、また来てもらえているかも見ていきたいところです。


そして、次に取り組むことの担当者、予算、実施時期を決める。地域の現場では、一人が複数の役割を担うこともあります。実行できる量に絞り、反応を見ながら進められる体制をつくることも、ブランドづくりの仕事だと思っています。



地域ブランディングのために、まず何から始めるか


これから地域のブランドづくりに取り組む方は、今決められずにいることを一つ挙げ、その判断に必要な情報を整理してみてください。商品を変えたいのか、販路を広げたいのか、施設の使われ方を見直したいのか。問いが具体的になれば、誰に何を聞くかも決めやすくなります。


HONEのリサーチサポートでは、調査の目的整理から設計・実施・分析、次に取るべきアクションの提案までを行っています。調査結果をもとに商品開発や施策の実行を進めたい場合は、事業伴走プランでも支援しています。


何から調べればいいか分からない段階でも、現在の事業や、これから取り組みたいことをお聞かせください。リサーチサポートプランのページで、支援内容をご覧いただけます。



HONEのサービスについて


HONEでは、地方企業さまを中心に、マーケティング・ブランド戦略の伴走支援を行なっています。事業成長(ブランドづくり)と組織課題(ブランド成長をドライブするための土台づくり)の双方からお手伝いをしています。


HONEの流儀

大切にしている価値観は「現場に足を運ぶこと」です。土地の空気にふれ、人の声に耳を傾けることから始めるのが、私たちのやり方です。


学びや知恵は、ためらわずに分かち合います。自分の中だけで完結させず、誰かの力になるなら、惜しまず届けたいと思っています。


誰か一人の勝ちではなく、関わるすべての人にとって少しでも良い方向に向くべく、尽力します。地域の未来にとって、本当に意味のある選択をともに考え、かたちにしていきます。



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最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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【記事を書いた人】


プロフィール

株式会社HONE

代表取締役 桜井貴斗


札幌生まれ、静岡育ち。 大学卒業後、大手求人メディア会社で営業ののち、同社の新規事業の立ち上げに携わる。 2021年独立。クライアントのマーケティングやブランディングの支援、マーケターのためのコミュニティ運営に従事。

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