アトツギに必要なのは「松下村塾」。家業を成長させる3つの武器と、魂に火を灯す「密」な場所について。
- 桜井 貴斗

- 2 分前
- 読了時間: 12分

「アトツギに、今何が必要か?」
多くの経営者や後継者と向き合う中で、私が行き着いた答えは「ファイナンス、マーケティング、そして組織」という3つの武器です。そして、それらを研ぎ澄ますためのオフラインの場所、いわば「現代版・松下村塾」のような場所です。
当然ながら「家業を守る」ことは、変化を拒むことではありません。先代が築いた資産を現代の文脈で再定義し、成長させていくこと。
本記事では、株式会社HONEが考える「ベンチャー型アトツギ」の生存戦略をまとめてみました。
株式会社HONEでは過去のセミナー資料、お役立ち資料、会社紹介資料がダウンロードできます。
目次
【ファイナンス】守りの経営から、攻めの投資へ
【マーケティング】「良いもの」を「選ばれる理由」へ昇華させる
【組織】関係性を再構築し、志に人を集める
「知っている」が「変われない」アトツギの葛藤
現在、アトツギを取り巻く環境には情報が溢れています。
SNSを開けば最新の経営手法が流れてき、オンラインサロンでは成功者の声で溢れています。しかし、多くの現場では依然として「何から手をつければいいか分からない」という停滞感が漂っています。
先日、あるアトツギが私にこんな相談をしてきました。
「動画講義でマーケティングを学んできて理屈はわかってきました。でも、明日から会社で先代や古参社員を前に何を言えばいいのか、どうしても言葉が出てこないんです」
これがリアルの壁だなぁと感じました。例え知識(インプット)があったとしても、それを自分の血肉に変え、現場で活かせるような実践学にするには多くの課題があるだろうということです。
そのため、
単なる成功事例を聞く機会
自社に置き換えられないような単なる情報
理想と現実のギャップを正確に捉える力
などが必要になってくるのだろうと思っています。

家業をアップデートする「三種の神器」
アトツギが家業をよくしていこうと考えた際、学ぶべきは以下の3点だと感じています。

【ファイナンス】守りだけ経営から、攻めの投資へ
アトツギの多くはこれまで「借金=悪」という教育と経験を経た方が多いと感じています(もちろんすべてではありません)。しかし、今後事業をつくる、伸ばす場合、停滞を打破するには適切なレバレッジが必要となります。
小さいところだとクラウドファンディングなどのお金の集め方、そして使い方などを実践的に学ぶことも必要になってくると思います。
単に伝統・文化を維持するためのコストではなく、10年後の市場を創るための「未来投資」としてキャッシュを捉え直すことが求められています。

【マーケティング】「良いもの」を「選ばれる理由」へ昇華させていく
「うちの商品は良いものをつくっている」というのは大前提です。
もちろん改良の余地がある商品・サービスもあるかもしれませんが、大切なのはその商品の良さが顧客の「解決したい痛み」をどう解決するのか。それを言語化できていないケースが多いように感じます。
先代を含めた過去の会社の行いによって培った「信頼」をベースに、現代の顧客が共感できるストーリーへ変換することが求められます。そしてマーケティングは時代によって捉え方や活かし方が変化しています。
そのため、時代にあったブランド構築を実践していくことが求められます。

【組織】関係性を再構築し、志に人を集める
私自身もよく聞く悩みの1つとして、代替わりしたが、従業員が先代の思想に共感し自分が何を言っても聞いてくれない、うまく行動に移してくれない、というものです。
良くも悪しくも「社長の子供」というレッテルを、「この人と一緒に未来を作りたい」という信頼に変えていく必要がある。その関係性の再構築こそ、組織へのアプローチだと思っています。
条件やルールで縛る採用・評価ではなく、アトツギ自身の「なぜ私がこの事業を継ぐのか」「従業員たちとどんな会社にしていきたいのか」といった芯の部分、いわば志に共鳴するチームを作ることが大切なんだと思っています。

なぜ「オンラインの勉強」だけでは不十分なのか
これは私が聞いたことのあるとある失敗事例の話です。
非常に勉強家で、あらゆるオンラインセミナーを受講していたアトツギがいました。彼は「現在都内を中心に実践されている組織論」を会社に持ち込もうとしましたが、現場は混乱。古参社員との溝は深まり、結局、彼は孤立してしまいました。
彼の失敗は単純な「スキルの不足」ではなく、「状況に合わせた翻訳の欠如」と「孤独に耐える精神的支柱の欠如」にあったんじゃないかと思います。
オンラインにて知識をインプットはできたとしても、それは自社にとって本当に必要なスキル・知識なのかどうかまではわかりません。
そして、自社に導入することのメリットはわかるけれど、どんなデメリットやリスクがあるのか?まではオンラインではわからないのが現状です。いわゆる「手触り感のある情報」というのはリアルの場所でしか学べないものがあります。

現代のアトツギに必要な「松下村塾」という熱量
私が理想とするのは、幕末の「松下村塾」のような場所です。

松下村塾(しょうかそんじゅく)とは、幕末に長州藩(現在の山口県萩市)で吉田松陰が主宰した私塾のこと。
約1年余りの短い期間に高杉晋作や伊藤博文など、身分に関係なく熱い志を持った若者を指導し、明治維新や近代日本の原動力となる多くの逸材を輩出しました(世界遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成資産です)。
※出典:萩市観光協会公式サイト
これは先輩アトツギから聞いた話ですが、とある合宿形式のプログラムで、一人のアトツギ候補が深夜、仲間の前で泣きながらこう叫んだそうです。
「本当は、親父に認めてもらいたいだけだったんだ!」
その瞬間、場にいた全員の空気が変わったそうです。これまでの格好つけた経営用語を脱ぎ捨てて、剥き出しの感情を晒したとき、彼は初めて「自分の言葉」で経営をとらえて語り始めたとのことです。
その後、彼は会社に戻り、先代と本音でぶつかり合い、数年経って新規事業を軌道に乗せていきました。密な場所で、互いの痛みを共有し、逃げ場のない距離感で揉み合う。この「熱の伝播」こそが、アトツギを経営者へと脱皮させていくのではないかと思いました。

HONEがアトツギの「伴走者」として提供できること
私たちHONEは、単なるマーケティング・ブランディングの知識提供者で終わるつもりはありません。時にはアトツギの翻訳家となり、事業伴走のパートナーでありたいと思っています。
直近では2026年1月に静岡市コ・クリエーションスペース(コクリ)にて「アトツギ甲子園プレピッチ壁打ち会」を主催。静岡を代表する若き後継者たちが、自らの家業に新たな命を吹き込むビジネスアイデアを携えて集結しました 。
その他、地方で仕事をしていると事業承継者と仕事をすることも多く、先代の良きものを引き継ぎながらも次の世代に渡していく、という流れを踏んでいます。
▼あなたの日常におともする一生ものの、日用品。【栗田産業株式会(静岡市)】
▼稚内市の創業103年ローカルスーパーの伴走支援【株式会社相沢食料百貨店(北海道稚内市)】
▼日本有数の栗処・茨城の老舗和菓子屋の伴走支援【株式会社常陸風月堂(茨城県日立市)】
このように、ファイナンスと組織の土台を整えつつ、マーケティングの力で「出口」を創っていく。そして推進力が足りていない部分は組織のプロをパートナーとして連携して円滑にしていく、という座組がHONEの支援スタイルです。
おわりに:家業という、最高のスタートアップを楽しもう
アトツギという立場は、制約も多く、不自由な部分もあるかもしれません。一方でこれから変化を残している最もクリエイティブな仕事の一つであるとの言えます。
アトツギが継いだその椅子は、先代たちが何十年もかけて守り抜いてきた聖域でもあります。そこに自分だけの「ファイナンス・マーケティング・組織」のスパイスを加え、新しい風を吹かせていけたらいいのかなと思っています。
松下村塾の塾生たちが山口の小さな村から日本を変えたように。 地方から、そしてあなたの会社から、新しい歴史を始めていきましょう。
HONEは、その密な旅路に、最後まで伴走したいと思っています。
もしこの記事を読みながら、「うちのブランドの強みってなんだろう」「どんな価値を届けたいのだろう」などと感じることがあれば、HONEにお気軽にご相談ください。
HONEは地域に根ざし、現場に足を運ぶマーケティング会社です。
日本の地方には、魅力的な商品・サービスがたくさんあります。
地方に根ざしたブランドの志や文化、人々の誇りや営み。HONEはそうした人たちの想いを価値に変えるべく、現地に出向いてきました。 私たちは、文化と経済の「骨」を設計し、地域の「らしさ」を未来へつなげる仕組みを育てます。 論語と算盤。想いと仕組み。美学と実行力。 その両立を、マーケティングの力で実装していきます。

▼HONEにできること
語られていない価値の「骨」を探す
商品や地域の中にある「想い」や「背景」は、まだ言語化されていないだけかもしれない。 それらを丁寧にすくい上げ、ブランドの芯として翻訳します。 見落とされがちな隠れた価値に役割を与えることが、事業の骨格をつくるはじまりです。
現場に入り、五感を使って「骨」を磨く
戦略も仕組みも、現場を歩き、対話することから始まります。 地形、歴史、空気、人の言葉やまなざし。デスクリサーチでは捉えきれない情報を五感で受け取り、定量と定性、論理と情緒、ロマンとそろばんを掛け合わせて、設計に落とし込みます。
手を動かしながら、「骨」を強くする
支援とは、プランを出して終わりではありません。 現場に入り、泥臭く、時に失敗しながら共につくりあげていきます。 頭で考えて、手足を動かす中で生まれる「実感」こそが、骨を太くし、しなやかに持続する構造を育てていきます。
文化となる「骨格」を、未来へ残す
目指すのは、ただ売ることではありません。 地域に根ざした文化や営みに芯を通し、事業として持続可能なかたちに育てていくこと。短期的な成果ではなく、関わる人たちの誇りとなり、語り継がれていく仕組みをデザインします。 HONEは、経済と文化をつなぐ骨を共につくり、未来へと残していきます。

▼HONEの強み
01/一貫サポート
戦略設計から実行〜検証まで。経営課題の整理から、現場を動かす具体的な仕組みづくりまでを、一貫して支援します。リサーチ・企画・実装・振り返りのすべてに伴走し、商品・サービスの価値を再定義しながら、現場に根づく事業を共につくります。目指すのは、短期的な成果だけでなく、文化が息づき、長く続く事業と地域のかたちです。
02/現場主義
デスク上、リモートワークでは見えない、地域の空気や人の温度に触れる。HONEは現地に足を運び、実際に現場の風景・人の営みに向き合いながら、これまでの現場で得た経験則を元に戦略・戦術に反映していきます。現在起こっている事実に基づく分析はもちろんのこと、解釈に現場の五感で得た気づきを重ね合わせ、実装へとつなげていきます。
03/全国実績
北は北海道、南は沖縄まで、一次産業から観光、教育、行政、ベンチャー、スタートアップ、アトツギなど、多種多様なプロジェクトに携わってきました。たくさんの地域を見てきたからこそ、それぞれの良さに気づくことができます。そして土地に根付くその事業の「らしさ」を、より鮮明に見つけることができます。全国各地で積み重ねた知見を、次の挑戦に活かします。
04/産学官連携
企業・教育機関・行政と手を取り合い、対話を重ねながらプロジェクトを推進しています。 単なる連携にとどまらず、それぞれの立場が持つ知見や資源を持ち寄り、地域に根ざして実装していくこと。 現場での実践と、学びの場での理論、そして制度や仕組みをつなぐ橋渡しとして、多様なセクターの信頼を得ながら取り組みを展開しています。

なぜ今、“地方”でマーケティングが必要なのか
マーケティングという言葉には、しばしば「スケールする」「売上を伸ばす」といったイメージが付きまといます。しかし、地方において本当に必要なのは、そうした直線的な成長だけではありません。人口減少、担い手不足、そしてインフラや情報環境の未整備。多くの地域が、さまざまな制約の中で日々の営みを続けています。
制約が多いからこそ、その土地に根ざした価値を継続し、文化や人々の想いを循環させていくための工夫が欠かせません。マーケティングの論理をそのまま持ち込むのではなく、人肌を大切に、想いを大切に、未来へとつなげていく。実装力と創造力を備えた「地方のマーケティング」が必要です。

地方に必要なのは、「地域理解」
こうした現場においてまず必要なのは、「何をどう売るか」よりも先に「この地域には何があるのか」「何を残していきたいのか」を知っていく姿勢。つまり「地域理解」です。ブランド構築の土台を固めるには各レイヤーごとに把握すべきポイントを理解することが重要です。

\こ相談はこちらから/
その他、気軽にマーケティングの相談をしたい方のための「5万伴走プラン」もスタートしました。詳細はバナー先の記事をお読みください!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
\こ相談はこちらから/
【記事を書いた人】

株式会社HONE
代表取締役 桜井貴斗
札幌生まれ、静岡育ち。 大学卒業後、大手求人メディア会社で営業ののち、同社の新規事業の立ち上げに携わる。 2021年独立。クライアントのマーケティングやブランディングの支援、マーケターのためのコミュニティ運営に従事。













