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地域事業者のためのCEP実践ガイド|地域の魅力を「選ばれる場面」につなぐには?【CEP実践ガイド資料付】

10 分前
読了時間: 13分
地域事業者のためのCEP実践ガイド 表紙
本文では資料の要点を、具体例とともに解説します

「素材や製法の良さは伝えている。でも、買ってもらう機会がなかなか増えない」「地域の魅力は挙がるけれど、どんな商品や体験にすればよいか決まらない」。


地域の商品づくりや観光の企画を考えるとき、こうしたところで手が止まることはないでしょうか。


そこで考えたいのが、生活者が、どんなときにその商品や行き先を思い出すのかです。地域の特徴を、日々の買い物や休日の過ごし方と結びつけるための手がかりになります。


HONEでは、CEP(カテゴリー・エントリー・ポイント)の考え方と、地域資源を捉えるGHILフレームを参照し、図解・具体例・記入用シートをまとめた実践ガイドを作成しました。この記事では、言葉の意味から、商品・発信・購入や予約の案内にどう使うかまで整理しています。


CEP・GHILは、HONE独自の理論ではありません。


※原典を日本語で要約・意訳し、地域事業での使い方を私たちなりに解釈しています。原典の説明と、本記事の企画・訴求例は区別して記載します。



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誰の、どんな困りごとに使えるのか?


本記事は地域産品の事業者、観光・宿泊施設の担当者、地域の事業を支える行政・支援機関のみなさんを想定しています。


例えば、次のような打合せで使えます。


  • 地域産品の事業者:商品の特徴を、ECや店頭でどんな使い方として伝えるか決めたい

  • 観光・宿泊の担当者:施設の魅力に加え、誰が何のために訪れるのかを考え、予約案内まで整えたい

  • 行政・支援機関:地域資源の調査を、事業者が実行できる商品・体験や役割分担につなげたい


最終的にアウトプットできることは、「方針の整理」「優先する場面」「実行計画」の3枚のシートです。


地域資源、生活者の場面、提供する価値、購入先、担当者、期限、確認する数字を並べます。商品開発・広報・営業の担当者が、同じ場面を見ながら話せることが利点です。


方針の整理、優先する場面、実行計画の3枚のシート
資料3頁:完成するのは、施策と担当・期限・確認する数字まで含めた実行計画です

目指すのは、その場面で商品・店・地域の名前が候補に入り、利用につながり、事業として続けられること。作った計画を実行し、何が変わったかを確かめるところまで行う必要があります。



CEPとは、商品や行き先を思い出す手がかり


CEPは、Category Entry Point(カテゴリー・エントリー・ポイント)の略です。


購買場面にある目的、感情、時間、場所などが、記憶の中からブランドを思い出す手がかりになる、という考え方です。Jenni Romaniuk氏による解説を、本記事では地域の商品や観光体験に置き換えて読み解いていきます。[1]


例えば、夕食を前に「今日はお酒を飲まずに、料理と楽しめる飲み物が欲しい」と考える場面。そのときに、あるお茶や炭酸水の名前が浮かぶかもしれません。ここで注目するのは、単に「お茶を知っているか」ではなく、どんな場面とそのお茶が結びついているかです。


ただし、CEPと、買うことで得られる価値、商品の特徴は別の問いです。お茶を例にすると、次のように整理できます。


整理すること

お茶で考える例

CEP|どんな場面か

お酒を飲まない夕食に、料理に合う飲み物を探す

便益|何がうれしいか

料理と合わせて、香りや味を楽しめる

特性・根拠|なぜ言えるか

品種・製法・香味、試飲で確認した料理との相性


CEP・便益・特性と根拠を分けたお茶の説明例
資料7頁:お茶の例と区分は、原典を踏まえたHONEの説明です。

「香りが良い」と伝えるだけでは、いつ自分が飲むものなのかまで浮かばないことがあります。


夕食の場面と一緒に伝えれば、料理の写真や淹れ方、少量で試せる商品まで、案内する内容を具体的に考えられます。CEPを考えることは、キャッチコピーを一つ作って終わる作業ではありません。


一方で、たまたま検索して出てきた場面やスーパーなどの店頭で初めて商品を見つける場合もあります。あらゆる購入が「先に名前を思い出す」順に進むわけではないため、見つけやすさや買いやすさも合わせて整えていく必要があります。



GHILで地域を調べ、CEPで生活者の場面を考える


生活者の場面が見えても、自分たちが何を提供できるか分からなければ、実行する商品や体験を決められません。地域側の可能性を調べる方法として、このではGHILを参照しています。


GHILは、宮副謙司氏・佐伯悠氏・藤井祐剛氏が示した、地域資源に着眼し、地域の価値へ編集するための方法論です。[2] 地理・歴史・産業・生活の4つの視点から、資源の背景と関係を読み取ります。


  • G|Geography(地理):立地、地形、自然、交通など。

  • H|History(歴史):地域が現在に至るまでの歩み。

  • I|Industry(産業):地域の仕事と、それを担う人・事業者。

  • L|Life(生活):今の暮らし、習慣、住民の生活文化。


GHILの4つの視点。地理・歴史・産業・生活
資料11頁:GHILの4つの視点を要約

名所や産品を4つの箱に入れるだけでなく、「なぜ、ここにあるのか」「誰の仕事や暮らしとつながっているのか」まで調べる必要があります。地図や地域の記録を読み、現地を歩き、事業者や住民の話を聞く。そこで分かったことを、出典や確認した相手が分かる資源の整理表と、商品・体験の案にまとめていきます。


GHILで考えた案は、まだ「提供できそうな価値」の仮説です。その過ごし方を生活者がいつ、何のために選ぶのかは、別に確かめる必要があります。


地域側のGHILと生活者側のCEPを照らし合わせて実行計画をつくる全体図
資料5頁:GHILとCEPの関係は、地域実務に合わせたHONEの再構成です

地域で提供できることと、生活者が求める場面を照らし合わせる。その上で、需要、競合、自社の提供力を確認し、商品と発信の実行計画に進んでいきます。フレームを順番に埋めれば答えが出る、というものではなく、現地で分かったことと生活者の選択を行き来しながら考えます。


地域の背景を読む方法については、「GHILフレーム」の解説記事でも詳しく紹介しています。



地域の商品・観光では、利用できる条件まで考える


CEPの考え方そのものが、地方だけ別の原理になるわけではありません。地域で実行する際に、合わせて確認したい条件があると考えています。


例えば「友人とゆっくり過ごしたい休日」に観光施設を思い出しても、車がないと行けない、帰りの交通が合わない、食事をする店が休みなら、予定を組みにくくなります。地域産品でも、飲みたい場面が伝わった後に、近くに売場がない、ECで在庫が切れている、といったことが起こり得ます。


移動と商圏、季節と供給、複数事業者の連携、暮らしとの両立
資料16頁:地域ごとに確かめたい提供条件

そのため、訴求を考える打合せでは、次の情報もあわせて検討する必要があります。


  • 移動時間、交通手段、滞在できる時間

  • 収穫期、在庫、営業日、受け入れできる人数

  • 店・宿・体験それぞれの予約先と、案内を更新する担当者

  • 住民の暮らしと重なる場所・時間、協力する人への対価


地域名が知られることと、個別の店や商品が利用されることも分けて考えます。「どんなまちか」の紹介から、どこに泊まり、どの店で過ごし、何をどこで買えるのかまでつながっていると、生活者は次の行動を選びやすくなります。


これは以前の地方ブランドのマーケティングに関する記事で書いた、配荷や営業の話にもつながります。



実際にどう使うか?


ここからは、HONEの公開記事や支援事例をもとにした応用例です。実際の取り組みとして確認できることと、この記事で考えた企画・訴求の仮説を分けて見ていきます。



静岡茶|飲む目的が変わると、商品と売場も変わる


同じお茶でも、夕食の飲み物、仕事の合間の一杯、訪問先への手土産では、欲しいものが異なります。


夕食なら料理との相性や淹れ方が気になり、職場の休憩なら道具や片付けの手間が関わります。手土産では、渡しやすさ、味の説明、日持ちなどが選ぶための情報になります。


静岡茶を夕食・仕事の休憩・手土産の場面から考える
資料20頁:静岡茶の記事を踏まえた商品・販路の設計例

仮に夕食の場面を選ぶなら、「お酒を飲まない日の夕食に、料理と楽しむ静岡茶を」という訴求案が考えられます。その次に必要なのは、実際の料理と茶の組み合わせ、家庭で再現できる淹れ方、価格、購入先です。すべての料理に合うと広げず、試飲で確かめた相性を伝えていきます。


飲み方の提案と日常の購入機会については、静岡茶のブランド力向上に関する考察もご覧ください。



寸又峡のサウナ|設備に加えて、一緒に過ごす目的を伝える


静岡県川根本町の「サウナ寸又峡 -Trip Train-」では、HONEはブランドコンセプト、マーケティング戦略、サイト設計、PR戦略に関わりました。公開事例では、友人と語り合いたいときなど、人々の生活に寄り添うサウナという考え方を紹介しています。[3]


ここからCEPの考え方を使って訴求を検討すると、「久しぶりの友人と、周囲を気にせず過ごしたい休日」という場面が候補になります。仮説が合っているなら、設備の写真に加えて、一緒に過ごす様子、会話できる場所、利用時間や料金、予約方法を案内したいところです。


この場面の需要や施策の効果は、利用者への聞き取りなどで確かめる必要があります。支援事例の詳細は、サウナ寸又峡 -Trip Train-の紹介ページに掲載しています。



用宗(もちむね)|地域資源から、一泊の過ごし方を考える


用宗(もちむね)は、静岡県静岡市駿河区にある港町です。[4] 私の過去の記事では、地域の歴史、しらす漁、海辺の暮らし、飲食・宿泊などをGHILの視点から考察しました。[5]


こうした資源分析から、海辺の散歩、食事、宿泊を組み合わせる案が考えられます。そこに「忙しい週のあと、予定を詰めずに友人と過ごしたい」という生活者の場面を重ねると、名所を数多く巡る旅とは違う、一泊の過ごし方が見えてきます。


用宗の地域資源から生活者の場面、体験、利用条件、検証までの企画例
資料22頁:用宗を題材にした企画仮説

ここで止めず、宿の空室と料金、店の営業時間、徒歩で回れる範囲、雨天時の過ごし方まで確認します。住民の生活を妨げない場所や時間も、企画の条件です。地域の魅力が同じでも、誰とどう過ごしたいかによって、組み合わせ方と案内は変わっていきます。



CEPの候補は、直近の行動を聞いて選ぶ


CEPの候補を、社内の想像だけで決めないようにしなければなりません。


自社を利用した人に加え、同じような目的で別の商品や場所を選んだ人にも、直近の経験を聞く必要があります。


例えば休日の行き先なら、「こんなプランがあったら行きたいですか?」に加えて、「最後に友人と休日を過ごす場所を探したのはいつか」「何を候補にして、最終的にどこへ行ったか」「外した候補には、何が合わなかったか」を聞いてみます。移動、時間、価格など、実際の選択に関わった条件を確認できます。


目的、いつ、どこで、誰と・誰のために、何と組み合わせるか、同時に何をするか、どんな気持ちか。原典のW’sを日本語で整理した問いも、聞き漏らしを減らすために使えます。[1]


少人数の聞き取りで得た言葉は、まず仮説づくりに使います。その場面を経験する人がどれほどいるかまで判断したい場合は、対象者と期間を定めた調査などで確認します。


候補を比較するときは、原典の3Csも参考にします。一般的な「顧客・競合・自社」の3C分析とは別の整理です。[1]


  • Credibility:その場面に応えられる根拠があり、生活者にもそう受け取られるか。

  • Competitiveness:その場面では、すでにどのブランドが強く思い出されているか。

  • Commonality:どのくらいの人に、どのくらいの頻度で起きる場面か。


競合が少ないことだけで着手せず、需要の広がり、自社の提供力や採算も合わせて考えます。一つの広告では伝える場面を絞りながら、継続した発信では、同じブランドと結びつく場面を広げていきます。



3枚のシートを、1ヶ月目・2ヶ月目・3ヶ月目で使う


実践ガイドの28〜30頁には、書き込み用のシートを収録しています。最初のシートで資源から実行までを並べ、次に場面の候補を比較し、最後に訴求・購入や予約の案内・担当・確認日を決めます。


地域資源、CEP候補、提供価値、利用条件、確認することをまとめるワークシート
資料28頁:確認できた事実と、これから確かめる仮説を分けて記入します

進め方の一例として、3ヶ月に分けるなら次のようになります。収穫期や観光シーズン、商品の購入頻度に合わせて調整してください。


1ヶ月目は調査、2ヶ月目は準備と実施、3ヶ月目は改善
資料27頁:3ヶ月で成果が出るという意味ではなく、調査・実施・振り返りの進め方の例です

  • 1ヶ月目:地域資源と生活者の最近の行動を調べ、在庫や受け入れ体制、現在の売上・予約などを確認する。

  • 2ヶ月目:優先する場面に合わせて商品や案内を準備し、試作・試飲・試験販売などで反応を記録する。

  • 3ヶ月目:結果と現場の負担を振り返り、改善する内容、担当者、次に確認する日を決める。


振り返りでは、思い出されたか、買われたか、続けられるかを分けて見るようにします。PVやクリックが増えたことだけで、ブランドが思い出されやすくなったとは判断できません。


想起を確かめるなら、場面を示してどの名前が挙がるか。購入・予約なら、どの案内を見た人が行動へ進んだか。運営面では粗利や必要な工数、受け入れ可能な量を確認します。比べる際は、対象者、分母、期間、質問文や販売条件をそろえ、季節や価格の変化も記録しておきます。


指標と比較条件の考え方は、「まちづくりのKPIは何を測る?」でも具体例とともにまとめています。



まとめ


地域の商品や観光体験を考えるときは、「どんな魅力があるか」に、生活者の「いつ、何のために選ぶか」を重ねると、商品や発信を具体化しやすくなります。GHILは地域資源の背景や関係を調べるために、CEPは商品や行き先を思い出す手がかりを考えるために使うことができます。


その接点が見えたら、価格、売場、予約、移動、提供する人の体制まで確認していきます。伝える内容と実際に利用できる条件がそろって初めて、生活者の選択を支える計画になります。


まずは、自社の商品や地域の体験を一つ選び、最近利用した人と、別の選択をした人の話を聞くところから始めてみてください。分かったことを関係者で共有し、商品・発信・案内のどこを変えるか決めていく。地域で続いてきた仕事や暮らしを、これからの利用機会へつなぐために、活用していただければと思っています。



ダウンロードはこちらから


地域事業者のためのCEP実践ガイド_株式会社HONE




出典・参考と、本記事の位置づけ


本記事および掲載図解は、下記の原典とHONEの公開発信をもとにした要約・意訳・実務上の再構成です。


公式翻訳や原図の転載ではなく、CEPとGHILをHONE独自の理論として示すものでもありません。B2Bを扱う原典の考え方を地域の商品・観光へ当てはめた部分、静岡茶・用宗などの訴求や企画、3ヶ月の進め方はHONEによる解釈・設計例です。



キャプチャ:株式会社HONE「地域事業者のためのCEP実践ガイド」(2026年10月)。資料デザインは、HONE「地域事業のロジックモデル作成キット」を踏襲しています。各図の参照元は、資料の出典欄にも記載しています。



HONEのサービスについて


HONEでは、地域資源と生活者の理解、戦略・コンセプトづくりから、商品開発、発信、事業の立ち上げ・運営まで伴走しています。地域産品の売り方や、観光・地域事業の進め方を、現場の条件から一緒に考えます。


「自社に合う場面をどう調べるか」「調査はしたが、次の施策が決まらない」「商品・発信・運営をまとめて見直したい」といった段階から、ご相談いただけます。



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最後までお読みいただき、ありがとうございました。


【記事を書いた人】


株式会社HONE 代表取締役 桜井貴斗

株式会社HONE 代表取締役 桜井貴斗


札幌生まれ、静岡育ち。大学卒業後、大手求人メディア会社で営業ののち、同社の新規事業の立ち上げに携わる。2021年独立。クライアントのマーケティングやブランディングの支援、マーケターのためのコミュニティ運営に従事。


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